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歪を抱えながら経済力を膨張させるドイツ

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 ドイツの国力は今や日本を猛追し、ついにはGDPを追い抜いて、今度は、世界一の債権国の立場すらはく奪されるという矛盾が横たわっている。暗いニュースとは裏腹に世界の中での経済大国としての地位は盤石なものにしている。 ドイツ経済について辛辣に述べているエコノミストや識者が多い。しかし、私から言わせてもらえば、他の国を心配するより日本の事を心配しろと言いたい。 一方、デフレを解消する政策として超金融緩和を長年にわたって続けてきた日本は、国内経済の均衡をなんとか保っているが、円安政策も相まって国際的な地位の低下が著しい。今となっては東南アジアですら日本とほぼ同じ物価水準である。90年代の日本がいにしえにすら感じてしまう。 このように日本とドイツは全くと言っていいほどの真逆の動きをしている。 ユーロは、欧州連合(EU)加盟27カ国のうち、19カ国の通貨同盟である。ユーロ通貨はドイツの経済力に比べてはるかに言っていいほど割安。ドイツはユーロ圏の盟主であり、一番の経済大国であり、世界トップ級の貿易黒字国である。とはいえ、ある国が膨大な貿易黒字を計上しても必ずしも好景気に沸くとはいえない。逆に不況であったりもする。それは、貿易の輸出と企業利益に相関関係はないからである。90年代の日本がまさにそのような状態であった。  この事から言える事。国内で景気如何に関わらず海外では大国を維持し続けているドイツとそのようなプライドをかなぐり捨てた日本。 どちらが良いのか一概に言えないが、その違いをもう少し冷静に分析する識者がいても良いのではないかと私自身、ふと思ってしまう。

株式市場の時価総額から見える今後の米国相場の動向

初版  2022.03.05  改版   2022.12.21 (旧名:時価総額飽和状態に陥っている世界中の株式市場) 〇時価総額とGDPの国別ランキング ここで世界銀行が発表した国別の時価総額 (2021 年)を参照すると 1.米国   40 兆ドル 2.中国  12 兆ドル 3.日本   6.7 兆ドル 4.香港     6.1 兆ドル  5.カナダ    2.6 兆ドル 6.インド    2.5 兆ドル 一方、 GDP の世界ランキング (2022 年)は、 1.米国   25 兆ドル 2.中国  19 兆ドル 3.日本  4.9 兆ドル 4.ドイツ   4.3 兆ドル  5.インド   3.5 兆ドル 6.イギリス   3.4 兆ドル となっている。 ・米国株式市場の時価総額の GDP 比は、 2012 年 100% 、 2019 年 150% 。そして 2021 年 200% 近辺で推移している。ここ 30 年程度は、巨大多国籍 IT 企業(マイクロソフト、インテル、 GAFA 等)が引率して 100% 超えを常態化させているが、今後 10 年間に米国の株式市場の時価総額が2倍になれば単純計算で 80 兆ドル。 1.5 倍でも 60 兆ドルに膨れ上がる。しかし、 GDP が株の時価総額上昇に追いつくために年率 5% 成長を維持するとは到底考えられない。これ以上の時価総額膨張は GDP との乖離を大きくするだけである。そもそも株式市場の時価総額は GDP 比で 100% を超えると危険水域と見なされてきた。それでも、様々な要素から 200% の水準を肯定できたとしても 300% 近くまで乖離するのは現実的な値ではない。逆に、今後は膨れすぎた時価総額という風船に対して実経済への乖離を縮小する方向に向かうと考えるほうがが妥当であろう。 ・成長著しい中国も時価総額という点では、上海や香港(ハンセン)指数を合算すれば 100% 近辺に到達しており、中国経済の発展を株式市場は相当において織り込んでいる。実経済においても、 21 世紀前半に世界経済を支えてきた中国経済に偏重が出てきた。中国経済の国富は世界の工場で築かれたものではなく、驚くほどに上昇した不動産価格が運んだ富によるもの。その不動産市場も、恒大グループに代表されるように曲がり角を迎えている。共産党政府は、日

10年後、世界における日本の国際競争力を検証(相場(国別)の予測分析)

  〇IT産業における発展途上国の追い上げ IT産業の発展により米国は米国一極集中の体制を構築することに成功した。そもそもIT産業は、従来型の既得権益を有した重厚長大産業から派生して発展したのではなく、ベンチャースピリット溢れるNASDAQ市場によって、その存在を大きくしたのである。 IT産業分野は、重厚長大と違い多額の資本を必要としないことから、こういった1国内だけの既得権益にはとどまらず、先進国と発展途上国間の産業発展構造までぶち壊したとも言えなくもない。つまり、IT産業においては、旧来型の先進国と発展途上国の区割りはなんの役にも立たず、同一の線上でビジネスを行われなければならなくなった。 このため、東アジア、及び東南アジアを中心にIT分野の発展が著ししシンガポール、韓国、台湾、中国国などは、IT分野においては、日本以上の先進国になってしまった。 〇日本の存在感低下の原因 2010年から世界における日本の存在感の顕著なほどの低下は、IT競争力の相対的な地位の低下と言っても過言ではない。さらに悪いことは、今後は全ての産業がITと金融を軸に展開していく。全ての機材がAIを駆使して人工知能を持つような社会が待っていて、結局のところ米国の一人勝ちに構図は目に見えている。とはいっても、IT分野に強みを見せられない日本が全面的に落ちていくという構図にもならない。それはロボットなどの最先端機器の精度を高めるためには、これからも日本の技術力が必要とされると予想されるからだ。  つまり、最高の性能を有するロボットを米国が作り、汎用品市場を中国が握るという構図の中で、こういった製品の重要な部品に対し、日本企業の高シェアを維持するという構図である。それが日本を世界の間たる先進国であるがゆえの富の源泉になるのであろう。 〇部品市場の優位性は揺るがない  ハード面における日本企業の強みは日本人特有の性質からきている。海外は一部の天才が社会や企業を引っ張っていく、しかし、日本は一部の天才ではなく、裾野で働いている従業員の仕事に対する意識が高く、その人たちの努力によって高性能な部品生み出され続けているのである。このような風土は、階級意識の強い外国の企業では考えにくい。  しかし、米国政府はそういった欠点を補うべく、NASDAQのようなベンチャースピリット溢

投資家の最後の楽園 (インド) 

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  1.インドを考える  インドは、その人口が14億人近くに昇る大国という位置づけでなく、人的リソースにおいても世界有数のレベルを誇る国です。しかし、現状においては一人当たりのGDPが3000ドルに満たない発展途上国にすぎません。その理由としては、①カースト制が近代経済への移行を阻害している。②世界中を見渡しても類を見ない多民族国家で単一民族である日本のように国民全体が団結して発展することの困難なこと。などが挙げられます。そんなインドにもじわりと現代資本主義の潮流が浸透し、長きにわたる眠りから目を覚まそうとしております。  そもそも、インドの歴史を紐解くと、インドは長きに渡って世界の大国の位置にいました。むしろ現在のような停滞こそほんの僅かな期間でしかありません。この点ではかつての中国も同じような境遇でしたが、ここ30年で往年の立ち位置にまで回復しております。同系列の大国であったインドも、当然ですが同じようなリバウンドは期待されても可笑しくありません。 2、インドと中国の比較 現状では、インドは中国に大きく後れを取っていますが、これは一歩先に中国が発展した裏返しです。しかし、中国を含め世界中が少子高齢化の波に飲み込まれる中、インドは平均年齢が28歳と若く、これからその強みを発揮していくことが期待されています。ちなみに日本の平均年齢は48歳です。(これでは、日本という国の活力が失われるのも頷けます。)さらに中国と比べ一人あたりの所得が相当低いこともあり、中国がかつて歩んできた衣料や絹製品など特定の製造業の製造拠点としての役割が期待されそうです。  3.インドの未来予想 ① インドの発展形態  たとえ人件費の優位性があったとしても、インドは中国のように世界の工場としての役割を担うのではなく、特定の業種に対してのみ製造業としての強みを発揮するものと思われます。それより、インドはIT分野での発展が期待されます。それは米国のIT産業におけるインド人の活躍からも見て取れます。そんな優秀な人材の一部がインドに帰国し、自国のIT分野の発展に貢献する。これが現実的な発展形態にも思われます。さらに都市部に世界中のマネーが入り込み、未曾有の不動産開発が起こる可能性もあります。それが廻り廻って不動産価格のバブルを引き起こして、国力を高めていく。不動産投資で潤った中間層が購買意欲を高

投資対象として韓国、台湾を考える 

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  1.東アジアとしての韓国、台湾  近隣の韓国、台湾などについては、30年前までは日本が圧倒的な経済力を有していたため、中国は発展途上国、韓国、台湾は中所得国程度の扱いであった。最近は韓国と台湾はほぼ日本と同レベル、そして中国は世界第2位の経済大国にまで成長し、日本の影が薄くなってしまった。そういった意味では、韓国や台湾は投資家目線で投資対象かを分析してみよう。 2.韓国、台湾の躍進  韓国、台湾の躍進は、バブル崩壊後の日本の長期低迷と符合が一致し、電子産業における日本の地位低下と共に台頭してきた。その理由を挙げてみると、  ・国内生産がコスト高となった日本企業の主要な海外生産拠点であったこと。  ・日米経済摩擦による米国からの圧力に乗じて、韓国、台湾企業が日本の技術を吸 収しやすい土壌があったこと。日本政府もそれを黙認してきたこと。  ・高度成長期の成功体験をひたすら追い求める日本企業に対し、韓国や台湾企業は日本から仕入れた技術を米国流の経営手法を導入し事業を拡大したこと  などがある。 3.韓国企業の躍進  厳しめな言い方をすれば、韓国は常に日本を見ながら行動を起こしている。そのせいか韓国の優位性のある産業は、それ以前は日本が優位性を持っていた産業である。このため、当初は日本企業で干された優秀な技術者等からの技術移転での躍進が中心であったが、韓国の通貨危機以降は、米国流の経営手法に移行し、日本企業経営のダメな箇所を逆手にとるようになった。それによりサムスンやLGなどが日本のソニーやパナソニックなどに代わる世界ブランドに成長し、自動車では現代自動車が日本の大手自動車メーカーを凌駕するまでになった。 この為、韓国企業に関しては、日本がその企業文化や経営を変えない限り、いつの間にか肩を並べられる構図になった。 4.台湾の躍進 台湾の躍進も韓国同様にその源流は日本企業にある。台湾の電子立国はそもそも日本の電機産業のお家芸であった。特に半導体は80年から90年にかけて日本が世界のシェアを独占したにも関わらず、いつの間にか台湾企業に入替っていた。それは単純な技術移転ではない、台湾企業が米国的な経営にシフトしていたのと、ダウンサイジングの波に乗り、日本人の考えが及ばない方法で、ローコストで製品を作ることができる中華系企業ならではの強みが発揮できたからだ。 5.人口減少と

ベトナムと高度成長期の日本の比較 

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(1)ベトナムという国の輝き  日本人は、どこかで東南アジアに望郷の念を抱いている。彼らの容姿はどことなく日本人と似通っているようで気質がちょっと違っている近くも遠くもある距離感。そしてバイクの騒音など日本がかつて経験した高度成長を思わせるような躍動感に包まれた懐かしい社会。そんな東南アジアにも近代化の波が押し寄せて、成熟化の波が押し寄せている。今となっては東南アジアに街も日本の都会と変らなくなっている。そんな中でベトナムは残り僅かな成熟化までの段。日本人の望郷の念を楽しめる国の一つである。 (2)ベトナムと日本の比較  かつてはタイやマレーシアが日本の高度成長期と同じ雰囲気を漂わせていると言われていたが、次第に「中所得国の罠」に陥って先進国入りには至っていない。先進国とは別の方向で成熟化に向かっていった。そうしているうちに、今度はベトナムが日本の高度成長期に似ていると言われるようになった。その真意を探るべく、それを見比べるために、高度成長期の日本とベトナムの比較表を作ってみた。   これをみる限り、高度成長期のベトナムと日本を重ね合わせるには無理がある。そもそも、高度成長時代の日本はベトナムやタイのような発展途上国ではない。 日本のGDP水準は、 順位入替要因 GDP順位 1950年 第7位 1955年 インドを抜く 第6位 1960年 カナダを抜く 第5位 1966年 フランスを抜く 第4位 1967年 イギリスを抜く 第3位 1968年 ドイツを抜く 第2位 1980年代後半 米国に近づく 第2位 であり、マスコミは「欧米に追い付け追い越せ」と発展途上国気取を煽っていたが、日本は戦後一貫して経済大国であった。ベトナムとは前提が全く異なるのである。  では、ベトナム経済が爆発的に成長してGDP総額が世界10位以内に入れるかという事だが、私はそういった見解に懐疑的である。これから20年を経過しても、ベトナムは先進国企業の生産拠点であり、ベトナム発の世界ブランドは席巻するとは思えない。そういう視点で眺めていくと、ベトナムは、タイやマレーシアの経済成長を参考にしたほうが精度の高い予測ができそうだ。 (3)ベトナムの未来予想  ベトナムの経済成長が今後どのような方向に進んでいくかについて、以下を参考にして