トランプ政権誕生による世界経済への影響(7月時点)

 大統領選のテレビ討論会によって、バイデン政権が劣勢に立たされ、7月15日襲撃未遂事件でトランプ再選への勢いが増してしまった。そうなるとトランプ政権の現実味が帯びてきた。



 不思議なことに、今回の選挙では米国マスコミがトランプを酷評していない。そして、米国経済界の著名人がトランプ支持を明言し始めた。こういった事はトランプの第一次政権の時には見られなかった。これは、バイデン政権でダウが最高値を更新しているものの、米国民の殆どはその恩恵を被っていないことが示唆される。その現状に対し、バイデンを厳しくたたくことをしないが、多くのマスメディアや企業経営者も同様の意見と推測される。賛否両論かもしれないが、前回トランプ大統領就任時の経済政策に対して、米国民からは一定の評価があるものと推測される。

しかし、この襲撃事件後、トランプは様々な政策を発表したが、その内容に疑念を抱くマスコミは、結局のところ、次の民主党候補者であるハリスを全面的に押し始めた。米国の知識層とトランプは水と油の関係で、両者が融合する事はほぼ不可能なようだ。

〇米国経済への影響

トランプ大統領は、米国第一主義を掲げる。そのため、基本的には米国民に対し利益の生まないことは行わない。そして、彼は政治家ではなくビジネスマンである。米国経済や株式市場が下降気味になることはない。ただ、その中身はバイデン政権とは異なり、米国の保守層に恩恵を与える政策に終始するので、米国の内需銘柄が恩恵を被る可能性が高い。その一方、GAFAM内でも前回の選挙時にトランプに厳しい対応をしてしまったメタ(フェイスブック)などには顔色の悪い施策を打ち出してくる可能性がある。それがTIKTOKの存続であり、まさしくフェイスブックに利を与えない姿勢をとっている。

 金利政策については、トランプはトランプなりの手法で金利を操作するであろう。金利を引き下げてもインフレ率を高めないように政策を打ってくるのは間違いない。その一つとして、世界各国への援助を減らして国内経済に投入する。それだけでも相当な額になる。日本政府に対しても、駐在米軍の軍事費に多額の負担を求めてくるであろう。それ以外にも、ビジネスマンとしてのトランプ独自の奇策を売ってくる可能性は十分に高い。

〇日本経済への影響

 日本においては、円安の終焉。これは間違いなく起きる。しかし、どこまで是正されるかであるが、一つは2026年頃までに130円。米国の景気次第ではもしかしたら110円もあり得る。

  円高の影響は、メリットとしてはインフレ具合の軽減である。しかし、今の日本においては、度が過ぎるとデフレに陥ることが懸念される。次に、日経市場になるが、円高になることで経営力の弱い内需産業への影響は出てしまう。これは判断が分かれるが、グローバルな優良企業への影響がどの程度になるかだ。グローバル企業の経営体質はかなり筋肉質になった。あとは、日銀がどこまで市場を下支えするかだが、円高や金利上昇局面でも、日銀が市場にマネーを流し込めば、優良企業はそれなりの好決算を出し続け、株式市場はポジティブに捉えることも想定される。 


 次に、10年物国債の利率は1.5%を目指す展開。そしてトランプから政策金利の引上げを要求されるのは間違いない。政策金利が0.1%からどこまで上げられるかは不透明だが、10年国債の金利は1.5%近辺を最低ラインとしてみるのが適当だろう。

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