自民党再建という高市新総裁の十字架

これまで石破総理の就任時には、 期待外れの石破政権と今後の動向(2024年12月07日) 「日本貧困化」への国民の怒りが自民党大敗北を導いた(2024年11月02日) 岸田総理の就任時には、 相場の事は相場に聞け 岸田内閣の評価(2021年10月10日) を書いてきました。今回は高市総理に関する私見です。 ■ 総裁選の意外な展開 下馬評では、小泉進次郎氏が次期総裁の最有力と見られていた。石破、岸田、菅と続いた歴代総理が推す人物であり、次期総理の座が目の前に迫っていた。しかし、国民の間では小泉氏の実力に疑問を抱く声も多く、高市早苗氏の総理就任を望む声が多いなど、世論と自民党内の力学には大きな乖離が生じていた。最近の選挙動向を見ていると、マスコミと投票者の意識の乖離が激しく、米国ほど極端ではないが、トランプ氏の当選時と似たような政治的ねじれが日本でも起きている。 ■ 株式市場の反応:高市総裁を歓迎 株式市場は高市総裁の誕生を好感し、株価は上昇した。これは、石破氏や岸田氏が総裁となった場合とは対照的な動きである。高市氏がアベノミクス路線の継承を明言したことで、投資家に安心感を与えたと考えられる。 ただし、アベノミクスは本来、デフレ脱却を目的とした金融緩和政策であった。安倍政権下では、資金を市場に流通させることに注力していたが、岸田政権以降、世界的なインフレの波が日本にも及び、現在では物価高対策が喫緊の課題となっている。 インフレ率2%というアベノミクスの目標は、実際には多くの国民にとって生活を圧迫する結果となっている。賃金の引き上げも、国際競争力とのバランスを考慮する必要があり、グローバル企業を除けば容易ではない。名目賃金が上がっても、実質賃金はマイナスとなってしまう。高市政権がインフレ率2%目標をどう再定義するかが、今後の政策の鍵となる。 ■ 外国人労働者と移民政策:ヨーロッパの教訓 ヨーロッパでは移民問題が深刻化しており、治安や社会統合の面で課題が山積している。一方で、都市部では移民によって経済が支えられている側面もあり、マスコミや都市住民には勝ち組も多いので移民に寛容である。しかし、地方では職種においても移民と競合し、移民受け入れの恩恵を受けにくいため、若者の貧困や不満が蓄積している。外国人労働者を排除すれば経済の停滞は避けられない。だからこそ、政府はいろ...