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人生100年時代に向けた健康への気配り

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 (ライフステージの「横ずれ」) 人類の寿命は、医療技術や生活環境の進化によりかつてないほど延びている。時代を遡れば、明治時代の平均寿命は約50歳。昭和の高度成長期には50歳は「老いの入り口」程度になり、令和の現代では50歳はまだ現役世代扱いである。今では高齢になっても仕事を続ける人や80歳代のフルマラソンを完走するなどアスリートやボディビルダーが登場してきた。音楽界でも、80歳を超えて現役でロックを演奏するシンガーが現れ、投資家ウォーレン・バフェット氏は95歳でも現役を堅持している、パートナーのチャーリー・マンガー氏も99歳まで活躍した。このように、ライフステージの「横ずれ」が起きており、私たちは寿命とそのライフステージにおいて未踏の領域に突入している。 (超長寿社会の到来)  人口問題研究所調べでは、日本の100歳以上の人口は、2020年:約8万人⇒2030年:約17万人⇒2040年:約32万人⇒2050年:約53万人と推定されている。ちなみに2050年の日本の人口は1億人強と推定されており、200人に1人は100歳以上という計算になる。 その多くは女性である可能性が高いとされている。これまでは、「100歳=ただ生きているだけ」という人が殆どだったが、100歳以上でも様々な分野で現役を貫く人たちが間違いなく続出するのは間違いない。吉永小百合は80歳とは到底見えない若々しさを保っている。2050年には100歳にも関わらず40歳~50歳にしか見えない外見の若さを保った女優が現れるのも絵空事ではない。さらに、医療技術や栄養学、予防医学の進歩によって、140〜150歳まで生きる人が登場する可能性も否定できず、様々な事に対する年齢(リタイア)の限界が再定義されつつある。 (職業と寿命の関係) とはいえ、実際には長寿を享受する人とそうでない人との格差も増々拡がっていきそうだ。その要因の一つは「健康意識」であり、職業の選び方も寿命に大きな影響を与える重要な要素になる。高齢になるにつれ体に悪い仕事内容を挙げてみると、①裁量権がない仕事②夜勤や昼夜シフト制の勤務③過重労働や重度な調整業務によるストレスを溜めやすい仕事④暴飲暴食、外食中心の健康を考えない食生活etcなどが挙げられる。実際、裁量の大きいオーナー経営者などはストレス管理がしやすく、長寿傾向が見られる。一方、IT...

老人ホーム化する日本企業

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少子高齢化の影響は、単なる人口減少にとどまらない。企業に目を向ければ、従業員の高齢化が急速に進んでいることが見て取れる。特に、スーパーなどのサービス業、建設業や測量といった現場職、個人向け商品を扱う営業職などでは、その傾向が顕著だ。一部上場企業の多くで平均年齢が40歳を超え、中には50歳を超える企業も増えている。さらに、2025年4月からは厚生労働省による高年齢者雇用安定法に基づき、65歳までの雇用確保が義務化される。これにより、年金行政への貢献という側面も考慮すれば、企業の従業員高齢化は今後一層加速していくことは避けられないだろう。 企業の従業員構成の変化 かつて一部上場企業のホワイトカラーでは、課長が40代前半、部長が50代前後で、55歳で役職定年となるのが一般的だった。一方、中小企業では詳細な人事制度が整備されておらず、50代後半の管理職も珍しくなかった。 しかし、今後は大企業においても、現場系の部署の役職は従来の年齢より5歳から10歳引き上げられ、50代後半の現場管理職が一般的になるだろう。さらに、65歳を超えてもシニアアドバイザーとして精力的に活躍する人も珍しくなくなるに違いない。 では、本社部門はどうなるのか。欧米企業を見ても明らかなように、グローバル競争を勝ち抜くには知力と体力が不可欠だ。そのため、役員の平均年齢は50代前半、社長は50代後半がターゲットとされる。本社系のスタッフ部門もこれに合わせ配置され、これまで以上に若返りを図り、経営に臨むことが求められるだろう。 老人ホームに変貌する企業 政府は定年を65歳に引き上げた。さらに、政府と厚生労働省は、日本人の平均寿命の延伸を考慮し、定年を70歳まで引き上げることも視野に入れている。年金受給開始も70歳からが標準となるだろう。これは年金財政に苦慮する政府にとって、まさに好都合な話である。 一見理不尽に思えるかもしれないが、会社に居続ける高齢者の多くは、独身者、あるいは世帯持ちでも子供が既に独立しているなど、自宅にいても特にすることがない人々だ。要するに、彼らは時間に余裕があるのだ。そのため、会社にいることが楽しくて仕方がない。まさに、サラリーマンの「老人ホーム化」と言える。それに伴い、在職中に亡くなったり、身体機能が低下したりする人も増えてくる。会社を退職して数年で亡くなるケースも珍しくなくなるだろう...

人生100年時代のFIRE(セミリタイア)論

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 この100年での人々の寿命は大きく伸びて、人生100年時代が現実味を帯びてきた。このため、FIRE(セミリタイア)をするにしても、人生100年時代を念頭におく必要があるようだ。 1.実感年齢の著しいシフト 人の寿命は、日を追うごとに伸びている。たとえば、50歳という年齢は、わずか百数十年前の明治時代ならば人生の終盤に差し掛かった老人であり、生ける時間も残り少なかった。しかし、100年以上を経過した現代で、50歳でも見た目は30代という人はざらにいる。60代は年金給付年齢のスライドにより何らかの仕事に就く人が大半となり、最近は70代でも元気に働いている人たちが増えた。ローリングストーンズなどは80歳近くになってもライブツアーで不良極まりない激しいロックを歌い続けている。一般人でも80代になると体力は落ちるが、旅行などのレジャーなどを楽しんでいる人達も増えてきた。人生100年時代と言われる中、自由に体を動かせる年齢、いわば健康年齢の閾値が上がっている。 2.給与年齢と生活年齢の乖離  健康年齢がこれだけシフトすると60歳でも20年から30年近くは様々な事を楽しめる。そうなると、人生を楽しむためにはお金とどのように向き合っていくのかは非常に重要なテーマになる。当然であるが、年をとるにつれ条件の良い仕事は名誉職など以外は殆どない。60歳以降になれば、現役時と比べたら惨めなくらいに半分又はそれ以下の収入しか稼げなくなる。このような状況にも関わらず十分な貯蓄を出来ないまま60才を迎えている人は多い。そうなると、遊びたくてもお金がなく、いくつになっても不足分を補うために条件の良悪に関わらず仕事をしなくてはいけない。それではあまりにも悲しい。 給与年齢と生活年齢の乖離を冷静に見すえた人生設計は非常に大切である。 3.FIREやセミリタイアの適齢期  現役時にFIREやセミリタイアなど考えることは明らかに人生における重大な機会損失である。もし、仕事が合わなく尋常ではないストレスに苛まれるなら、給与などの条件をいく分下げても自分の居心地の良い会社を見つけるまで転職を繰り返し、60歳まで持ちこたえ資産を貯めて、次のフェーズに備えるのも立派な人生設計の一案である。 4. 50代までの蓄財  適切な人生設計という点では、現役時は給与の5割以上は貯蓄に回すことを死守する。この目標は修...

「五公五民」時代における賢い人生の歩み方

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( 「五公五民」の重税時代突入 ) 30年以上に渡って、サラリーマンは 収入が増えても、その分だけ税金も増えるため手取りがなかなか増えなくなった。それでもよる デフレ経済下で、大半の商品を安く購入できたので手取りが増えない苦しみを軽減することができた。 しかし、2021年頃から事業者側が躊躇なく商品の値上げするようになり、我々庶民は重税とインフレのダブルパンチを被っている。そんな庶民の苦しみを知らずか、政府は執拗にステルス増税を仕掛けてくる。まさに江戸時代の農民への 「五公五民」 と変わらぬ、サラリーマンの困窮時代が到来してしまった。 (国民負担率の世界的な位置づけ) 日本国民の税負担は今や五公五民となってしまったが、世界を見渡すと西欧諸国においては五公五民どころではない負担率がザラで、日本が突出して高いとは言えない。これら西欧諸国は成熟化した社会性民主主義国家で福祉の充実した国家でもある。一方、米国などビジネスを優遇する国は消費を喚起する目的から国民負担率はそれ程高くない。 つまるところ、ビジネス環境の柔軟な国は総じて 税負担が 低く、成熟し国全体が一種の共同体みたいな国は総じて高い。日本の今後の立ち位置を考えるとき、西欧諸国型、自由競争の米国型のどちらにも属しておらず、まさに「二兎を得るもの一兎を得ず」のようなグラグラ感がそこにある。 (重税からの束縛に逃れられない) 日本は深刻な少子高齢化の真っ最中であり、高齢者の医療や生活を守るために膨大な国債発行や政府債務を膨らましている。経済的には 世界トップレベルの債権国でなんとか均衡を保っているのが現状である。しかし、高齢化の波は今後さらに進んでいくことを踏まえると、日本政府は更なる増税を課すしか方法はなく、国民の様々な収入に対し、 ステルス増税を続けていくことになる。このため、 五公五民どころか六公四民、七 公三民すら現実味を帯びてさえする。 この状況は、 江戸時代の幕府などの大名と小作農民の関係と何も変わらない。日本で生活する限り、一般庶民がお金に余裕を持つことは絶望的で、金欠の束縛という閉塞から逃れることが出来なくなったと言って良い。 (五公五民時代を意識した資産運用) 我々はそういった現状に嘆くのではなく、そういった事を意識しながら早い時期に一定以上の資産を貯めることに注力すべきである。今の時代と江戸時代の決...

国民健康保険料に垣間見る日本経済の歪

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(桃源郷のような医療制度) 日本は、世界に誇る「国民皆保険」制度の国であり、外国とは違って、少ない保険料負担で安心した医療を受けられる素晴らしい国である。しかし、国民健康保険という点では状況はちょっと異なる。  通常会社員なら、会社が属する健康保険組合に加入しても、その保険料は会社との折半のため、大体給料の5%程度が差し引かれることになる。国民健康保険料の場合、なんと会社との折半がないので年収の10%程度を国民健康保険料として支払わくてはいけない。  これは、年収100万円なら10万円 300万円なら30万円ということになる。 実際には、減額制度のあるので規定通りに支払うとは限らないが。どう見ても加入者にとって大きな負担であることには変わりない。 ( 国民健康保険加入者の与信の低さ) 一般的に、国民健康保険は、高齢者や無職やアルバイト、そして個人事業主がその対象となる。これら与信の低い層を対象にしているとなると納付延滞率が気になってしまう。  とはいえ、国は納付者の与信など気にかけていない。被保険者が納付を怠ると市役所からの督促がかかり、それを無視し続けると財産差し押えにまで発展する。すごい、消費者金融と変わらないではないか。消費者金融は用途のあるお金の借金。国民健康保険は。医者にかからなくても必ず払わなくてはいけない。 (厳しい財政状況)  それでも、加入者からの納付だけでは国民健康保険の運営を維持することができず、結局のところ、国からの多額の補助金でどうにか体裁を保っているのが現状だ。 今後は、少子高齢化が進むことで退職した高齢者(74才まで)を中心に国民健康保険に加入者は増加することが予想される。また、その多くは持病を持ちであり、常時通院をしている人も少なくないので、放置すれば国民健康保険の財政を圧迫する。国は高齢者に雇用を推進して企業側の健康保険に入ってもらいたいというのは本音であろう。  (金利収入も社会保障の対象)  こういった事情を考慮すれば、多額の金融資産を保有して、数百万の配当金収入を得ているセミリタイア層も増税のターゲットになるのは必然。これらセミリタイア層は、無職扱いで国民健康保険料を最低ランクの4~5万円程度しか支払っていないからだ。それは金融資産の多い高齢者にも当てはまる。政府はとれるところから徴収して、社会保障の運用を維持していくものと見...