Fireに乗れた人と乗り遅れた人(ライフスタイル探求)
1.FIREムーブメントの台頭
Fireがこれほど若い人たちにとって人気なのは、ネット環境などの仮想空間の充実で他人と関りが少なくなっている中で、旧態依然の日本株式会社という日本社会の同調圧力に息苦しさを感じているからにほかなりません。 日本企業は、いまだに高度成長期の悪しき労働環境を引きずっています。それなりの企業に入っても職場環境や人間関係で幻滅させられます。今の若者の多くはストレスを溜めながら社会的な地位を守るより、ストレスを溜めない自由な生活を求める傾向があります。
2.アベノミクスと米国の株高が、にわかFIREを増加させた。
FIRE民には、リーマン・ショック後のアベノミクス恩恵か米国の株高に乗った人が多い。実際、2010年代の相場は歴史的に稀に見る投資における好環境であったことが下記でもわかります。
2008年:6,819円~2021年:30,714円 リーマン・ショック後の日経平均
2009年:6,500ドル~2021年:36,832ドル リーマン・ショック後の米国ダウ
1974年:3,355円~1989年:38,915円 (参考)日本の80年代バブル
もし、2012年にGAFAに投資したら10倍近くの儲けを獲得できるし、今流行のインデックス投資をすれば、それだけで数倍に膨れ上がります。つまり、この時期に危険を恐れず果敢に投資した人は、実力以上のリターンを得て、その一部はFIREを実践している人もいると推測されます。なので、原資を1500万程度として、米国のハイテクや日経やS&Pのインデックス投資をしたら資産を5千万円までに増やせることは十分に容易であったと言えます。
しかし、次の10年がそうなるとは限りません。逆に2010年代のような相場環境はもう当分来ないと疑った方が賢明かもしれません。
3.FIRE生活のイメージ(金銭面)
FIREを成し遂げる条件は、一生涯においてお金を困らないような蓄財した後、資産運用や自分の好きな仕事でのほほんとした生活をおくれるようにすることです。
これは相当ハードルが高いのですが、アメリカの超優良銘柄に投資すれば5千万円程度の資産でも十分に成り立ちます。あとはストレスのたまらない程度の毎月の出費ですが、これは人それぞれの価値観に依存します。人によっては月10万円で満足できるし、それより少ない7万円でも満足できます。逆に15万円は最低必要だという人もいます。
そういったことを踏まえた具体例として、5000万円の資産を米国の超安定銘柄であるコカ・コーラ、P&Gなどに投資して年利2~3%の安定的な配当を獲得します。そうすると配当の手取り収入は70~110万円程度が見込めます。あとは、月3~10万程度のアルバイトをするだけで安定的な生活が可能となります。
米国株は毎年増配するので10年後には少なく見ても手取り配当金が1,3~1,5倍の91万~165万円程度が見込めます。これに月3~10万程度のアルバイト収入を足したら、十分に文化的な生活がおくれます。さらに株価も同程度の値上がりすることが見込まれるので、資産も6500万~7500万を見込めます。20年後には、手取り配当金が1,3倍程度と低く見積もっても118万~2147万円程度で、現実的な線では150~170万円程度となり、資産は8000万から9000万程度を見込めます。つまり、このままいくと、老後になるころには年金としての立派な役割を果たしてくれます。また、その頃には米国株を売り払っても安定的な老後が可能になるでしょう。
4.FIRE生活のイメージ(仕事)
仕事については、アルバイトや小さな会社の正社員で、できるだけ自分自身の仕事内容をダウンサイジングさせます。立派な企業の関連企業で働くと、そこには重層な下請け構造が構築されていて、派遣やアルバイトですら肩身の狭い思いさせられます。さらに本社社員を頂点とした仕事上の身分(階層)もあり、自分より10歳や20歳年下の本社社員が偉そうにしていて、思いがけない落ちこぼれ感に苛まれることになります。
なので、そんなエリートがいなさそうな小さなローカル企業でおじちゃんやおばちゃんと一緒にアルバイト又は正社員として仕事をするくらいが精神衛生上良いと思われます。
5.成功すればベーシックインカムの先駆け
ITバブルの頃、フィナンシャルフリーという生き方が流行りました。中身はFIREとほぼ同じです。いつの時代も、人は煩わしい人間関係や仕事に縛られず文化的な生活をおくる夢を見ているようです。
一方、最近のキーワードにベーシックインカム理論があります。ベーシックインカムは、一定の収入を国が保証する仕組みです。これはFIRE民からすれば配当金収入分を国が保証する制度に似ています。FIREを成功するということは自力ベーシックインカムを先行して実践していることになります。
当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べたものにすぎません。このため、当ウェブサイトに掲載された情報によりなされた判断及び一切の行為は、閲覧者の自己責任においてなされるものとします。いかなるトラブル・損失・損害に対しても、一切責任は負いません。
コメント
コメントを投稿