相次ぐ強気報道が相場に示唆するもの
(バブル高値越えに伴う報道姿勢の変化~日経記事タイトルから~)
〇日米株式市場、相次ぐ強気見通し 景気・企業業績を楽観
日米株式市場で相場が一段高になるとの観測が広がる。主要な株価指数は先週、過去最高値を更新した。米経済が底堅さを維持し、企業業績が上向くとの見方がある。国内も、賃上げの実現が内需を支えるとの期待が出ている。
〇株最高値、今回はバブルにあらず 89年と違う企業と個人
日経平均株価が22日、1989年に付けた過去最高値の3万8915円を上回った。過熱感を心配する声もあるが、89年当時と今を比べると、あらゆる状況が違っており、今の株高は実績に裏付けられた、堅実な上昇だ。日経平均の過去最高値到達は、まだまだ通過点とみていい。
〇株価の「砂漠」業績で突破 来期は増益企業8割に拡大
年初から高騰に沸く日本株。22日の日経平均株価の終値は前日比で2%高い3万9098円と、1989年につけた史上最高値(3万8915円)を上回った。
日本株買いの手掛かりの1つが、経済再開や値上げの浸透、円安を追い風にした好調な企業業績だ。トヨタ自動車や任天堂などは2024年3月期通期の業績予想を上方修正し、今年に入って上場来高値を更新した。
〇上場企業の純利益、34年で7倍 ROEは米欧に見劣り
日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新した。日本の主要企業の純利益はバブル経済時の1989年から約7倍に拡大。海外で稼ぐグローバル企業の成長が原動力となった。自己資本利益率(ROE)をみてみると、借入金に偏った資金調達も見直され、製品やサービスの付加価値を高め収益を伸ばす経営が根付いてきたことが分かった。
(記事の論調変化)
記事の論調については、上記の通り、バブル高値を超えてから日本経済に対してポジティブな報道が多くなった。ここ数か月でまるで手のひらを返したようだ。日本経済や企業動向に大きな変化があったわけではない。単に日経平均がバブル期の目安である38915円を超えただけに過ぎない。とはいえ、報道姿勢の変化で世の中の雰囲気が変ってくるのだから面白いものである。
実際、バブル後30年間でこれだけ強気な報道をしたのはほとんどなかった。そういった意味では2024年は日本経済又は日経相場が新領域に突入したとも言えなくもない。
とはいえ、歴史を振り返れば強気相場の常套文句は、「今回のバブル越えは、前回のバブルと全く異なり市場は正当な値を付けている」と評する論調が主流になることである。一部の否定論者も存在するが相場環境の圧倒的な強さにひれ伏してしまい最後には肯定側にまわってしまう。実際、前回のバブル時も、「株価は高くても日本の国際競争力の無双状態を鑑みればこの株価は異常ではない。」というのが一般の意見であった。その当時は、衰退期の中でもがいていた米国がIT産業で復活することやその頃は後進国であった中国、韓国、台湾が日本のお家芸である半導体などの製造業のお株を奪うなど誰一人として予想だに出来なかった。日本はこのまま世界一の技術大国として未来永劫輝き続けると世界中の識者が信じて疑わなかった。まさにジャパンアズナンバーワンである。
バブルにはバブルなりの理由がある。しかし、後年振り返ると、バブル株価とは、ポジティブ情報に過剰すぎるくらいに反応した結果にすぎない。
(相場格言に頼る)
こういう時こそ相場格言に頼ってみよう。まず「当たり屋につけ」を利用し、強気相場において脚光を浴びている銘柄に短期的な視点で投資するのもよかろう。そして中期的には、この強気相場を冷静に見つめなおし、「行き過ぎもまた相場」で首を突っ込みすぎることへの注意喚起を払い。さらに、相場状況が雲一つない空になっている時こそ、「人の行く裏に道あり花の山」という格言も視野にいれるのも良い。つまり「皆が買っている時はバカになって売りに出よ」。ということになる。
(長期にわたるトレースの必要性)
私自身の勝手な想定では、今後の日経平均は半導体から周辺の優良銘柄に買いが集まり、強気相場に拍車をかける可能性が高いと思っている。その時、周りでは、「日本経済の復活」「第二の高度成長期」「経済拡大に向けたxxの再開発」。などというフレーズが飛び交うことも想定される。
しかし、格言には周りが楽観的になったあたりで一つの相場又は時代の終わりであることが示唆されている。アベノミクスいやそれ以前の小泉改革から始まった日本企業の経営構造改革はフィナーレを迎え、地中深くに次の時代の種が植えられているのかもしれない。当然だが、その種は今時点ではどういった種で、どこにあるのかは誰もしない。皆が分かりはじめるのは、種の芽が出始める4~5年後、いや10年後になるのであろう。
しかし、長期軸で見れば相場が転換すれば、投資対象や投資の仕方も180度回転しなければならない。これまでの全く逆の手法でないと儲けることができなくなるということである。こういったことを踏まえて、長期投資家という視点で日本の株式市場をウオッチしていかなくてはいけない、
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