期待外れの石破政権と今後の動向

 

○期待外れ

 岸田総理が辞職し、多くの国民が次なる総理として石破茂を望んだ。私自身も石破政権はアベノミクスの負の側面を改善してくれると期待をしていた。

私は、石破政権について

  前回「石破ショックにみる総裁選と株式市場」https://investment-v3.blogspot.com/2024/09/blog-post_28.htmlを寄稿した。さらに、選挙結果を受けて

  「「日本貧困化」への国民の怒りが自民党大敗北を招いた」で追記した。https://investment-v3.blogspot.com/2024/11/blog-post.html#google_vignette 」 を書いた。それでも足りずに、今回に至っている。その理由は、石破政権に落胆したからである。石破茂は想定以上に深みに欠けていて、単なる正論を語るだけの評論家の域を超えていなかったということである。正論を語っていくと、その行き着く先はどうしても左寄りになってしまう。しかし、ソ連や東欧の共産党崩壊のように社会というのは正論だけでは成り立てない。政治家には正論と現実を考慮しながら最適な方向に舵を切ることが求められてしまうのである。

最近は政治番組を見ることはないが、かつては評論家が政治家にもっともな正論をはいたりすると、熟練した大物政治家はズーズー弁で、「そんな評論レベルの理論を政治に持ってきちゃいけないよ!君らの言っている事を簡単に実行できるほど政治というのは生易しいものではない。机上の理想論ばかり並べても日本には様々な人々がいることを忘れてはいけない。様々な利害関係者に目配りしながら慎重に物事を進めて行くのが政治だ。政治というのはそういうもんだ。だから君らみたいな一面だけクローズアップした意見を簡単に政策に落とせないんだよ。政治化は評論家ではないんだ。」と言っていたのを覚えている。

石破茂は自民党の要職に就いたこともある大物政治家だ。評論家のように上辺だけの机上に近いような正論をはいても、実効性のある政策に落とし込んでくれるだけの知見と能力があると多くの国民が思ったのではないだろうか。しかし、結果としては、弁の立つ野党議員が総理になったのと変わらず、これでは2009年の民主党政権と同じようなものである。

○総理としての資質に疑問符

そういった点では、石破政権の運営は素人かと思われるほど稚拙で、そのブレインも2,3流の布陣。一匹オオカミだった小泉内閣時も人脈の薄さから様々な無名の政治家を抜擢した。とはいえ、塩川正十郎という老輩は財務大臣時代、「塩爺」の愛称で国民の人気を博し、民間の学者である竹中平蔵も賛否両論はあるものの不良債権処理に区切りをつかせた。さらには、安倍晋三を次の総理に抜擢したりもして、人の見る目は相当なものであった。一方、石破内閣の布陣をみると、主要ポストに引き上げることで天賦の才能を発揮するような隠れた逸材は見当たらない。この布陣では選挙敗北するのは当然といえば当然である。さらに、今回は裏金問題もあり自民党はかなりの劣勢を強いられる選挙であった。そういって点ではクリーンな石破総理ならそれなりの健闘が出来ると期待された中での惨敗。まさしく、選挙に対する勝ち方も知らない。選挙に勝つためのブレインすら確保できない。さらに、民衆を誘導するだけのしたたかさもない。あるのは馬鹿がつく位の正直さだけである。

〇不安視されるトランプ外交

 次にトランプ大統領の面談が断られる。これは非常に深刻である。トランプはビジネスマンとして頭が切れるだけでなく非常に正直な人で、自分との取引(ディール)で有益な奴と判断されればどんなに忙しくても時間を割いて面談をしてくれる。しかし、断った。これはトランプ陣営が石破陣営を気に入っていないことの意思表示に他ならない。

 さらに、石破が日本製鉄のUSスチール買収に対する書簡をバイデン大統領に送った後に、トランプはそれを否定するコメントをだした。石破政権において、トランプ陣営と交渉できる人材がいないことを露呈している。

 これでは、トランプは日本に対して容赦なく厳しい要求を突きつけるのは間違いない。日本の米国に対する膨大な貿易黒字とその原因の一つである為替レートの是正をトランプ陣営は間違いなく要求してくる。その時に落としどころを調整できる人材がいなければ日本側は混乱する。マスコミが、そんなことをしたら米国がインフレになると意味の分からない論調を展開しているが、中国が下火になっている中で多くの企業は米国への輸出に舵を切っている関係上、関税をかけられれば日本側は利益を減らしながら米国に輸出をすることになる。そうなると企業業績の悪化は明白で日経平均は最悪3万円を下回る局面も予想されてしまう。

〇次の総裁が自民党の今後を左右

 そうなると石破総理は、旧安倍派のトランプ陣営に近い人たちを要職に就けなくてはいけなくなる。石破政権は安倍陣営に逆戻りするだけで、もぬけの殻になってしまう。

 そんな状態で参議院選挙に勝てるとは思えないので石破総理は辞職も視野に入る。しかし、誰が後任になるかだ。高市早苗が筆頭であり、彼女は安倍晋三の忠実な部下でかつ気風の良さからトランプ陣営から一定の評価をえられる可能性が高い。とはいえ、政治家のなかにはアンチも多い。それ以外の政治家だと実力不足が露呈し政界再編の足音が忍び寄ってくる。日本が混乱することになるが、トランプ政権側もそれを計算している可能性がある。

〇政治家にはネットを駆使した政策論争が必要

 昔の自民党政治家は、マスコミなどの評論や批評をものともせず信念をもって政治をしていた。いわば、マスコミは野党のようなものだった。しかし、今の政治家はマスコミが誘導する世論を気にしながら政治をしている、これを打開するには政治家はネットで自分の信念や実績をさらけ出しながら国民からの支持を得ることが重要になる。そうなればマスコミなどの評論や批評はどうでもよくなる。そういったことを実践し大統領になったのがドナルド・トランプである。

今の時代、政治家は政党内での事情を優先したり、マスコミ報道に翻弄されるように対話するのではなく、ネットやSNSを上手に駆使しながら、「政治家 → マスコミ→国民」ではなく、「政治家 → 国民」の国民との直接対話を重ねながら様々な問題を解決していく時代に移行したのを意識すべきである。つまるところ、政界大再編だけでなく、政治のあり方も再編しなくてはいけないのだ。


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