投資視点で地球温暖化を考える

 日本の夏は、年を追うごとに熱くなって、次第に地球温暖化が私たちの生活に深刻な影響をもたらすようになってきた。これ以上に地球温暖化が進行したら、私たちの生活はどのようになるのか? そんな事を投資家目線で考えてみた。1.地球温暖化は誰にも止められない。

地球温暖化の元凶となる二酸化炭素排出量の国別ランキングは以下の通り。

上記を見る限り、脱炭素問題は国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)で解決する次元の話ではないということだ。この協定では、なんと中国やインド等の新興国に対する温室効果ガス排出量に対して厳しい制限か課せられていない。

 これではこの条約の効果などないものに等しい。ランキングを見る限り、この問題は中国と米国、インドやロシアが連携して取り組むべき課題であって、これら国々が10%、いや20%の炭素排出量を減らせば、その他の国々も追随し、問題解決に向けて前進をするであろう。   しかし、現状は全く逆だ。世界は経済面での事情でインドを中心とした途上国の発展を望んでいる。

 そうなると、地球の温暖化は今より酷くなるのは明白だ。私たちは、そろそろ熱くなる地球を意識しながら生活する必要があるのかもしれない。

2.温暖化の危機な予兆

①地球の温度上昇

 2015年に採択されたパリ協定では、世界平均気温の上昇を産業革命以前より1.5℃以内に抑えるという目標が設定されたが、この目標はあっさりと破られた。

 世界では、暖冬と夏の猛暑が当たり前にようになってしまった。この傾向がさらに加速するのは明白で、日本やヨーロッパの夏は、40度以上、インドや中東では50度以上、砂漠などでは60度などの猛暑になるのであろう。それと同時に、世界中で熱中症による死者が大幅に増加し、日本や西欧ではこれまでなかった熱帯性の伝染病が流行するようになる。

②海面上昇の危機

 海面は、1900年以降17㎝上昇した。現在は毎年3.6mmずつ上昇していると言われている。2050年までに25~30cm上昇との予測があり、この辺までくると世界中で水面に浸る地域が増えてくるので、様々なことで深刻な問題が生じてくる。日本においても、大雨による床下浸水、台風による深刻な洪水被害が多発するようになるであろう。


3.投資家が意識すること

 順当にいけば、次なるバブルはAI関連になる。しかし、このボトルネックは、膨大な電力消費量である。さらに、地球温暖化により、世界中で冷房機や冷やしの機器に注目があつまるが、それはつまる所、電気消費量に拍車をかけているだけだ。

 しかし、世界は地球温暖化より目の前にある経済動向の優先を迫られ、何の手を打つこともできない。

 人々は、快適な生活は望むが今の生活レベルを後退させることには抵抗するからだ。

 実際、人類の発展は善意で行われたわけではない。経済的な都合でそうなったに過ぎない。自動車やテレビなどの普及も人々が望むからの結果であり、事業者は金儲けの一環でそれを具体化させたに過ぎない。

4. CO₂分離技術の有望性

ダウが6万ドルを超えるためには、次なる相場のテーマが必要になる。今はロボットとAIだ。しかし。これらが普及するには膨大な電力需要が地球温暖化に影を落とす。そのため、脱炭素技術もそれと符合した相場のテーマになりうる可能性がある。とはいえ、再生可能エネルギー技術の効果にも限度がある。やはり、賛否両論はあるが初めに原子力発電の高度化技術に陽の目が当たる可能性は高い。もう一つは、CO₂分離技術である。この技術が向上すれば、電力消費増によるCO₂排出量増加にも対応できる。トランプ政権下では、陽の目を見ることはできないが、その次の大統領で陽の目を見て、政府の支援を受けながら導入拡大に動く可能性もある。

(参考) 主なCO₂分離技術と優位性のある企業

1. CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)

概要:工場や発電所などの排出源からCO₂を分離・回収し、地下に貯留したり、化学製品に再利用する技術。

実用性:すでに一部の火力発電所や製鉄所で導入されており、産業分野での実用化が進行中 1。

課題:設備投資が高額、貯留場所の確保が必要。

主な企業:

世界:Occidental Petroleum(米国)、 Shell(オランダ)、 ExxonMobil(米国)、 Equinor(ノルウェー)

日本: 川崎重工業、日立製作所、 三菱重工業

2. DAC(Direct Air Capture:直接空気回収)

概要:大気中のCO₂を直接吸着・分離する技術。空気中のCO₂濃度は低いため、技術的ハードルが高い。

実用性:米国を中心に150社以上が開発に参入。日本でも川崎重工や九州大学発ベンチャーが参入 2。

課題:コストが高く、1トンあたりの回収費用は100〜600ドル。税制優遇や企業支援が不可欠。

主な企業:

世界: Climeworks(スイス):マイクロソフトやストライプなどがクレジットを購入、 

Carbon Engineering(カナダ):アメリカのOccidental Petroleumと提携、 Global Thermostat(米国)

日本:川崎重工業、 本田技研工業

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