中国を巡る両極端すぎる報道について
(中国の報道に対する日経等のマスコミ記事)
〇世界の自動車や電気製品の生産が中国へシフトしたのと同様に風力発電、偏光板、太陽光発電、そして電気自動車においても中国メーカの台頭が際立っている。
〇電池部材、中国勢がシェア8割超え 日韓は上流も細る
リチウムイオン電池の部材で中国勢の市場占有率が高まっている。主要4部材の出荷数量シェアで8割超を中国企業が占めた。中国内で電気自動車(EV)販売が拡大して車載電池、さらに上流の電池部材でもシェアが高まる。
〇薬原薬分野における中国の台頭
1990年代半ばまで、欧米と日本で世界の医薬品原薬の9割を生産していた。2017年時点で中国の原薬生産の世界シェアは4割に及んだ。製薬大国のインドでさえ、中国で医薬品を生産するほうが安く済む。
〇中国金融緩和 ついに「バズーカ」市場支援策も
中国当局が24日、追加の金融緩和策を相次いで発表した。追加利下げを示唆し、あわせて不動産や株式市場の支援策も打ち出した。一連の施策で、低迷する国内景気や金融・資本市場を下支えする。「バズーカ」を好感し、中国本土や香港の株式市場では買いが先行している
〇中国、主要商業銀6行の資本増強へ-2008年以来
中国は主要商業銀行の資本増強を行う計画だ。利益率が過去最低を記録し、利益が落ち込むと同時に不良債権が積み上がっている銀行業界を強化することが狙いで、2008年以来となる。
〇中国事業の撤退(一部を含む)企業は、ブラック・アンド・デッカー、ナイキ、ハズブロ、LGエレクトロニクス、シャープ等があり、事業を縮小した米国ハイテク企業は、IBM、アップル、デル、ヒューレット・パッカード、インテル、グーグル、オラクル、クアンタ・コンピュータなど多くの企業が撤退をしている。
ざっと並べてみた。この報道を眺めていると90年代の日本を思い起こさせる。90年代の日本は、不良債権に処理による景気下押し懸念の圧力にさいなまれる一方、日本のハイテク産業は世界を制覇していた。そのため、上記のような記事群に近いものがあった。
撤退に関しては、単にビジネス上の旨味がなくなったにすぎず、旨味が再度出てきたら進出しなおすのは明白だ。儲けが見込める所に進出しない企業などない。
(90年代の日本のバブル崩壊との酷似)
ただ、正当な記事をトレースしている限り、中国は90年代の日本のようなバブル崩壊に陥っている可能性はある。しかし、情報統制されているので、どの程度のレベルかは誰もわからない。これは逆な言い方をすれば、日本の90年代は失われた時代と言われるが、マスコミが情報統制をしていたら、多くの人は経済に対してここまで悲観しなかった可能性がある。マスコミが悲観を増長させたのは間違いない。実際、バブル崩壊は不良債権により、多くの企業がゾンビ化していたのも事実だが、だからといって昭和大恐慌のような悲惨な事は起こらなかった。失業率も欧米に比べれば低い水準であった。中国共産党もこういった日本の行ったバブル崩壊後の政策のメリットやデメリットは十分に調査されている。逆な事をいえば、マスコミが日本人を過度な悲観的な気持ちや不安を洗脳するように植え付けてきたのは紛れもない事実である。
ただ、バブル崩壊はこれまでの産業政策の終着点であり、これ以上に発展するためには国の産業構造を変えなくてはいけない。例をあげれば、70年代~80年代の改革により、米国は金融と最先端分野に特化する経済構造に変化し、その後の隆盛の礎を築いた。逆に日本は、米国のような構造改革ができないため、中途半端な状況での経済運営を余儀なくされている。
(中国に追い越され続ける構図は当分続く)
毎日14時間働く中国新興EV社員 日米欧突き放す原動力 日経ビジネス 2024年11月13日
中国圏のビジネスマンは勉強熱心で、日本のサラリーマンより優秀な人が多い。これは数十年前も同じであったが、その頃の中国ビジネスマンはグルーバルなビジネスノウハウを知らなかった。一方、日本はモーレツに働くことと組織力で世界経済をけん引していた。しかし、中国のビジネスマンが米国流の企業経営を覚えたことで、世界市場の様々な分野で台頭するようになった。そもそも中国ビジネスマンはハードワーカーであり、一方、欧米化した日本人は高度成長期のように働かなくなった。日本が中国に様々な分野で追い越され続けているのはある意味正当な流れと言えなくない。
(長期的に見れば日本株の長期投資にも影響を与える)
では、中国はどうか。70年代から続いた高度成長期は終了した。中国も次なる時代に向けた経済構造の改革に迫られるのは必須だ。とはいえ、資本主義を覚えた国民が、日本のようにバブル崩壊後に様々な産業で劣勢に立たされていくとは考えにくい。実際、中国は少しずつ日本の得意分野を侵食し始めている。そう考えていくと、投資家にとって、日本株における個別株投資についても、中国企業の技術向上の度合いを見定める必要があり、これまで隆盛を誇ってきた優良銘柄でさえ中国企業の台頭による不確実性が増すことは必須で、そういった意味では長期投資は年々難しくなっており、今よりさらに銘柄選択が難しくなっていくのではと予想される。
当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べたものにすぎません。このため、当ウェブサイトに掲載された情報によりなされた判断及び一切の行為は、閲覧者の自己責任においてなされるものとします。
(中国の報道に対する日経等のマスコミ記事)
〇世界の自動車や電気製品の生産が中国へシフトしたのと同様に風力発電、偏光板、太陽光発電、そして電気自動車においても中国メーカの台頭が際立っている。
〇電池部材、中国勢がシェア8割超え 日韓は上流も細る
リチウムイオン電池の部材で中国勢の市場占有率が高まっている。主要4部材の出荷数量シェアで8割超を中国企業が占めた。中国内で電気自動車(EV)販売が拡大して車載電池、さらに上流の電池部材でもシェアが高まる。
〇薬原薬分野における中国の台頭
1990年代半ばまで、欧米と日本で世界の医薬品原薬の9割を生産していた。2017年時点で中国の原薬生産の世界シェアは4割に及んだ。製薬大国のインドでさえ、中国で医薬品を生産するほうが安く済む。
〇中国金融緩和 ついに「バズーカ」市場支援策も
中国当局が24日、追加の金融緩和策を相次いで発表した。追加利下げを示唆し、あわせて不動産や株式市場の支援策も打ち出した。一連の施策で、低迷する国内景気や金融・資本市場を下支えする。「バズーカ」を好感し、中国本土や香港の株式市場では買いが先行している
〇中国、主要商業銀6行の資本増強へ-2008年以来
中国は主要商業銀行の資本増強を行う計画だ。利益率が過去最低を記録し、利益が落ち込むと同時に不良債権が積み上がっている銀行業界を強化することが狙いで、2008年以来となる。
〇中国事業の撤退(一部を含む)企業は、ブラック・アンド・デッカー、ナイキ、ハズブロ、LGエレクトロニクス、シャープ等があり、事業を縮小した米国ハイテク企業は、IBM、アップル、デル、ヒューレット・パッカード、インテル、グーグル、オラクル、クアンタ・コンピュータなど多くの企業が撤退をしている。
ざっと並べてみた。この報道を眺めていると90年代の日本を思い起こさせる。90年代の日本は、不良債権に処理による景気下押し懸念の圧力にさいなまれる一方、日本のハイテク産業は世界を制覇していた。そのため、上記のような記事群に近いものがあった。
撤退に関しては、単にビジネス上の旨味がなくなったにすぎず、旨味が再度出てきたら進出しなおすのは明白だ。儲けが見込める所に進出しない企業などない。
(90年代の日本のバブル崩壊との酷似)
ただ、正当な記事をトレースしている限り、中国は90年代の日本のようなバブル崩壊に陥っている可能性はある。しかし、情報統制されているので、どの程度のレベルかは誰もわからない。これは逆な言い方をすれば、日本の90年代は失われた時代と言われるが、マスコミが情報統制をしていたら、多くの人は経済に対してここまで悲観しなかった可能性がある。マスコミが悲観を増長させたのは間違いない。実際、バブル崩壊は不良債権により、多くの企業がゾンビ化していたのも事実だが、だからといって昭和大恐慌のような悲惨な事は起こらなかった。失業率も欧米に比べれば低い水準であった。中国共産党もこういった日本の行ったバブル崩壊後の政策のメリットやデメリットは十分に調査されている。逆な事をいえば、マスコミが日本人を過度な悲観的な気持ちや不安を洗脳するように植え付けてきたのは紛れもない事実である。
ただ、バブル崩壊はこれまでの産業政策の終着点であり、これ以上に発展するためには国の産業構造を変えなくてはいけない。例をあげれば、70年代~80年代の改革により、米国は金融と最先端分野に特化する経済構造に変化し、その後の隆盛の礎を築いた。逆に日本は、米国のような構造改革ができないため、中途半端な状況での経済運営を余儀なくされている。
(中国に追い越され続ける構図は当分続く)
毎日14時間働く中国新興EV社員 日米欧突き放す原動力 日経ビジネス 2024年11月13日
中国圏のビジネスマンは勉強熱心で、日本のサラリーマンより優秀な人が多い。これは数十年前も同じであったが、その頃の中国ビジネスマンはグルーバルなビジネスノウハウを知らなかった。一方、日本はモーレツに働くことと組織力で世界経済をけん引していた。しかし、中国のビジネスマンが米国流の企業経営を覚えたことで、世界市場の様々な分野で台頭するようになった。そもそも中国ビジネスマンはハードワーカーであり、一方、欧米化した日本人は高度成長期のように働かなくなった。日本が中国に様々な分野で追い越され続けているのはある意味正当な流れと言えなくない。
(長期的に見れば日本株の長期投資にも影響を与える)
では、中国はどうか。70年代から続いた高度成長期は終了した。中国も次なる時代に向けた経済構造の改革に迫られるのは必須だ。とはいえ、資本主義を覚えた国民が、日本のようにバブル崩壊後に様々な産業で劣勢に立たされていくとは考えにくい。実際、中国は少しずつ日本の得意分野を侵食し始めている。そう考えていくと、投資家にとって、日本株における個別株投資についても、中国企業の技術向上の度合いを見定める必要があり、これまで隆盛を誇ってきた優良銘柄でさえ中国企業の台頭による不確実性が増すことは必須で、そういった意味では長期投資は年々難しくなっており、今よりさらに銘柄選択が難しくなっていくのではと予想される。
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