儲からないビジネスに手をださない。~鈴木洋HOYA㈱  (個別銘柄:日本株)

 HOYA株式会社は、日本では最高ランクに位置する優良企業です。日本には珍しく、本気で株主向けの経営をしている数少ない企業でもあります。もし、貴方がこの株を長期保有していたら間違いなく、相当な恩恵を受けたことでしょう。実際、私のポートフォリオでもそれは証明されていました。

  この会社の高収益の源泉は、

・ニッチな産業のガリバー戦略

・流行や時代に左右されないベーシック分野への傾倒

に事業を特化することであり、このポリシーの結実が

 「能力がある人たちがやり方を変えながら一生懸命やってみても結果がついてこないのであれば、その事業はダメなんだろうと判断します。」

に表れています。まさに、日本株式会社の経営者に爪のアカを煎じて飲ませたくらいの経営力であるのと同時に日本企業への投資に対する一つのヒントが隠れています。その詳細をインタビューから分析していきます。


 1.経営のスタイル

「この会社の経営における基本的な考え方は、1つの会社の中で小さい複数の事業を保有し、その中身を時代に合わせて変えていくというものです。今の事業は“歳”を取ったものが多く、収穫期に入っているので利益は出ています。ただ、次の20年を考えるとポートフォリオの入れ替えをしなければいけない時期に来ている。それが私の本業なので。」 

⇒鈴木洋CEOは、事業体をポートフォリオで表現しています。外資系投資家的な発想で経営していることが伺えます。


2.事業ポートフォリオ

「こういうポートフォリオにしていきたい」というイメージがあっても、値段が高い今は買いに行く適切なタイミングではない。商売は安く買って高く売ればもうかるわけですから。今はタイミングを待っているような状況です。」

「(買収する事業は) 何となく。分からないときは結局、ベーシックなことをやるのが一番いい。今、注目されたようなところに乗っかると、20年後には残っているかどうか分かりませんから。20年後も世の中に残るような、ベーシックでブレが小さいところをやるのがいいのかなと思っています。」

⇒「安く買って高く売る。」は商売の基本ですが、日本の多くの経営者は、「多少の利益を犠牲しても社会を豊かにしたい。」という社会貢献を前面に出します。その点、鈴木洋CEOは、ビジネスというものに対し、非常にドライな姿勢で経営をしていることが伺えます。そこまで徹底しないと高収益を持続するのは難しいのでしょう。

 ベーシックでブレが小さい分野を事業とするという着眼点はさすが一流です。そうでもしないと今の時代、中韓台企業に簡単に追いつかれてしまいます。


 3.ビジネスの進め方

「商売は努力すれば何とかなるというものではありません。いいところにはまっていれば遊んでいても商売できるし、ダメなものはいくら頑張ってもダメなんです。ダメだったらやめればいい。会社としては大きくはならないけれども、こうした方が楽に商売できるでしょう。」

「能力がある人たちがやり方を変えながら一生懸命やってみても結果がついてこないのであれば、その事業はダメなんだろうと判断します。その商売が本当にいい商売か、悪い商売か分からないということはありますが、誰がやってもうまくいかないだろうなと。それが分かったら早くやめた方がいい」

⇒HOYAの事業戦略はニッチ市場でのガリバー。競争相手は存在しないという旨みで高収益を実現しています。これって米国の優良高収益銘柄と重なってきませんか?その経営姿勢が高株主還元の源泉になっています。

 あとこの人は、間違いなくスポコン漫画、例えば「巨人の星」などの根性ものとか、体質に合わないようです。高校野球も好きでないと思われます。おそらく........


 4.まとめ

鈴木社長は、日本には珍しい米国流の着眼点を持ち合わせた経営者です。日本にはニッチ市場のガリバー企業は数多くありますが、HOYAのように高収益につなげている企業はそれほど多くありません。そういう面では、いい悪いの議論はここでは避けますが、相当ドライな経営しているという証でもあります。 

 多くの人にとっては、仕事は株主のためではなく生活のためにするのでこの辺は賛否両論ですが、これから日本株に投資する場合には、HOYAのようなドライな企業文化の持つ銘柄でないと満足なリターンが得られないのも事実です。

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