韓国の報道に対する一方的な論調について

 私は中国の報道の矛盾について書いたが、韓国についても同様に偏向とも言える記事が目立つ。

まず、日本と韓国の立ち位置を冷静に見つめていくと、一人当たりのGDPで日本は韓国に追い抜かれている紛れもない事実がある。内情はどうであれ。日本と韓国はほぼ同一の生活水準に到達してしまった。

 考えてみれば、中国もそうであるが、ここ20年から30年で日本は中国や韓国に圧倒的な経済的大差をつけていたにも関わらず同等又はそれ以上いたるまで猛追されてしまった。これは当時20歳の頃の感触と50歳の頃の感触では、コペルニクスの地動説のような大きな転換が起こったことに等しい。こういった事を冷静に分析している識者がほとんど皆無で、どちらかというとその人の立場や感情論で物事を論じているように思えてならない。

 マスコミなどの情報を追いかけすぎると何が真実であるかが不明瞭にあり、投資家にとって、情報収集をしようとしても、そのほとんどが投資材料になっていないのが現状である。

そんな代表例を下記事から述べてみたい。

忍び寄る低成長、韓国を労若男女の「生きづらさ」

https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/010800457/010800003/

①「サムスン電子の苦境」はなんなのか

サムスンの問題を指摘しているという点では優れた記事かもしれない。しかし、他と比べてどうなのかということである。正直って、サムスンの問題より日本の企業の問題の方が深刻で手に負えない。例えば、日本のパナソニック、東芝、日産などの日本株式会社の製造業の凋落のほうがもっと酷い。この記事はサムスンが自国の企業なら更なる発展を期待し、辛めの記事もよいのだが、韓国でもっともすぐれた企業の記事なら単なる反韓記事の何者でもない。

②「先進国で最悪水準に苦しむ高齢者」

 これについても、記事自体は間違いではないが、そういった記事を上目目線で書くほど日本の高齢者福祉は素晴らしいものなのかということである。年金においても、日本の年金給付水準はかつて世界でもトップクラスであったが、今となっては給付額がここ数十年横ばいにもかかわらず、社会保障費や税金を課せられることで驚くほど手取りが目減りしている。それに加えて、ここ最近のインフレにより、日本人の平均年金受給者は年金だけでの生活が困難になりつつある。どこの国も底辺の年金受給者の生活は苦しいのは同じである。それを前提にしないで論じるのはどうかと考える。

③「若者は家を変えない」問題。

 これも日本だって同じである。都心のマンションにおいては、パワーカップルが35年ローンではなく。50年ローンで家を購入している。ここまでくれば人生の6割~7割は住宅居ローンに追われ、住宅ローンの奴隷化である。この記事はソウルを起点に書いているが、韓国と言っても地方なら安い物件もあるだろう。日本だって地方なら空き家がたくさんある。

④少子化の深刻さは日本も変わらない

 少子化の進み具合は、韓国だけでなく東アジア圏では顕著になっている。日本においても、出生数の推移をみれば超危険水域であり、韓国がどうのこうのと論じている余裕はない。そしてその解決の糸口を日本は国家として見いだせていない。こういった点でも日本と韓国に大きな違いがあるわけではない。

 日経等の記事において、このような記事は20年前、又はそれ以前の日本がまだ圧倒的に経済力、収入において優位性を保っていたころの論調ならうなずける。今の日本は、東アジア、さらに東南アジア諸国に対して、このような上目目線での論調をできる国ではなくなったということを自覚すべきではないだろうか。

海外旅行においてもかつては日本人が闊歩していた観光地に多くの韓国系、中国系が闊歩している。金払いについても日本人より気前が良いということを珍しくなくなった。

 とはいえ、日本は落ちぶれたといえども、国力という社会全体という点では、日本は世界トップクラスであり、貧富の差も他の東アジア諸国より小さく、正常も一番安定している。就職においても、日本のおける世界進出企業のすそ野は、韓国や台湾より広い。

記者はこういった記事を書く前に、この20年間に追いついた韓国や台湾に対し、このような月並な記事を書くのではなく、日本がどのような点で優位性を保っていくべきか、そして隣国としてどのように向き合えば良いのかを鋭い視点で書いてもらいたいものだ。

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