10年後、世界における日本の国際競争力を検証(相場(国別)の予測分析)

 〇IT産業における発展途上国の追い上げ

IT産業の発展により米国は米国一極集中の体制を構築することに成功した。そもそもIT産業は、従来型の既得権益を有した重厚長大産業から派生して発展したのではなく、ベンチャースピリット溢れるNASDAQ市場によって、その存在を大きくしたのである。

IT産業分野は、重厚長大と違い多額の資本を必要としないことから、こういった1国内だけの既得権益にはとどまらず、先進国と発展途上国間の産業発展構造までぶち壊したとも言えなくもない。つまり、IT産業においては、旧来型の先進国と発展途上国の区割りはなんの役にも立たず、同一の線上でビジネスを行われなければならなくなった。

このため、東アジア、及び東南アジアを中心にIT分野の発展が著ししシンガポール、韓国、台湾、中国国などは、IT分野においては、日本以上の先進国になってしまった。

〇日本の存在感低下の原因

2010年から世界における日本の存在感の顕著なほどの低下は、IT競争力の相対的な地位の低下と言っても過言ではない。さらに悪いことは、今後は全ての産業がITと金融を軸に展開していく。全ての機材がAIを駆使して人工知能を持つような社会が待っていて、結局のところ米国の一人勝ちに構図は目に見えている。とはいっても、IT分野に強みを見せられない日本が全面的に落ちていくという構図にもならない。それはロボットなどの最先端機器の精度を高めるためには、これからも日本の技術力が必要とされると予想されるからだ。

 つまり、最高の性能を有するロボットを米国が作り、汎用品市場を中国が握るという構図の中で、こういった製品の重要な部品に対し、日本企業の高シェアを維持するという構図である。それが日本を世界の間たる先進国であるがゆえの富の源泉になるのであろう。

〇部品市場の優位性は揺るがない

 ハード面における日本企業の強みは日本人特有の性質からきている。海外は一部の天才が社会や企業を引っ張っていく、しかし、日本は一部の天才ではなく、裾野で働いている従業員の仕事に対する意識が高く、その人たちの努力によって高性能な部品生み出され続けているのである。このような風土は、階級意識の強い外国の企業では考えにくい。

 しかし、米国政府はそういった欠点を補うべく、NASDAQのようなベンチャースピリット溢れる市場を活性化し、未来の億万長者との引き替えとしての新しい技術革新を育てる風土を作り上げている。それでも、超末端の部品に対してまで彼らのベンチャースピリットを駆り立てることはない。なので、この辺の技術は当面の間、日本の独壇場であるともいえるのである。

〇最先端科学都市からの没落

 80年代は、日本が世界に先駆けて様々な未来都市を構築していくと思われていた。しかし、蓋を開けてみると、それは中国やシンガポールなどの先を越されてしまった。その傾向は今後も同じであろう。中国の先進都市やシンガポールなどは、東京が及びもつかないような先進都市として突き進んでいくであろう。

 では、東京は古びた街になるかというそうとも言い難い。パリなどや他のヨーロッパの大都市と同じような立ち位置を維持していくのだろう。このため、日本の国力低下に対して、それほど悲観をすることはないのであろう。

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