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金融市場活況は投資家を暇にさせる

   日経平均が4万円を超えて、ダウも4万円ドル伺い始めている。そして為替レートは 150 円近辺を彷徨っている。  これでは、日本株も米国株も投資できる環境ではなくなった。ちょっとやそっとの暴落でも買値水準に達することができないからである。 ちなみに、私が保有している米国株は、は昨年購入したベライゾンを除き、その為替レートは 100 ~ 110 円のレンジに集中している。  このため、株価動向に関わらず利益を享受している格好である。    最近の金融関係で特筆すべき動きは、日銀が 3 月 20 日に発表したマイナス金利の解除で、これによって、好利回りの商品だと、 0.3% 程度の金利を受益できるようになった。  私にとっても、退避している現金の預け先が増えてきたのはうれしい。    一方、金融市場については、株価が上昇しすぎて投資先の選定すらままならなくなった。ましてや、経済関連ニュースすら読みたいと思う記事が少なくなった。  ふと、この暇はどれだけ続くのかと思ってしまうこの頃です。暇ではあるものの、この先は、 GAFAM の決算動向とトランプが今後発言してくる経済政策についてはウオッチしていきたいと思っている。  

アップル社の今後を考察する。(個別銘柄:米国株)

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  (膨大なる株主への恩恵) アップルは言わずとしたGAFAMの一員であるビックテック企業であり、かつ世界を代表する優良企業の一つである。株式の時価総額に至っては3兆ドルを超える途方もない規模に膨れ上がった結果、2015年頃に投資家がこの株を保有していたらテンバガー程度の利益を享受したことになる。それだけではない、リーマンショック前に保有していたなら、この株だけで日本円で億に近づくくらいの富を得ることができた計算になり、アップルが投資家に莫大な恩恵をもたらしたことがわかる。   (ティム・クックという稀代の経営者) アップルの社長ティム・クックは非常に優秀な経営者である。アップルは2013年頃にはアイフォンの成熟化懸念から一度沈みかけて普通の企業に戻ると思われたが、ティム・クックの采配で3兆ドル近くの時価総額を築くまでに復活させることに成功した。 スマホの普及率から考えるとアップルの成長余地は限られ続けている。このため、アップルの今後を占うには単純に言えば、ファンダメンタルで判断しても意味がいない。ティム・クックがいつまで現役CEOでいて、経営のマジックをやり続けられるかだ。アップルに問題が起こるとしたら、ティム・クックの次のCEOがどれだけ優秀であるかだ。 (バークシャー・ハザウェイの動向) さらに、この銘柄を考えるにあたってもう一つのポイントはバークシャー・ハザウェイの存在である。ウオーレン・バッフェットは、現在の株価がその銘柄の根源的価値より安い銘柄の投資することをモットーにしており、その投資姿勢は世界中の投資家の見本になっている。  しかし、バークシャー・ハザウェイは、この根源的価値をバークシャー・ハザウェイ側の経営者への圧力によって実現している面も否定できず、その代表例がアップルでもある。バークシャー・ハザウェイはアップルに事業を対する現状打破に向けた圧力、そして10兆円を超える自社株買いをさせるなどをアップルは余儀なくされている。  このため、バークシャー・ハザウェイ、特にウオーレン・バッフェットが現役でいる限りには、アップルはウオーレン・バッフェットの期待に応えるべく、様々な施策を打ち出してくるだろう。しかし、ウオーレン・バッフェットが現役を引退したとき、ティム・クックはウオーレン・バッフェットからの経営圧力から解放された後に懸念が生じる。 (FTC(

不動産投資の損益勘定 (投資手法の研究)

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不動産投資の損益勘定 (投資手法の研究)  不動産は資産運用の3本柱の一つである。かつては、保有しているだけで資産価値が上昇しひと財産を築けた人も多かったが、昨今の少子高齢化、かつビジネス取引の仮想空間への移行により不動産需要は減少の一途を辿っている。投資家は、不動産市況の表向きな動向如何に惑わされず、この事実に忠実に向き合うべきであろう。 1.アパート経営の有効性  アパートを購入して大家になって、月30万~50万の家賃収入を得る。地主感漂う非常に魅惑的な言葉である。しかし、優良な投資であるかは話が別。少子高齢化の日本ではアパート供給も過剰気味である。借り手は当然だが新築で手頃な家賃の物件に向かう。築年数に応じてアパートの家賃も安くしなければ入居者は集まらず、築30年なら激安にしないと誰も借りてくれない。そんなアパートは郊外にいけばそこら中に転がっている。  そういった状況下でアパート経営する場合、購入時の事業ローンを10年程度に抑え、約10年間の賃貸収入後にアパートを更地にして売却してもトントンになるような投資が理想的である。それが出来れば11年以降は家賃収入=利益となる。当然だが、そんな条件を満たす物件など存在しない。これを達成するには、激安で中古物件を購入し、自力リフォームで商品価値を上げるなどのスキルが必要となる。このようにセミプロ級の事業スキルがなければアパート経営などおぼつかない。 2.住宅用不動産の資産性  高度成長期は数百万で購入した不動産が地価の上昇で売り払う頃には数千万円に化けていたなんて話はいたる所で転がっていた。しかし、21世紀いや80年代バブル以降は、マンションを購入しても売却時の価格は半値程度ということも珍しくはない。これを人生の損得勘定でみると、4000万円の物件を35年ローンで購入した場合、ローン完済までの金利分を含め5000万~6000万円近い支払いをすることになる。維持管理を加えたら1000万円分が加算される。一方、ローンを払い終える頃の物件価値は、手入れが行き届いても1500~2000万円がやっと。約4000~5000万円が消えてしまうことになる。この差額は、生涯に渡って住み続けるための仮想的な家賃でしかなく、都心の一部の物件を除けば持ち家の資産性なんてそんな程度でしかない。 一般に 平均年収の人なら3000万円、エリート会社

相次ぐ強気報道が相場に示唆するもの(温故知新)

 (バブル高値越えに伴う報道姿勢の変化~日経記事タイトルから~) 〇日米株式市場、相次ぐ強気見通し 景気・企業業績を楽観 日米株式市場で相場が一段高になるとの観測が広がる。主要な株価指数は先週、過去最高値を更新した。米経済が底堅さを維持し、企業業績が上向くとの見方がある。国内も、賃上げの実現が内需を支えるとの期待が出ている。 〇株最高値、今回はバブルにあらず 89年と違う企業と個人 日経平均株価が22日、1989年に付けた過去最高値の3万8915円を上回った。過熱感を心配する声もあるが、89年当時と今を比べると、あらゆる状況が違っており、今の株高は実績に裏付けられた、堅実な上昇だ。日経平均の過去最高値到達は、まだまだ通過点とみていい。 〇株価の「砂漠」業績で突破 来期は増益企業8割に拡大 年初から高騰に沸く日本株。22日の日経平均株価の終値は前日比で2%高い3万9098円と、1989年につけた史上最高値(3万8915円)を上回った。 日本株買いの手掛かりの1つが、経済再開や値上げの浸透、円安を追い風にした好調な企業業績だ。トヨタ自動車や任天堂などは2024年3月期通期の業績予想を上方修正し、今年に入って上場来高値を更新した。 〇上場企業の純利益、34年で7倍 ROEは米欧に見劣り 日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新した。日本の主要企業の純利益はバブル経済時の1989年から約7倍に拡大。海外で稼ぐグローバル企業の成長が原動力となった。自己資本利益率(ROE)をみてみると、借入金に偏った資金調達も見直され、製品やサービスの付加価値を高め収益を伸ばす経営が根付いてきたことが分かった。 (記事の論調変化) 記事の論調については、上記の通り、バブル高値を超えてから日本経済に対してポジティブな報道が多くなった。ここ数か月でまるで手のひらを返したようだ。日本経済や企業動向に大きな変化があったわけではない。単に日経平均がバブル期の目安である38915円を超えただけに過ぎない。とはいえ、報道姿勢の変化で世の中の雰囲気が変ってくるのだから面白いものである。 実際、バブル後30年間でこれだけ強気な報道をしたのはほとんどなかった。そういった意味では2024年は日本経済又は日経相場が新領域に突入したとも言えなくもない。 とはいえ、歴史を振り返れば強気相場の常套文句は、「今回のバブル越

総合商社の銘柄分析 (個別銘柄:日本株)

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    総合商社は、戦前・戦後と続く日本を代表する企業である。他名門企業の多くがバブル以降に脱落し斜陽になりかけているのを尻目に、今もって王者の地位を守り続けている数少ない名門企業である。そして総合商社は、かつての仲介業から新規ビジネス領域に果敢に挑戦するベンチャースピリットを兼ね備えた投資会社に変貌しようとしている。企業の経営リソースを最大限に発揮させるためにも、総合商社は世界を股にかけたビジネスイメージと日本最高峰の給与水準を流布することで、日本屈指の優秀な人材の確保に務め続けている。 〇日本経済を背負ったコングロマリット  そういったイメージと裏腹に、旧態依然のような偏向的な大学閥の社員採用。そして日本株式会社の激務、熾烈な社内政治。どう見ても、旧態依然とした日本特有のエリート体質の染みついた社風でもある。総合商社は、10近くのカンパニーを抱える超コングロマリットである。これらカンパニーのほとんどは戦前の財閥の流れを汲んだまさに日本国の番頭のような事業であり、各々のカンパニーがそれなりの利益をはじき出せている。そういった点では、ほとんどの事業が成熟しているが会社の経営としては盤石すぎるくらいに盤石である。とはいえ、株式市場は、総合商社に対して大きすぎる事業規模と成熟性を理由に低PERの評価を与えている。当然と言えば当然である。 〇資源ビジネスが強い三菱商事、三井物産の凄み  ここ20年程度は、資源高に支えられて総合商社は未曽有の利益をはじき出した。これを一本足打法のように危険視する見方もあるが、投資対象として妙味が十分にあることを物語っている。鉄・銅・石炭・石油・天然ガスなどはその需要が上がることはあっても下がることはない。需要の波があるかもしれないが、資源市況如何で大儲けできるビジネスを持っている強みは相当なものである。 一般に、一つのビジネスを会社の基幹事業までに成長させることは至難の業である。餅屋は餅屋を脱却できない。だからこそ投資家はコングロマリット企業を評価しない。それは総合商社も同様で、コンビニやファッションブランドなどで成功しても商社の経営を引っ張るだけの利益水準には程遠い。それだけでなく、時代とともに人の趣向が変化してビジネスモデルが衰退化することさえ危惧される。さらに、次から次へと儲かるビジネスを発掘し純な時だけ経営に関与するなどの都合の良い

投資家から見た日経平均のバブル越えについて(温故知新)

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     私自身、日経平均がバブル最高値近くに上昇するなど予想だにしなかった。この反省点として、自分自身が物知り顔してエコノミストを真似るように日々の経済情報を分析して、見当違いの仮説を立てていたことに他ならない。とはいうものの「最も危険なことは、時代のトレンドに陶酔する」「高度成長期の投資事情から現在に通じる投資法を学ぶ」などで大局的な視点で投資を考えることはしてきたつもりだ。 やはり、相場は、長期時間軸で見ると「浮き沈みを繰り返しながらゆっくりと長期トレンドに沿って、一定方向に進んでいく」というのは、紛れもない法則に違いない。この領域になると、経済分析ではなく、我々生命のもつ特定の周期論と重なってくるのであろう。今回は、日次、月次、年次の経済情報の相場分析と株式市場のベクトルは長期軸では必ずしも一致していないことを深く痛感させられることになった。 (長期トレンドから見た投資法) 今回の上昇相場の始点を遡ると、やはりアベノミクスが相場の転換点であったのは間違いない。その間には、2016年、2020年と何度かトレンドの転換を思わせる状況下もあったが、それでも長期軸でトレースをすると日経は上値を切り上げてきた。しかし、この流れは、違った視点でみれば、あの奇跡的な上昇をみせた高度成長期と変わるものではない。例として1974年~1975年の新聞を斜め読みしてみれば、経済欄の記事は暗いニュースや経済危機的な論調のオンパレードであり、その数年後に福田内閣は大量に赤字国債を発行して景気を刺激させることでこの流れを食い止めることになる。そんな混沌とした状況の中で10年後にバブル経済が起きるなど誰も想像することすら出来なかった。つまり、1975年の世相や経済記事に流されて、悲観的な投資をしていたら大儲けをすることが出来ず、逆に、悲観的なニュースに惑わされず馬鹿になるくらいに日本の将来を信じて10年程度ほったらかすくらいの投資をした人が大儲け出来た。  とはいえ、この長期トレンドの転換期である1989年から1990年以降になると、楽観的な人が大損を喰らうことになる。そして、アベノミクス以降は、楽観的に日本株を持ち続けていた人が勝ち組に代わる。投資をする場合、長期トレンドとの擦り合わせが非常に大切なことが分かる。 (有名な格言を参考にする)  日経がどこまで上がるかは当然であるが誰にも

為替レートと政策金利から債券投資を考える(投資手法の研究) 

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  資産運用においてリスク分散は大切で、株式相場が低迷しているとき、元本保証でかつ利息が確約されている債券投資は魅力的に映ってしまう。さらに、外国債券については、金利動向だけでなく為替レートを組み合わせることで,利回りにレバレッジをかけることが出来る。これらを上手に利用すれば、債券でもそれなりの運用ができてしまう。 1.外債投資 1.1 日本国のファンダメンタル等から見た為替レート 為替レートの動向を当てるのはそう単純ではない。一見、円安局面一色にみえても、数年後には円高になっていることも少なくない。逆もしかりである。日本円は、ファンダメンタルの物差しを変えれば、円安にも円高にも振れてしまう要素を持ち合わせている。 ①世界一の債権国と未曾有の金融緩和 日本は世界一の債権国であることを忘れてはいけない。そしてIT分野を除けば世界有数の技術大国でもある。通常なら円高圧力がかかるはずだが、現状においては無視され続けている。 これは、デフレ退治という大義名分でアベノミクスによる未曾有の金融緩和を行った結果であり、ドル円は日本の国力に比べ安すぎる水準で放置されてしまった。さすがに10年近くも放置したことにより、発展途上国並みの物価水準になるなどの副作用がでている。しかし、日銀にとっては、この金融緩和政策終了宣言ことこそ最大の関門で、日銀の国債保有額は、植田日銀総裁になってからも、2023年3月末の576兆円から11月594兆円に増加している。 ②基軸通貨国である米国の強み  日本は世界一の債権国。一方、米国はダントツ世界一の債務国。さらに、米国国債の債務膨張も加速的に進んでいくことが予想されている。これだけなら為替レートは限りなくドル安水準に進んでいくものである。しかし、為替レートの動向はファンダメンタル的な要素だけでなく米国政府の意向も無視できない。米ドルは世界の基軸通貨であり、今のところ世界有数の信用力の高い通貨でもある。そういった強みを生かして、米国当局が、米国経済をより適切な方向に誘導するために為替レートを調整している。為替動向は個々のファンダメンタル以上に米国政府の政治意向が見え隠れしている。 2.インフレ基調の復活 ①米国の政策金利引き上げ 中国が世界のサプライチェーンの重要な役割を担い始めたころから、世界中人々が品質の良い製品を比較的安い値段で手に入れられるよう