株主優待にみる投資家行動のパラドックス
株主優待投資という投資カテゴリがある。株主優待に積極的な企業に投資して日常生活の出費の足しにする。投資家には人気の分野で、書店には数多くの本が並び、ネットでは無数のブログが投稿されている。しかし、私は株主優待投資という投資手法に少し疑問を感じてしまう。
そもそも投資視点で見れば、株主優待をする銘柄のほとんどは内需系であり、サービス企業が多い。これから日本が深刻な人口減少社会に向かっていくことを考慮すれば株価上昇は期待できるものではない。割高な時に購入すると10年分の配当と株主優待分が吹っ飛びかねない。
商品系の優待に至っては、自社製品2000円~3000円分を詰め合わせでプレゼントするのが典型的なパターンであるが、定価ベースなので商品数は少なく、同じものを近くのスーパーで購入したら、その7掛け程度で購入できてしまうためお得感に乏しい。もし優待品が、定価ベースで5000円~10000円分の提供ならお得感がいっぱいになるのだが。
それだけしかない株主優待に対し、本やブログでは面白おかしく記事を載せている。ただ、松屋、吉野家、マクドナルドなどの飲食系優待は年に10~20食分の食事優待券を提供してくれるので、数社分購入すれば食べきれない位のボリュームの優待券が手元に届くことになる。それでも冷静に利回り換算すると1%~2%程度に過ぎない。
ただ、2015年ごろから会社側が株主懇親会を取りやめると発表したので、それを機に売却をした。1600円で買って1800円で売った。保有期間は6年近くだが、途中でリーマンショックがあったため長い間塩漬け状態が続いていて、やれやれ売りに近かった。もしもだが、今もって株主懇親会を続けていたら私はこの銘柄をプライスレスと判断し、盲目的に保有し続けたかもしれない。
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