Fireに乗れた人と乗り遅れた人





1.FIREムーブメントの台頭
Fireがこれほど若い人たちにとって人気なのは、ネット環境などの仮想空間の充実で他人と関りが少なくなっている中で、旧態依然の日本株式会社という日本社会の同調圧力に息苦しさを感じているからにほかなりません。日本企業は、いまだに高度成長期の悪しき労働環境を引きずっています。それなりの企業に入っても職場環境や人間関係で幻滅させられます。今の若者の多くはストレスを溜めながら社会的な地位を守るより、ストレスを溜めない自由な生活を求める傾向があります。しかし、FIREを安定的に成し遂げるのは数億円の資産が必要であり、実際のところ、セミリタイアが現実的な解でもあります。

2.アベノミクスと米国の株高が、にわかFIREを増加させた。
FIRE民には、リーマン・ショック後のアベノミクス恩恵か米国の株高に乗った人が多い。実際、2010年代の相場は歴史的に稀に見る投資における好環境であったことが下記でもわかります。
もし、2011年にGAFAに投資したら10倍近くの儲けを獲得できました。今流行のインデックス投資をすれば、それだけで数倍に膨れ上がりました。つまり、この時期に危険を恐れず果敢に投資した人は、実力以上のリターンを得たことになります。まさにFIREを目指す人にとっては最高の環境であったと思います。一番簡単な方法としては、単純な積み立て投資を2011年頃から始めた場合、米国のハイテクや日経やS&Pのインデックス投資をしたら資産を3~4倍強に増やすことが出来、さらに円安で1.5倍まで膨らますことが出来たので、投資総額が1500万円なら、7~9千万円までに資産を増やすことは可能でありました。実際に、株式投資でにわかFIREを成功させた人たちは、その殆どにおいてこういったトレンドに上手く乗れた人ではないでしょうか。
 しかし、次の10年がそうなるとは限りません。逆に2010年代のような相場環境はもう当分来ないと疑った方が賢明かもしれません。

3.セミリタイア生活のイメージ(金銭面)
 FIREを成し遂げる条件は、一生涯においてお金を困らないような蓄財した後、資産運用や自分の好きな事をすることでのほほんとした生活をおくれるようにすることです。これは数億円の資産を必要とされハードルは相当高いのですが、アメリカの超優良銘柄に投資すれば5000万円程度の資産でも、セミリタイアに限定すれば十分に成立します。具体例として、5000万円の資産を米国の超安定銘柄であるコカ・コーラ、P&Gなどに投資して年利2~3%の安定的な配当を獲得します。配当の手取額は70~110万円程度となり、補足分を、手取額が月5~15万円程度のストレスの溜まらないアルバイトや簡易的な仕事で補います。これによって手取額が10万~25万円で安定的に推移するので、生活の自由度が拡がります。

4.連続増配の恩恵でインフレをヘッジ
米国株は毎年増配するので10年後の配当手取額は、少なく見積もっても1,3~1,5倍の91万~165万円程度を見込めます。これに月5~15万円程度のアルバイト等の収入を加えたら、月毎の収入は14万~29万円となり、十分に文化的な生活を維持できます。優良米国株への投資はインフレのヘッジ機能を持ち合わせています。それだけでなく株価上昇の恩恵も被れますので、資産も6500万~9000万を期待できます。20年後には、手取配当額がさらに1,3~1,5倍膨れ上がります。資産は運がよければ、株価が2倍以上になることを見込んだら1億円を突破することも絵空事ではありません。つまり、このままいくと、老後になるころには第二の年金としての役割を果たしてくれます。また、米国株を売り払ってもそれをゆっくりと取り崩して生活することも可能でしょう。

5.セミリタイア生活のイメージ(仕事)
 仕事についてはストレスを溜めないことを第一の目標とします。そのため、アルバイトや小さな会社の正社員などで自分自身の仕事内容をダウンサイジングさせます。立派な企業の関連企業で働くと、そこには重層な下請け構造が構築されていて、派遣やアルバイトですら肩身の狭い思いをさせられます。さらに本社社員を頂点とした仕事上の身分(階層)もあり、自分より10歳や20歳年下の本社社員が偉そうにしていて、思いがけない落ちこぼれ感や脱力感に苛まれることになります。なので、給料は安くても、エリートがいなさそうな小さなローカル企業でおじちゃんやおばちゃんと一緒に働くくらいが精神衛生上において好ましいと思われます。

6.成功すればベーシックインカムの先駆け
ITバブルの頃、フィナンシャルフリーという生き方が流行りました。中身はFIREとほぼ同じです。いつの時代も、人は煩わしい人間関係や仕事に縛られず文化的な生活をおくる夢を見ているようです。
一方、最近のキーワードにベーシックインカム理論があります。ベーシックインカムは、一定の収入を国が保証する仕組みです。これはFIRE民からすれば配当金収入分を国が保証する制度に似ています。FIREを成功するということは自力ベーシックインカムを先行して実践していることになります。

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