国民健康保険料に垣間見る日本経済の歪
(桃源郷のような医療制度)
日本は、世界に誇る「国民皆保険」制度の国であり、外国とは違って、少ない保険料負担で安心した医療を受けられる素晴らしい国である。しかし、国民健康保険という点では状況はちょっと異なる。
通常会社員なら、会社が属する健康保険組合に加入しても、その保険料は会社との折半のため、大体給料の5%程度が差し引かれることになる。国民健康保険料の場合、なんと会社との折半がないので年収の10%程度を国民健康保険料として支払わくてはいけない。
これは、年収100万円なら10万円 300万円なら30万円ということになる。
実際には、減額制度のあるので規定通りに支払うとは限らないが。どう見ても加入者にとって大きな負担であることには変わりない。
(国民健康保険加入者の与信の低さ)
一般的に、国民健康保険は、高齢者や無職やアルバイト、そして個人事業主がその対象となる。これら与信の低い層を対象にしているとなると納付延滞率が気になってしまう。
とはいえ、国は納付者の与信など気にかけていない。被保険者が納付を怠ると市役所からの督促がかかり、それを無視し続けると財産差し押えにまで発展する。すごい、消費者金融と変わらないではないか。消費者金融は用途のあるお金の借金。国民健康保険は。医者にかからなくても必ず払わなくてはいけない。
(厳しい財政状況)
それでも、加入者からの納付だけでは国民健康保険の運営を維持することができず、結局のところ、国からの多額の補助金でどうにか体裁を保っているのが現状だ。
今後は、少子高齢化が進むことで退職した高齢者(74才まで)を中心に国民健康保険に加入者は増加することが予想される。また、その多くは持病を持ちであり、常時通院をしている人も少なくないので、放置すれば国民健康保険の財政を圧迫する。国は高齢者に雇用を推進して企業側の健康保険に入ってもらいたいというのは本音であろう。
(金利収入も社会保障の対象)
こういった事情を考慮すれば、多額の金融資産を保有して、数百万の配当金収入を得ているセミリタイア層も増税のターゲットになるのは必然。これらセミリタイア層は、無職扱いで国民健康保険料を最低ランクの4~5万円程度しか支払っていないからだ。それは金融資産の多い高齢者にも当てはまる。政府はとれるところから徴収して、社会保障の運用を維持していくものと見込まれる。
少子高齢化を迎える時代。これからますます税金の網は厳しくなるのは間違いないであろう。とはいえ、国民健康保険を見る限り、日本の公的な支援はかなり瀬戸際に追い込まれているのも現状だ。
(徴収にメリハリが必要)
社会保障費は。車の運転免許所ではないが。優良制度を設けて、長期にわたって病院に通わなかった人には割引制度をもうける。頻繁に通う人には通常の健康保険料にいくらかの追加分を納付してもらうのようにメリハリをつける制度にしてもらいたい。
高齢者に対しても、むやみに病院に掛からないように、をする・をする。病院に頻繁に通う人とそうでない人では支払額に差をつける。などの工夫をしないとこの先破綻するのは明らかだ。
安易な一律徴収は、国民の不満を高めるだけである。今の制度は、健康で高収入な人ほど損をする仕組みになっている。「国民皆保険」は良いが、悪の不平等が蔓延らないような制度設計の配慮をしてもらいたいものだ。

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