金融緩和が引き起こす「株式市場の活況と街角景気との著しい相違」(世界の潮流)



〇実態経済との乖離

日経平均がバブル期に迫る高値を続けている。その一方で、足元の景況感への影響は限られたものである。どうもこの株高は実体経済と結びついていないようだ。一体誰のための株価上昇なのか。これほどの株高でさえ、一獲千金を得て六本木や銀座で豪遊するなどの浮世離れした人が現れてこない。非常に不思議な株高だ

そもそもアベノミクス以降、株高と景況感が一致しなくなった。アベノミクス前までは日経2万円を超えるだけでも、庶民はそれなりの好景気を甘受できたものである。アベノミクス以降は株価がどんなに上がっても庶民に向けて富は流れてこない。逆に、将来不安は日増しに増大している。だから政府はいつまでたっても異次元の金融緩和を止めることができない。

〇過剰な金融緩和が株価の閾値だけを切り上げている。

 しかし、これは日本だけではなく世界中で起きている現象である。先進国はどこも深刻な経済状況であるにも関わらず、その国の株価への下落圧力は小さい。アベノミクスで株価は幾度となく、バブル崩壊以降の最高値を更新しているにも関わらず、日々のニュースは、不安一色である。少子高齢化による人口減少社会、政府の増税圧力、低賃金労働者の増加、人生100年時代のお金の不安。など暗いニュースを上げたらきりがない。私たちは、このようなニュースを毎日見ながら、一方で一部の超優良銘柄の好調な決算を背景にバブル崩壊後の高値を幾度ともなく繰り返す金融市場の活況のニュースを同時に見ている。このように経済ニュースと金融市場には相当な乖離が生じてしまった。

 なぜ、そうなったのか。これは間違いなく金融緩和の副作用である。金融緩和で市場にジャブジャブに垂れ流した過剰なマネーが庶民にまで届かず、金融市場界隈を徘徊しているからである。

〇金融市場と街角景気の乖離は当面続く

 金融緩和は株価の閾値を引き上げる一方、インフレも引き起こした。サマーズの指摘通り、金融緩和の副作用を取り除かない限りインフレ率2%の時代には戻らないように、日本のこれら乖離についても同じことが言えるのであろう。なぜなら、日米欧の中央銀行は、市場から買取りすぎた国債を市中に還流することは到底できない。つまり、これでは市場に膨大なマネーが漂流していることになり、不景気による株価押し下げ要因を阻害してしまっている。

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