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富裕層(億以上の資産)にとって日本は桃源郷

  〇生活水準とストレスの逆相関  私たちの生活は年を追うごとに便利になって、結果として10年前、20年前より生活の水準が上昇している。その一方で日常生活の満足度は年を追って低下している。これは、 国民全体に 競争社会が 浸透することで、他人に対してスペックの優劣で接し方を決める癖がついたり、SNSなどの他人のマウント記事で自分だけが幸福ではないという気分にさせられるなど、常時ストレスが溜まりやすい環境に囲まれているからである。 〇理想的な社会の実現 もっとも理想的なのは、ガソリンスタンドやコンビニのアルバイト程度でもしっかりと子育てが出来るなどローワーな中流が実現できる社会だ。その世界観は米国の50年代グラフティの情景に通じるものがある。そういう意識系の低い社会なら、人々は安心して暮らせ、子供ものびのびと育てられる。意識系の高さへの傾斜もその世界では一部の人たちだけに限られる。これを実現するのは難しいが、意識の低さや気楽に生きられる社会こそが今の時代に必要である。だからこそ、多くの日本人は、意識系を低くても生活できる東南アジアに疲れた心の浄化を求めるのである。 〇億の資産を保有しながら意識系を低くすれば桃源郷  逆説的になるが、日本ほど平等な国はない。世界は、日本人が驚くほどの格差社会である。日本より貧しい国ほど、貧富の差は大きく、富める者は日本人が到底届くことが出来ないほどの贅沢な暮らしをしている。西欧人でさえも、高い税収で大した手取りがあるわけではない。日本と比べ物にならないほどの質素な暮らしをしている。その反面、余暇を大切にして、強い外貨を武器に長期バカンスを楽しんでいる。イタリア、フランス、ドイツなどのブルーワーカーのように仕事を割り切って人生を楽しむ姿勢。それでいながら、デモなどで政府に抗議しながら、生きるための分厚い社会保障を確保している。 そういった観点から日本を見つめなおすと、それなりに良い暮らしをしていて、社会保障だって充実している。しかし、日本人には目に見えない同調圧力という監視社会のような生き苦しさに縛られている。その心の縛りを切り破るためにはお金の面で解放されなくてはいけない。普通の人が努力次第で達成できるような額ではないが億以上の資産を蓄財できれば、生活に対する不安はなくなり、さらに様々なプライドを捨て意識系を低く出来れば 、日本...

EV車業界のモータもいずれニデックがシェアを握ることになる

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   私の銘柄調査の一つとして経営者のインタビュー記事の探索がある。経営者の言葉の中には、経営に対する手腕とポリシーが散りばめられており、これと決算推移を重ね合わせたら会社の実像がはっきりと映し出されてくる。そして、今後の業績推移さえ推測できるようになる。 ニデック永守会長は 1973 年に日本電産を創業し売上高1兆円を超える大企業に育てた優れた創業経営者の一人である。ここでは日経BPのインタビュー記事から、永守会長が考える EV 自動車産業の企業戦略を抜き出し、ニデック株式会社の今後について考えてみることにした。 〇 EV 時代の到来 自動車産業は 100 年に 1 度の技術革新に直面している。もう EV 車の時代が来るということは、はっきりしている。今、米テスラが先を走っているが、従来の完成車メーカーと何が違うかと言うと、化石燃料の車を造ったことがない。完成車メーカーはまだエンジン車で稼いで EV 車で利益があるところはない。全部赤字。要するにテスラはエンジンというレガシーがないので身が軽い。さらに小型車は儲からないから高級車ばかりに力を入れて利益を稼いでいる。しかし、テスラのような高級車路線ではいずれ限界にぶち当たるだろう。 EV 車が隆盛を極める頃には、安い車を造るメーカーが台頭してくると踏んでいる。 〇 EV 車産業の今後 今までいろいろな事業分野で部品を販売してきたが、サプライヤーも競争相手も、お客さんも全部大赤字なんていう業界はなかった。 EV 車業界はそれでも値段を下げ続けて、中国では 300 社ぐらいが参入し 200 社ぐらいが潰れている。製造コストと販売コストが全く釣り合っておらず健全な競争にはなっていない。とはいえ、基本的には値段を安くすることが今後の EV 車普及のカギとなる。実際、電池の値段は年々下がっている。初期の携帯電話は肩からかけて電池が大きかったが、現在では技術革新によってこれほど小さくなった。すぐにとはいかないが、全固体電池とか新しい技術が出ているので電池は進化していく。またモーター効率もどんどん向上することで電池の使用量を少なくさせる。製造コストが大幅に下がったら、モーターなどの部品を買ってきて誰でもすぐに EV 車を造れる時代がやってくる。 〇ガソリン車の今後 プラグインハイブリッド( PHV ...

日本に漂う閉塞感の正体

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  これは私自身の勝手な思い込みなのかもしれないが、日本中に言いようのない閉塞感が漂っているような気がしてならない。それは年を追うごとに強くなっているようでもある。  人は無意識に以心伝心で相手の心と通信しているものだ。そのため、言葉を交わさなくても周りの人たちの不安な気持ちは空気感として伝わってくるものだ。 1. 経済は先進国 労働環境は後進国以下 コロナ禍によって、世界中でテレワークが拡がり在宅ワークが一般的になり始めたが、最近の通勤ラッシュ状況を見ているとライフワークバランスは形だけにすぎず、本当に先進国民の姿なのかと疑いたくなる。帰りの電車でも、神奈川、埼玉、千葉の郊外に向かう電車に乗るサラリーマンの哀愁漂う姿。特に、夜8時から10時に乗る列車内は、夜も遅いのに電車は込み合っている。そこには、仕事疲れというよりは35年ローンや子供教育費の重圧を背負いながら、ストレスを抱えて仕事にしがみ付こうとするサラリーマンの切ない哀愁が充満している。