投資視点で不動産を考える 仮想空間という黒船 (時事情報の分析)

 

1.仮想空間の時代

①我々の生活はネットに吸い込まれている

 IT技術が私たちの生活に欠かせなくなりました。今や様々なものがネットを経由する時代。証券や銀行取引だけでなく、飛行機、電車、宿などあらゆる手配がネットで済ますことができるよういなった時代。これまで物理的な店舗でしか取引できなかったものが仮想空間に取り込まれて、渦を巻くようにその対象範囲は年々拡大しています。さらに、最近はオンライン飲み会など人々の交流すらオンラインに移行しています。

これからはメタバースの普及も見込まれ、我々はネット上の仮想的な人物を作って生活をおくるようになります。

②商業用施設の減少

今までは、どこの街にもたくさんの商業用ビルやテナントで溢れていました。週末になると街に出てショッピングなどはお決まりのコースでしたが、これら商業用テナントはネットに拠点を構えるようになっています。そうなると街中の商業用不動産の用途は減ります。これは不動産価格の下落を示唆します。

実際、地方都市にいけば、シャッター商店街だけでなく、空きビルや銀行などの支店もかなり減っています。

仕事場も、コロナ禍によってテレワークが可能になり、かつてのように従業員の作業場所としての広いオフィスも必要でなくなりました。

このように、街の商業用の物理的スペースがどんどん必要なくなってきています。

③コロナ禍によって人々のライフスタイルが変換

 コロナ禍によって、人々はいままで以上にネットに頼るようになりました。実際、仕事、買い物、娯楽、友達とのコミュニケーションの全てがネットで完結できます。そして人々は、多くの人が集まって騒ぐよりも、自分の世界を大切にするようになりました。人々は、自然と生活空間における物理スペースをネットに移行しています。このように、コロナ禍は、人々の生活様式の変化を10年近く早めたといっても過言ではありません。

2.金融緩和が引き起こす不動産価格の怪

 これから、世界中で人口減少が深刻化し、商業用不動産の空きテナントで膨れ上がる事が予想されます。世界中で不動産価格の停滞が予想されます。少子高齢化によって不動産の利用用途も縮小します。特に、地方郊外の場合、空き家問題は深刻ですが、都会のマンションの空き室問題も意外と深刻です。不動産価格とは不思議なもので、多量の空き室がありながらも都心に近づけば近づくほど不動産価格が上昇します。その一方で、毎年一定量のマンションが新設されます。それが新たに古いマンションの空き家問題を加速させます。つまり、空き家問題があっても新築価格が上昇の一途を辿っている。都心の場合は、この先耐用年数が短い築古マンションですら億近い値段で取引されています。どう見てもこれは金融緩和によるカネ余りのトリックとしか言いようがありません。

3.あの手この手で不動産バブルを演出

 不動産から見た世界経済は決して明るいものではありません。マクロ経済的な視点では、不動産価格の上昇を見込めないとなると世界経済の成長停滞要因となり、株価長期低迷の引き金になり得ます。そのため、世界中の政府や不動産企業は、政府がジャブジャブにしてお金を供給している金融緩和を利用しながら、あの手この手で不動産バブルを演出していくでしょう。

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