(マグニセントセブン研究2)トランプ政権誕生がもたらすGAFAMへの影響

 1. 圧倒的な経営力

24年度7-9月のGAFAMの決算は

①アルファベット(GOOGL)AIが検索広告・クラウドの成長を促進

 売上 883億ドル 前年同期比  15.1%増  EPS 2.12 ドル 前年同期比 36.8%増

②アマゾン00・ドットコム(AMZN): ネット小売やAWSの双方が順調

 売上 1589億ドル 前年同期比  11.0%増  EPS 1.48 ドル 前年同期比 52.1%増

③マイクロソフト(MSFT): 全体期に堅調だがクラウドの成長が一時的に鈍化

売上 656億ドル 前年同期比  16.0%増  EPS 3.3 ドル 前年同期比 10.4%増

④アップル(AAPL):iPhone販売は堅J調だが今後の見通しは控えめ

売上 949億ドル 前年同期比  6.1%増  EPS 1.64 ドル 前年同期比 12.3%増

⑤メタ・プラットフォームズ(META):SNSの好調がけん引へ

売上 406億ドル 前年同期比  18.9%増  EPS 6.03 ドル 前年同期比 37.4%増

この決算をみるだけで、GAFAM+(テスラとNVIDIA)のマグニセントセブンが米国相場を引っ張ているのは一目瞭然だ。これら企業が長期にわたって市場平均以上の増収増益をくりかえしているのに驚かされる。成長性に陰りがでてこないのだ。これは彼らの経営能力の超というべき優秀性によるものである。正直、私もこの辺の彼らが行っている仕組みについてはいまだに理解できていないのが実情だ。

しかしながら、GAFAM+(テスラとNVIDIA)のマグニセントセブンと他の優良企業の経営力には、野球でいったら大リーグと日本のプロ野球のレベルの差があると言っても過言ではない。SP500の凡庸な企業となら、大リーグと高校野球ほどのレベルの差があるといってよい。

 今の米国相場は、マグニセントセブンと周辺の超一流優良企業にさえ投資すれば何も考えなくても相当な利益を得られる仕組みが出来上がり、これがなんと10年近く続いている。まさにこれら銘柄の絶頂期に違いない。これの言わんとすることはS&P500などの堅調な上昇とは裏腹に、投資対象としての分析に値する銘柄は1割未満いやその半分にも満たないということである。今の米国では、それくらい利益創出力が一部の企業に集中しすぎてしまった。

2. 著名投資家ウォーレン・バフェットの不穏な動き

 バークシャー・ハザウェイはアップル株売却を4四半期連続行っている。4〜6月期にはアップル株の保有株を49%減らし、7〜9月期に25%程度減らした。23年9月末対比でみると保有株式数は3分の1にまで減っているが、それでもバークシャーの株式投資保有額の3割弱をアップルが占める。

 バフェット氏は「良い球が来た時しかバットを振らない」と述べているが、マグ二セントセブン以外にバッフェットの投資を満足させられる銘柄がどこにあるのかが疑問に感じる。これら会社が斜陽を迎えたとしても、次に出てくるのはこれら企業を肉薄するくらい優秀な企業であり、凡庸で経営力のない会社ではない。それは、バフェットも十分にわかっている事であろう。しかし、バフェット氏は次の投資行動を見据えて行動しているのは間違いない。それが何であるかは凡人の私に全く見当がつかない。

3. トランプ政権の動向も無視できない

 ビル・ゲイツ氏が11月の米大統領選で、民主党候補のハリス副大統領の支持を表明し、ハリス氏を支援するNPOに5000万ドルを寄付した。一方、ジョフベゾスはワシントン・ポストで民主党支持を撤回した。今の米国は民主党寄りに動くだけでは限界があるとの判断からなのであろう。トランプは、民主党寄りのネット大手を快く思っていない。前回の政権時はGAFAMの多くが民主党寄りでさえ、トランプ政権はこれら企業が巨大化に貢献してきたが、20年の大統領選挙ではSNS上でのトランプが不利になるような偏向報道を前面に出し、フェイスブックに至っては投稿の削除、そしてアカウントの凍結までした。こういったことによる大統領選敗北の怨念がある。さらに、GAFAMのこれ以上の巨大化については、共和党そして民主党議員を含めて危機感を持っている人が多い。支持政党であったバイデン政権でさえそれなりに厳しい態度を示してきた。GAFAMの経営陣は手のひらを返すようにトランプ陣営にすり寄ってくるであろう。トランプは政治家である前にビジネスマンである。トランプ政権がGAFAMに対しどういった評価をし態度を示してくるかは興味深いところがある。


4. AI関連の法規制の方向性も注目 

AIが普及していくにつれて問題になるのが、AI学習における著作権問題である。ここを締め付けたらAIの進展は大きく遅れる。例をあげれば、著作権を無視して、ビートルズ作品をベースにAIで楽曲を作るのはアウトになるイメージである 

 この点について、トランプ政権がどのような動きをするかだ。放置すれば、GAFAMの独占状態になる。米国は、アメリカンドリームを追い求める風土がある、GAFAMが停滞しても、次なるスターが出てくるのが間違いない。こういった動向に対するキーマンはイーロンマスクだ。彼は、様々な規制緩和に挑戦するであろう。それは、米国の国力、そしてハイテク企業に追い風になる。それがGAFAMにどのような影響を与えるかは未知数だが。

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