投資視点で新鋭の学者(成田祐輔)の対談を聞いてみた
1.舘ひろし
〇デジタル分析の限界
残念ながら、成田は舘の発言を理解出来なかったようである。例を上げると、舘は渡から「俳優は演技が上手くなりすぎてはいけない」と指導されたとのこと。これはまさに、俳優は演技の上手有無ではなく、存在感で勝負するものだということである。確かに名優は演技というより、そのほとんど唯一無二の存在感で評価されているし、その存在感の輝きやオーラだけで名作になってしまうのも少なくない。石原裕次郎の「嵐を呼ぶ男など」石原裕次郎の魅力だけで名作になったようなものである。だからこそ、そのオーラを獲得すべく、私生活を犠牲にして破天荒な生き方に終始する。今は。そういった破天荒さを世間が容認しなくなった為、凄みのある俳優が出現し難くなったことを嘆いている。それを成田は一生懸命論理的に解釈しようとするから話がかみ合わなくなっている。
〇浜田宏一の達観
成田氏は学者としては異色ではあるが、彼の本領はすべての事象をデジタルに収めることであり、今時点ではそこまでの境地には達成していないように見える。逆に、アベノミクスのブレインを担った浜田宏一は、自身が世界的な経済学者であるにも関わらず、経済政策運営という点での自分は単なるブレインという小者に過ぎないことを認め、学問をという素地に程遠い安安倍総理という存在を尊敬していた。
一流学者が作る政策を世に広めるには俳優のようなオーラのある人の力が必要ということであり、そのオーラという正体に学問的な境地も含め話し合えればよかったかと思ってしまった。
投資家から見れば、これはファンダメンタル分析の限界を表しており、アナログ要素の重要性を示唆しているように見える。
2.古館伊知郎との対談
こちらは非常に中見のある対談であった。まずは、メディアにおいて、ネットチンピラの台頭によりテレビの影響力が低下しているという事実。ネットメディアにはテレビに登場できないような、ヤンチャすぎる奴から前科者、そしてホリエモンやひろゆきのようヤンチャなインテリ軍団が、政治や社会批判や世の中の闇などにズケズケと迫りこんでくる。暴露系Youtuberに至っては逮捕すら恐れずに動画を配信している。一方、テレビは様々な規制に縛られている。視聴者への刺激という点でどう見ても勝てるはずがない。
古館は、久米宏のニュースステーションはニュース報道ではなくニュースショーというスタンスであった。ネットの情報も魑魅魍魎であるが、報道として真実を伝えきれていないという側面もあったとのこと。
さらに古館のコメントとして、
報道を担当したことで、世の中のからくりの一端が分かったこと。仕事柄、真実の情報に振れ、世界の本当の構造に振れるほど、テレビではそれを口に出すことができない。政治は、嘘と裏切りの中で、それら覆いつくすような公式見解で物事をまとめようとするので、世の中を嘘で塗り固めて、物語を描くようにして人を引っ張っている。そんな世のからくりに振れることができた。この世界は真実を追い求めるのではなく、一種芝居なようなものであることが分かった。
古館のこの言葉は成田氏の対談でなければ出てこない。非常に意味深な発言である。これは投資家においても言えることで、私たちは経済に関する様々な情報取得において、企業の決算発表も含めて、どこまでがポジショントークであるかを意識しながら、投資活動を行っていかないと、企業やマスコミのポジショントークに振り回され、収益を得ることが難しくなってしまうということになってしまう。
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