高配当銘柄(アルトリア)で夢の配当金ライフ




初版2021.06.26 

加筆2022.12.23 

1.アルトリアの会社概要

 アルトリアは日本におけるJT(日本たばこ)のような会社です。「マルボロ」や「バージニアスリム」などブランドは世界的に有名で、本来なら超がつくほどの名門企業です。

しかし、訴訟大国の米国でのタバコ企業の扱いは、常に健康被害等のやり玉に挙げられます。投資家からはその訴訟リスクの高さが嫌気され、株価は実力よりも低めに放置されています。最近も、電子タバコの健康被害問題で多額の損害を計上しました。

 不思議ですね。日本ではタバコに関する健康被害の訴訟沙汰などあまり聞きません。日本と同じ製品を販売しているのにも関わらず、米国の人権団体は許してくれません。お国柄の違いのようです。

そのため、株価はそのリスクを織り込んで、実力よりも低位に推移しています。

それでも、フィリップモリス(アルトリアの前身)は、1990年前半まで米国における株式時価総額の上位にランクインされており、訴訟リスクがありながらも今よりもはるかに株式市場で存在感のある大型株だったようです。

 投資家は、このような特殊事情を利用し、リスクに果敢に挑む気概でアルトリア株を購入し、多額の配当金を手にしてきました。

     

2.配当金の推移

 それでも、アルトリアは訴訟があろうが、損害賠償があろうが、毎年しっかりと増配をしてくれます。こういったことを、何と50年、半世紀も続けています。ちなみに、最近の配当金の推移は

2017年:0.7セント

2018年:0.8セント

2019年:0.84セント

2020年:0.86セント

2020年:0.90セント

2020年:0.94セント

という具合に、毎年増えています。全く、頭の下がる思いです。

3.暴落など損を被るリスク

 こんな銘柄ですが、そんなおいしい株であるにもかかわらず、バフェット先生ですら投資をしていません。おそらく、人権団体への配慮と思われますが。

なので、最もこの株の恩恵を受けているのが、訴訟問題など暗い情報が飛び交うなか、果敢に投資している株主達です。

 一応、暴落の危険性に触れておきますと、そもそもこの銘柄は7%の利回りです。計算上15年もすれば元本は回収できます。実際は、毎年増配してくれるのでもっと早いです。 このため、どんなに激しい暴落をしても、長く持てば持つほど損をする可能性はなくなります。

4.配当金の計算

では 本題である配当金の計算をしてみます。100万円の原資でアルトリア株を購入する場合、初めに証券会社からの手数料を2万円と多めに見積って、98万円での購入とします。アルトリアの株価は、2021年6月時点で47ドル近辺なので、それに為替1ドル=110円を考慮すると、約190株程度の購入が可能です。

 次に配当金です。アルトリアは、1株につき、0.86セントの配当金を株主に支払っています。これで計算すると

 190株(購入株数)* 0.86(一株当たりの配当金) * 110(円ドル為替レート) *0.72(税金 内訳:米国10%、日本約20%☆結構引かれます!) = 12,940円

 そして2022年秋には

 190株(購入株数)* 0.94(一株当たりの配当金) * 132(円ドル為替レート) *0.72(税金 内訳:米国10%、日本約20%☆結構引かれます!) =16,974円

です。円安が効いています。仮に、110(円ドル為替レート)だとしても14,145円です。

5. 最近の業績動向から配当を考察する

アルトリアの近年における配当利回りのレンジは7~9%です。投資家は成長性の低いバリュー株として扱っているからである。

 業績動向を簡単におさらいします。

 一株当たりの利益(一株当たりの配当)の推移は

16年 7.28(2.35)

17年 5.31(2.54)

18年 3.68(3.00)

19年 -0.7(3.28)

20年 2.40(3.40)

21年 1.34(3.52)

となっています。

19年から配当が利益を圧迫しています。これは電子タバコ(ジュール)買収の失敗が理由ですが、それを差し引いても配当性向は,会社が公表している80%を何とかクリアできかどうかです。投資家からすると成長性の低いバリュー株の域を超えていません。


6.連続増配の意地

 アルトリアは50年以上に渡って増配を続けています。ちょっとやそっとの業績悪化などにはびくともしません。アルトリアはなんと、今年も0.90セントから0.94セントに増配をしました。

 アルトリアは配当性向80%を掲げていますが、これを逆算すると2023年の一株当たりの利益が正味4.7ドルを達成できるように調整をしております。こういうところに米国の優良銘柄の凄味があります。単に連続増配を維持したいだけなら、僅か1セントの増配で済ませればよいのですが、4セントの増配をする気風のよさ。日本の会社なら間違いなく減配で配当金が半分になりそうな業績推移での増配です。

正直、ここまで来ると私が安易に批評していることすらおこがましくすら感じます。


7.夢の配当金ライフ

アルトリアという銘柄の分析をする際、今の経営実態について、

「50年以上の連続増配というこれまでのアルトリアの実績を信じきるのか。それとも現状のファンダメンタルや訴訟問題を信じるのか。」 のどちらを選ぶのかはそれぞれの判断に委ねることになります。

 投資というのは、そういうリスクをどこまでテイクするかにかかっているのです。

 安全と言われる銘柄は、投資家が殺到するので安全といえないほどの高値になってしまいます。それに応じて配当利回りも小さくなります。

 その反対に、安全でないと言われる銘柄は、どこまでも不安がよぎり株価は低迷します。それでも、投資家はその株を安いとは思いません

長期間株主に不安を与えながら増配しているアルトリアを信じ切って、日頃、頑張っている自分へのご褒美に使いましょう。振り込まれた配当金で美味しい料理が食べられます。日帰り旅行もできます。

さらにこれを1年分(4回配当)貯めたら、16974*4=67,896円

このように、アルトリアからの配当金は毎年増えていきます。

さらに200万を原資にしたら、3か月おきほどに33,948円、1年分なら135,792円 国内旅行だけでなく廉価な海外旅行も可能になります。そんな気持ちで、自分へのご褒美ライフを満喫してみませんか。 

最後に、投資は自己責任でやってください。もしかしたら、世間に出回っている悲観論が的中することもあり得るのですから。

 未来については誰も保証できませんので。(Tomorrow Never Knows) あしからず。


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