投資対象としてのREIT (投資手法の研究)
(REITと不動産投資の相違) 人口減少社会における不動産投資の考え方として、不動産投資というのは株式市場のような玉石混合の混じった市場でもあるにも関わらず、物件情報に透明性がないので、プロ的な要素を持った投資家が優位になりやすい。 同じ不動産投資でもREITは、比較的株式のように情報に対する透明性が高いだけでなく、投資信託としての社会的責任を負わされているので、投資家を欺いて多額な損を与えるような商品設計を行えば、そのこと自体が社会問題となり、金融庁は認可基準が厳しくするなどの法的整備を余儀なくさせられてしまう。 実際、REITが倒産して多額な損を被るような暴落はリーマンショックなコロナショックなどの特殊経済環境を除いて起きていない。 (メリットとデメリット) そういった視点でREIT分析を試みると。 メリット1:大都市圏の優良物件が多い その理由として、 ①大都市圏の不動産は概して需要が高いため空室率が低い。②そして、需要の高さから流動性も高い。さらに③人口減社会といえども大都市圏内には世界各国の資金が流入することで地価上昇が見込めやすい。強いては、それが不動産価格上昇や賃料価格上昇を呼び込みやすい。 メリット2:投資商品としての代替 REIT物件のほとんどは、ビルの立地や建物の属性から選定しており、その観点から特に東京都心5区に集中しやすく、実際賃貸オフィスビルのうち約10%の床を所有していると言われている。また、新耐震基準・中小規模ビルの所有割合が相対的に高く。物件そのものが投資資産として活用できる。 このため、物件の価値が上昇した場合、①一部の物件売却により利益を確定することができる。また、②市場環境変化によるポートフォリオの再構築などの投資戦略の見直し、③有利子負債の圧縮なども比較的容易に行える環境を整えている。 デメリット:金利上昇に弱い REITは、投資家から集めた資金だけでなく、レバレッジをかけるために銀行からの借入れなどを行っている。したがって、金利が上昇すると、その借入金の利息負担が増加するだけでなく、借入金の早期返却を求められたりすることも想定されるなどのREIT収益を減らす要因がある。 また、金利が上昇することで、REITと他の金融商品との間の利回りの差(スプレッド)が縮小し、投資家がより安定的な国債などの他の金融商品へと