新興国のアッパーミドルは一般の日本人より金持ちな時代!

 今の日本は、この20年にかけてジャパンプレミアムが剝げ落ちてしまった。これの意味するところは、庶民にとっては日本国内だけでなく、海外にも逃げ場所がなくなってしまったことである。これからは、上手で賢い生き方をしないと世の中を楽しめなくなったということだ。一方、アッパーミドルは国籍を問わず、かつてのジャパンプレミアムのような生活を楽しめるようになった。世界が均一化するにつれて、人々の生活レベルも国を超えたところで均一化され始まっている。

①  物価水準の瓦解

 20年前は日本が景気が悪くても、アジア諸国にいけば贅沢な生活ができたものである。端的に言えば、月10万円あれば東南アジアでは日本の30万円~50万円相当の生活ができ、竜宮城を思わせるような生活も夢ではなかった。しかし、日本円はどんどん弱くなり、今となっては、アジア諸国でも10万円程度の価値になり果て、南国の酒場やレストランで外食を楽しむということすら贅沢となってしまった。

私などは、屋台で食べることはできない。さらに汚いとこに住めないので、このレートだと日本以上に出費がかさむので南国移住など到底不可能である。日本円の強い時期をしっている者にとっては、本当に寂しい限りである。

②  高級品に対するプレミアムも瓦解

 とはいえ、日本人はデフレの最中でも、ディズニーは活況で、飛行機もANAやJALのプレミアムカードを多くの人が取得し、そして高級ホテルの会員にも手をだしている人も少なくない。コロナ前には、豪華クルーズ旅行も流行りだしていた。このように並べると、デフレと言いながら多くの人はピンポイントではあるもののそれなりに贅沢を楽しんでいた。  

これらの価格はジャパンプレミアムというべきか比較的手ごろな値段での取得や楽しむことが可能であったためである。しかし、コロナ後のインフレ加速でこういった分野の値上げも著しくなり、庶民には次第に遠くのものになりつつある。

 つまり、バブル崩壊後の円安政策で日本円の価値が長期にわたって下落し、結果として、バブル期までに日本という国家が獲得したプレミアムの大部分が剥げ落ちてしまった。これを一言でいえば、衰退である。 しかし、今もって日本は世界最大の債権国には違いない。世界有数の投資国となって貿易収支は赤字でも、膨大な経常収支を出している。この矛盾に対し、多くの人たちが日本に対しブレた見解を論じている。そして私自身もこの状況を咀嚼できていない。

③ 国単位で豊かさを図ことが出来ない時代

 金融緩和とIT技術の進歩によって、先進国、新興国を問わず、実労働収入や金融資産運用などで深刻な格差を生じさせている。このため、新興国でもアッパーミドルは一般の日本人よりも金持ちであり、一般の日本人が行けない高級店や贅沢を楽しんでいる。一方、一般の日本人は安い店しか行けず、日本においても発展途上国のような二重価格が標準になる勢いだ。


 こうなると国単位で貧富を論じる時代は終わっている。これからは日本人だからとか、タイ人だから、米国人だからなどのステレオタイプの見方はやめるべきで、消費行動は、国を超えて、それぞれの階層で横断的につながっていると捉えたほうが納得のいく時代に移った。どの国においても、格差が開き国としての消費行動を一律に論じることができなくなったとことだけはは間違いない。

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