元本保証商品の運用利回りは壊滅状態 (時事情報の分析)

1.資産運用におけるキャッシュの必要性

長期投資家である私は分散投資を心掛けます。なぜなら、きっちりと分散投資をすれば、有事が起きても攻めの姿勢で相場と対峙できるからです。

 実際、一つの籠に卵を入れて運用したら、有事の際、身動きが取れなくなります。皆さんのなかにも、コロナ禍の大暴落で騒然とした方も少なくないのではないでしょうか。

 キャッシュは、そういった暴落の時に力を発揮するのです。そういった、相場が低迷している時に購入した銘柄は投資家に莫大なリターンを与えてくれます。

 

2.元本保証商品で利率の一番高い商品が国債

しかしながら、キャッシュは利息を生みません。そのため、投資家はいつでもいくらかの利息を得ようとキャッシュに類似した商品に投資します。手っ取り早いのは銀行の定期預金。これは誰でも簡単にできます。そして、かつては証券会社のMMF、中期国債ファンドなどもありました。国債はそういった元本保証系の商品群の中で利率が一番高い商品です。

 しかし、国の債務残高が1千兆円を超える今に至っては、書店で「日本国破産。国債は紙屑に!」というタイトルの本が所狭しと並べられ、本当に購入して大丈夫なのかと不安に掻き立てられます。確かに債務残高という点ではそういうことも言えなくもないのですが、日本は、今のところ、債務超過どころか世界一の債権国です。

 縮小経済だ!人口減少デフレ社会!と言われても世界一の債権国である日本の通貨(円)は世界でトップクラスの信用度です。当面は安全であると断言できます。

国債は、そういった意味では、元本保証の商品のなかで、最もお金を増やすことができる商品の一つです。

 

3.雀の涙より少ない利息

では、元本保証の商品の利率を見ていきましょう。メガバンクの定期預金の利率は0.002%です。視力検査でいったら、ド近眼どころではないですね。どうせド近眼でも、0.1%は欲しいですが、レーシックでもしない限り戻らない状況です。これがどれくらい利息を生むかですが、100万円を預けてもたった20円しか利息が付きません。たった20円!。。。。です。何が買えるのでしょうか。「うまい棒」を2本?がやっと。子供向けの駄菓子すら満足に買えません。この利息では全てが終わっています。

では、国債はというと利率は0.05%です。これも視力検査でド近眼の域を超えませんが、それでも定期預金のなんと!25倍です。では、どれぐらいの利息を受け取れるかということですが、100万円分を購入して半年の利息手取り額が199円、1000万円で1993円。5000万円なら1万円弱。では1憶円では、なんと年間4万円弱!これでは、資産運用という次元を超えております。

 

4.好金利の重要性

 アベノミクスによって、日本経済が表向きには浮上し、賃金条件にさえこだわらなければ、仕事に困ることはなくなっています。そういう表の効果がある一方で日本は不思議なくらい不安に包まれています。

 この目に見えない不安は、社会的に窮地に追い込まれている人たちだけが発しているのではなく、中流層のみならず下位の富裕層にまで及んでいるのは間違いありません。その原因がこのマイナス金利政策であると私は思っています。

 多くの人が老後不安を解消するために身銭を切って貯蓄をします。従来なら、貯蓄額が数千万円分に到達すれば達成感に包まれ、日常生活における不安はかなり軽減されるのですが、実際はそうなっていません。いくら貯めても不安の連鎖を止められないというジレンマに陥っています。

 これら不安は、利息だけで生活費がかなり補填されれば自然と消えていきますが、高金利であるはずの国債ですら、1億円で4万円弱の利息しか付かない現状では、いつまでたっても心を開放することができません。

これがもし、金利が3%であるとしたらどうでしょう? 貯蓄額3千万円あれば年90万円の額面利息で手取り利息72万円弱の受け取りが可能です。この辺から日常生活における不安が少しずつ開放されてきます。貯蓄額5千万円なら額面利息150万円、手取り利息120万円。1億円なら、なんと!額面利息300万円で手取り利息240万円弱。ここまで来ると利息のみでの生活が可能になります。それも元本保証で!

つまり、金利が上昇することで、準アッパー層あたりから不安が軽減されてきます。そして生活に余裕が出て、街や行き交う人の雰囲気が明るくなります。

 

5.マイナス金利は貯蓄を勤しむ人たちへの税金徴収

 このように今の日本では、市中金利の役割は想定以上に大きいものです。日本経済における金利の重要性は、私の持論ではなく白川前日銀総裁が在任中に「市中の金利低下は家計を痛める副作用がある」と述べたものです。

さらに、2015年の財政金融委員会で共産党系議員が、1991年と同じ金利水準での利息収入を、2015年まで受け取っていたとしたら、日本の家計は376兆円の利息を受け取っていたことになる旨の質問をしています。

バブル崩壊の後処理のために、これだけの利息が受け取れなくなってしまった。という事実。これは驚嘆です!。誰が受け取れなかったのか?

それは、真面目に貯蓄に勤しんだ人々です。

そういう点では、私たちはこの低金利を、悪名高き相続税の金利版と割り切るしかありません。

 

6.元本保証の資産運用は遠くなりにけり

 元本保証を期待すること自体、諦めたほうが良いのかもしれません。元本保証の商品すら高度成長期の残層です。

これから「働くざるべきもの食うべからず」という諺もあるように、「苦労して資産運用をしない者は、金融商品で利益を得るべからず」ということなのでしょう。

そんな時代に差し掛かっていることを肝に銘じた方が良いのかもしれません。

 

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