ダウ銘柄の投資効率を検証 (各種指数分析)2021.07.02

1.ダウ採用銘柄の投資効率を検証 

 2009年7月と2021年6月におけるダウ採用銘柄を比較し、投資リターンを検証しました。この間にダウインデックスは3.4倍に上昇しました。

 しかし、対象となるダウ銘柄はこの間に11社も入れ替わっています。このため、個別銘柄でのリターン分析については、実質19社で行っています。結果は以下の通りです。

 

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2.投資リターンの上位銘柄

 JPモルガン・チェース(JPM)やアメリカン・エキスプレス(AXP)は、リーマンショックで大きく下落しました、このため、その反動分がカウントされています。一概にいい悪いの判断はできません。

 逆に、ボーイングは、今回のコロナ禍で倒産危機に追い込まれました。政府支援によりなんとか生きながらえていますが、それでもダウの上昇率を上まっています。コロナ禍がなかったら、実質第3位のポジションです。

 次に配当面について見ていきますと、JPモルガン・チェース(JPM)、アメリカン・エキスプレス(AXP)はリーマンショック時に大幅な減配をしております。ウォルト・ディズニー(DIS)、ボーイング(BA)はコロナ禍で無配になりました。なんか不安定です!

 そうなると、本当の意味で健闘したのは、ホームデポ(HD)とマイクロソフト(MSFT)だけで、両者ともテンバガーを達成しています。

 そして、コロナ禍による外食産業への甚大なダメージをものともせず、頑張っているマクドナルド(MCD)はすごい経営力です。もちろん増配もしております。

3.投資リターンの下位銘柄 

 師匠(バフェット)銘柄であるコカコーラは、堂々2位にランキングされています。全くと言っていいほど株価上昇の蚊帳の外に置かれています。

 しかしながら、師匠(バフェット)銘柄もそうですが、一見冴えないように思われるこれら銘柄は、実は2008年に起きたリーマンショック時のダメージをほとんど受けていません。逆に、大不況の真っただ中で増配すらしています。

 どうも、これら下位銘柄は、好不況に関係なく株価が安定していて、債権のような感じです。そのため、ゆったりとした長期投資家が好む投資家です。

 そうはいっても、これらの銘柄に対して、ダウインデックス並みのリターンにこだわると、どうしても負け組になってしまいます。歳を取りすぎて、株価の上昇率がダウインデックスに追い付けなくなったといったほうが正しいのかもしれません。

4.投資リターンに貢献した本当の銘柄  

 ダウ銘柄に戻りますと、この12年間で本当の意味でダウインデックスを吊り上げたのは上位2社の他に、アップル(AAPL)、ビザ(V)、ユナイテッドヘルス(UNH)などの途中参入組です。

 ダウは、常に最高の経営コンディションの状態下にある企業で構成されています。このため、経営状況の停滞が長く続くと、昔の栄光やブランド力など関係なく、容赦なくリストから外します。この除外される銘柄こそ、かつて栄光に輝き年老いたバリュー株群です。 

 だからといって、新規にリストされる銘柄が成長力のあるグロース株だけとは限りません。最近リストされたハネウエル(HON)やアムジェン(AMGN)は、どちらかというと経営がうまくいっているバリュー銘柄です。

5.ダウ銘柄との向き合い方 

 ダウはその時々の優良グロースと優良バリューが程よくミックスされている指数とも言えます。

 しかし、上述のように、ダウ銘柄のほとんどはダウインデックスに勝てていません。さらに、入れ替わりが激しいのでいつの間にかダウ銘柄でなくなります。そのため、ダウ銘柄に寄り添って投資をしてもあまり意味がありません。

 ダウインデックス並みの成果を得たいと思うなら、中途半端な分析や調査をするより、割切ってインデックス投資をするほうが、一番手っ取り早いのかもしれません。

 

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