ユニ・チャーム 欧米ブランドとの勝算

 ユニ・チャームは、生理用品、紙おむつ(乳児用、大人用)などの衛生用品の国内トップメーカーである。この分野は赤ちゃんから高齢者まで様々な年齢層だけでなく、果てはペットまで広範な領域にまたがっており、日用品に近いがゆえにブランド力の構築が経営上の重要なファクターになる。ユニ・チャームは、アジアやアフリカなどの発展途上国を中心に、これら国の黎明期にブランド力を確立させ、発展期に移行する過程での需要拡大を享受する戦略を打ち立てている。

(ユニ・チャームの市場動向)

 おむつ市場における大まかなシェアは 

 1位 P&G 16.6% 2位 キンバリークラーク14.1% 3位 エシティ 11.0% 4位 ユニ・チャーム 7.5% 5位 オンテックス 3.1%

 である。ユニ・チャームのシェアはアジアでの強みを発揮することで世界シェアの上位に食い込んでいる。同社の海外売上比率は、総売上の7割弱で、さらにその7割をアジア諸国で占めているが、巨大市場である中国に大きく依存することなく、様々なアジア諸国でのビジネス展開に成功している。



 この企業の重要な戦略として、アジア地域などの発展途上国に対して、衛生教育を施すことでユニ・チャーム製品への愛着を促す戦略をとっている。こういった草の根ベースでの取組は商品の信頼性を強固にするものであり、そういった点では、ヤクルト同様に欧米型のマーケティングに引けを取らない独自戦略を打ち出している。


(ユニ・チャームの決算状況)

 ユニ・チャームの決算は常に増収増益を成し遂げている。この企業は、海外事業に対して順調に売り上げを伸ばしていることから、日本における最優良企業の一つとして扱っても差し支えない。この会社は創業家である高原氏の優れた経営力に支えられており、今後も増収増益の決算を続けておける可能性は非常に高いことから、長期的には綺麗な右上がりが予想される。



(ユニ・チャームの今後)

 ユニ・チャームの事業分野にブランド力の強化は必要不可欠であるが、欧米メーカーと同じ立ち位置でのマーケティング戦略をしたら、やがては敗北を強いられ欧米メーカーに飲み込まれてしまう。ブランド戦略においては欧米以外の企業が優位性を保てた例はほとんどない。ユニ・チャームは、当面の間、新興国でブランドを高めながらそれら国の所得上昇に連動するように業績を上向けていくことが出来る。しかし、その後のステップとして強固なブランドや信頼性を確立できない場合、新興国の中間層はおしゃれな雰囲気が漂う欧米メーカーに流れていくことが予想される。只、衛生用品は品質という点で、ファーストリテーリングのように日本製=高品質でブランドを堅持し、肌触りがよく使い勝手に優れている製品を提供できれば、消費者も簡単に欧米メーカーに移る事はない。そういった第三者的な位置づけでのブランド戦略が必要になる。


(カリスマ創業者による力強い経営)

 ユニ・チャームは、創業家でカリスマ経営者である高原豪久の手腕で成り立っている。投資家視点という点では、有能なカリスマ経営者が指揮を行っていることは大変心強い。高原豪久の社長在任期間は20年を超えているが、年齢的(1961年生まれ)という事を踏まえると当面は一線での活躍が期待できる。こういった経営者は、どんな困難局面においても持ち前の動物的な鋭い勘で乗り越えていく事が多いからだ。

 この会社が正念場を迎えるのは高原氏が実質的に引退する時であるが、遠い先の話になるので、今自点においては考慮する必要はない。高原氏の手腕をウオッチすればよい。



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