日本に漂う閉塞感の正体
これは私自身の勝手な思い込みなのかもしれないが、日本中に言いようのない閉塞感が漂っているような気がしてならない。それは年を追うごとに強くなっているようでもある。
人は無意識に以心伝心で相手の心と通信しているものだ。そのため、言葉を交わさなくても周りの人たちの不安な気持ちは空気感として伝わってくるものだ。
1. 経済は先進国 労働環境は後進国以下
コロナ禍によって、世界中でテレワークが拡がり在宅ワークが一般的になり始めたが、最近の通勤ラッシュ状況を見ているとライフワークバランスは形だけにすぎず、本当に先進国民の姿なのかと疑いたくなる。帰りの電車でも、神奈川、埼玉、千葉の郊外に向かう電車に乗るサラリーマンの哀愁漂う姿。特に、夜8時から10時に乗る列車内は、夜も遅いのに電車は込み合っている。そこには、仕事疲れというよりは35年ローンや子供教育費の重圧を背負いながら、ストレスを抱えて仕事にしがみ付こうとするサラリーマンの切ない哀愁が充満している。
2.第二次世界大戦時の日本兵のデジャブ
日本人は「お上」に反抗することを好まない。これは会社でも同じだ。とにかく上のいう事に忠実に実行しようとひたすら頑張る。これは高度成長期において西欧諸国に追いつくための武器でもあった。あれから50年が経過し西欧諸国と肩を並べても日本人は愚直に同じことを繰り返している。例えるならば、多くの社員が経営幹部の稚拙な方針を愚直に達成しようと必死に頑張る。しかし、計画が稚拙だからビジネス上の敗戦を繰り返し、しまいに傾きつつある会社に、社員は疲労困憊と将来不安に慄いている。それは第二次世界大戦の敗戦が確実視される中でも軍部の命令を忠実に従い続ける日本兵士のデジャブであり、世界有数の技術力を誇りながら倒産にひた走りをした東芝やシャープなどの姿でもある。これでは、ホワイトカラーの生産効率は先進国で最下位になるのも当り前で、明らかに日本人は勤勉の方向性がずれてしまった。
3.閉塞感の正体
.日本の閉塞感は、日本人の多くが目に見えない空気感に縛られ、それに忠実にならなくてはという束縛に起因するのである。実際に、日本で鬱を発症しても東南アジアに移住したら治ったという話は多い。さらに、近年の産業高度化により、ヘルプデスクなど給料が安い割に対外的なコミュニケーションを必要とするストレスフルな仕事が増加した事。コンピュータなどバグの許されないマメな仕事も増えた事。さらに成熟した社会で売り上げアップをひたすら強いられる日本兵も加わる。さらに、人々の寿命が延びて、人生100年時代と言われる昨今、サラリーマン退職後に少ない年金での長い老後が待ち構えており、さしたる趣味、夢も希望もなく家に籠りっきりの老人も多い。そういった人たちの気持ちが日本中に充満し、空気感を敏感に感じる日本国民の日常生活に突き刺さってくるのであろう。
戦前の日本にタイムスリップしたらわかるであろうが、戦前の多くの人々は貧しかったが、それに対し何も疑いのもなく生きていた。結婚も難なく出来たし、子供の将来など後先を考えずに子供をたくさん作った。なんの疑いもなく、子供を奉公にだしたり、身売りまでした。それでも子供は生んでくれた親に恨みを抱かず、親を慕っていた。さらに人々の寿命も50~60歳程度であり老後を気にすることもなかった。100年近く前まではそれが当たり前だった。
このように閉塞感は日本国民全体が作り上げている雰囲気である。これから脱出するためには、日本人であること忘れ、自分が外国人になった気持ちで日本社会を眺め、同調圧力をできるだけ回避する訓練をするしかない。
当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べたものにすぎません。このため、当ウェブサイトに掲載された情報によりなされた判断及び一切の行為は、閲覧者の自己責任においてなされるものとします。いかなるトラブル・損失・損害に対しても、一切責任は負いません。
コメント
コメントを投稿