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老人ホーム化する日本企業

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少子高齢化の影響は、単なる人口減少にとどまらない。企業に目を向ければ、従業員の高齢化が急速に進んでいることが見て取れる。特に、スーパーなどのサービス業、建設業や測量といった現場職、個人向け商品を扱う営業職などでは、その傾向が顕著だ。一部上場企業の多くで平均年齢が40歳を超え、中には50歳を超える企業も増えている。さらに、2025年4月からは厚生労働省による高年齢者雇用安定法に基づき、65歳までの雇用確保が義務化される。これにより、年金行政への貢献という側面も考慮すれば、企業の従業員高齢化は今後一層加速していくことは避けられないだろう。 企業の従業員構成の変化 かつて一部上場企業のホワイトカラーでは、課長が40代前半、部長が50代前後で、55歳で役職定年となるのが一般的だった。一方、中小企業では詳細な人事制度が整備されておらず、50代後半の管理職も珍しくなかった。 しかし、今後は大企業においても、現場系の部署の役職は従来の年齢より5歳から10歳引き上げられ、50代後半の現場管理職が一般的になるだろう。さらに、65歳を超えてもシニアアドバイザーとして精力的に活躍する人も珍しくなくなるに違いない。 では、本社部門はどうなるのか。欧米企業を見ても明らかなように、グローバル競争を勝ち抜くには知力と体力が不可欠だ。そのため、役員の平均年齢は50代前半、社長は50代後半がターゲットとされる。本社系のスタッフ部門もこれに合わせ配置され、これまで以上に若返りを図り、経営に臨むことが求められるだろう。 老人ホームに変貌する企業 政府は定年を65歳に引き上げた。さらに、政府と厚生労働省は、日本人の平均寿命の延伸を考慮し、定年を70歳まで引き上げることも視野に入れている。年金受給開始も70歳からが標準となるだろう。これは年金財政に苦慮する政府にとって、まさに好都合な話である。 一見理不尽に思えるかもしれないが、会社に居続ける高齢者の多くは、独身者、あるいは世帯持ちでも子供が既に独立しているなど、自宅にいても特にすることがない人々だ。要するに、彼らは時間に余裕があるのだ。そのため、会社にいることが楽しくて仕方がない。まさに、サラリーマンの「老人ホーム化」と言える。それに伴い、在職中に亡くなったり、身体機能が低下したりする人も増えてくる。会社を退職して数年で亡くなるケースも珍しくなくなるだろう...