自民党再建という高市新総裁の十字架
これまで石破総理の就任時には、
「日本貧困化」への国民の怒りが自民党大敗北を導いた(2024年11月02日)
岸田総理の就任時には、
相場の事は相場に聞け 岸田内閣の評価(2021年10月10日)
を書いてきました。今回は高市総理に関する私見です。
■ 総裁選の意外な展開
下馬評では、小泉進次郎氏が次期総裁の最有力と見られていた。石破、岸田、菅と続いた歴代総理が推す人物であり、次期総理の座が目の前に迫っていた。しかし、国民の間では小泉氏の実力に疑問を抱く声も多く、高市早苗氏の総理就任を望む声が多いなど、世論と自民党内の力学には大きな乖離が生じていた。最近の選挙動向を見ていると、マスコミと投票者の意識の乖離が激しく、米国ほど極端ではないが、トランプ氏の当選時と似たような政治的ねじれが日本でも起きている。
■ 株式市場の反応:高市総裁を歓迎
株式市場は高市総裁の誕生を好感し、株価は上昇した。これは、石破氏や岸田氏が総裁となった場合とは対照的な動きである。高市氏がアベノミクス路線の継承を明言したことで、投資家に安心感を与えたと考えられる。
ただし、アベノミクスは本来、デフレ脱却を目的とした金融緩和政策であった。安倍政権下では、資金を市場に流通させることに注力していたが、岸田政権以降、世界的なインフレの波が日本にも及び、現在では物価高対策が喫緊の課題となっている。
インフレ率2%というアベノミクスの目標は、実際には多くの国民にとって生活を圧迫する結果となっている。賃金の引き上げも、国際競争力とのバランスを考慮する必要があり、グローバル企業を除けば容易ではない。名目賃金が上がっても、実質賃金はマイナスとなってしまう。高市政権がインフレ率2%目標をどう再定義するかが、今後の政策の鍵となる。
■ 外国人労働者と移民政策:ヨーロッパの教訓
ヨーロッパでは移民問題が深刻化しており、治安や社会統合の面で課題が山積している。一方で、都市部では移民によって経済が支えられている側面もあり、マスコミや都市住民には勝ち組も多いので移民に寛容である。しかし、地方では職種においても移民と競合し、移民受け入れの恩恵を受けにくいため、若者の貧困や不満が蓄積している。外国人労働者を排除すれば経済の停滞は避けられない。だからこそ、政府はいろんな問題を抱えながらも移民に対して容認している。
日本も同様に、空き家や過疎地の不動産を購入する外国人がいなければ、資産の流動性も失われる。少子高齢化による人手不足も深刻であり、現場ではすでに外国人労働者が不可欠な存在となっている。政治的にはリベラルに見えるが現場をみれば、西欧と同じように、経済を活性化させるには、ある程度の「負の側面」を受け入れざるを得ない。
■ 人手不足は技術革新によって克服
歴史的に見ても異民族の同化は容易ではない。歴史の場合、征服者による支配・被支配の関係に対し、現代社会では対等な立場に終始する事を強いられる。しかし、自分達の古来土地に他民族とその文化が流れ込む事を受け入れられる人は少ない。というより歴史上での成功例はほとんどない。このことは、安易な移民受け入れは、社会的な混乱を招くリスクがある事を示し、
それは現に西欧諸国で現実のものとなっている。
このため、制度面では文化的・思想的に日本社会に適応できる人材を選別し、「郷に入れば郷に従え」のように、自国の文化や政治姿勢を安易に日本に持ち込まない事を誓約するくらいの審査制度で選別するくらいの覚悟が必要になる。ただし、そのような受け入れでは移民が経済を支える事はほぼ不可能である。
日本が本当の意味で移民依存を避ける事が出来るようになるには、ロボット技術の飛躍的な進歩が不可欠である。あらゆる現場でロボットが人間を代替できれば、人手不足の問題は大きく解消される。ただ、これが実現するのは、あと20年程度の歳月は必要とされるため、安易な移民受け入れをしないよう法制度の整備は必須だ。
■ 高市政権の今後
高市政権が待ち構えているのは、積極財政をすれば金利が上昇圧力。政策金利を引き上げなければ円安圧力にさらされ、インフレに悩まされる。ただ、来年米国FRBの新議長は1年程度をかけて金利を1,5~2%に引き下げる事で、日本やユーロなどが相対的な為替高に向かう事もありえる。しかし、それが始まるのは1年後以降であり、それまでは円安基調にさらされ、高市政権はその間に各種減税対応で凌ぐ可能性が高い。この為、単体の政策では疑問符がつくものであるが、トランプのおかげで大事に至らない可能性が高い。しかし、長期的視点では、今の日本のAIやロボット技術は米中に大きく後れを取っており、国内製品の産業化も望み薄である。これから言える事は、高度成長期のような社会は来ない。さらに、皆を平等にすればするほど、国が衰退するのは共産国家で実証済みである。そういった点では、国を成長させるには今よりさらに二極化社会にして富裕層に散財させ、税収を増やしてもらうのが正解になる。しかし、そういった事を日本国民は許すはずはないので日本の政治は誰がやっても右往左往の繰り返しになる。
ただそれ以前に致命的な問題がある。高市政権が何かを変えようとしても、マスコミを含めたリベラル派の強力な抵抗にさらされ、少数与党であることから、野党との連携合意も一筋縄でいかず、どっちつかずの状態が続く。自民党をここまで落とし込んだのは岸田、石破政権である。そういった十字架を取り除き、本当の意味で総理としての采配を振るうには、早期解散をして自民党を単独過半数に近づけることが必要になる。
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