ダイフク 総合マテハンの今後
ダイフクは、マテハンの大手である。当企業は、工場内の運搬の自動化では世界トップレベルの技術を有している。新型コロナウイルス禍で電子商取引(EC)向けが伸長したことから、市場の成長期待が膨らみ一時期はPER50倍以上で推移した。これら事業はこれから更なる発展が見込まれることから、ダイフクへの恩恵も期待される。
(直近の状況待)
コロナ禍も静まり、人々は街でショッピングをするようになり同社の株価もPERは20~25倍前後で推移している。
主力の搬送機器は小売り向けなどの需要が旺盛で、空港施設向けは低採算であるが、航空需要が回復する中で人手不足解消による需要が見込まれている。自動車施設向けは、ハイブリッド車(HV)の混流生産など更新需要が見込め、半導体施設関連は、AI関連の後工程向け搬送システムの需要拡大が見込まれる。技術開発で先行するダイフクにとっては当面の安定成長が期待できる見込みだ。
出典
「マテハン(マテリアルハンドリング)業界の世界市場シェアの分析」
https://deallab.info/material-handling/
(規模拡大の課題)
売上高全体に占める海外の比率が7割近くあるが、海外の認知度は高くない。シェアは5%前後だ。収益率は、国内は10%強に対し、海外はその半分に甘んじている。 これ以降の発展は、現地企業との連携や買収による受注高の拡大をテコにダイフクの強みとなる技術力を発揮することが理想的だ、その際、現地企業の従業員をダイフクの従業員レベルまで教育し、スキルを引き上げていく必要がある。現地法人社員に惜しみなく特殊ノウハウを移管することは、ダイフクが得意とするマテハンの特殊技術を一般に公開するのと同じであり、特にチャイナ系の優秀な人材は、その後自ら起業し、ダイフク以上の巧妙な利益管理をすることで、ダイフクより安く技術力も高い企業が現れてくるのは自明だ。
このため、はじめは業績好調をけん引する要因になるが、10年もすれば類似の企業が特に中国系に関して現れ、ほかの産業と同じようにその企業が世界を席巻しています。中国は14億人の国家であり、日本と比べ物にならなく多くの優秀な人材がいることを忘れてはなたない。
日本の製造業において、中国や韓国に猛追されたのは総合製品であり、部品や材料分野は両国とも追いついていない。マテハンについても、ノウハウを与えたら必ず猛追される。
事業規模拡大とは裏腹に、安易なノウハウ提供はそういったジレンマは内在している。
(少子高齢化を武器)
この企業の強みは、人口減による省力化とAIによる無人化の推進である。大きな成長テーマであり、いたずらにシェア拡大を追求しノウハウを提供するより。自然体で高技術の製品を提供に特化することで妙味が出てくる。つまりドイツが得意とする西欧スタイル製造業である。
「世界で一番信頼できる」。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が喝采した技術力を汎用に落とし込むのではなく、技術力を高めることに努め高度案件に特化する戦略である。
それを貫けば、欧米、そして中国の一流企業から三顧の礼でのオファーが来る。そういった姿勢を貫くことで、主力産業の技術ブレイクスルー時に有利な立場で相乗りすることが可能になるのであろう。
当面は、売上が順調に伸びる可能性があるが、アナリストや市場に迎合せずに自然体の決算を出し続けてほしい。
日本に最先端の主力工場を保持し、海外はワンランクかツーランク技術に収め、その範囲内で営業活動を進める。投資家には良い評価を得られないかもしれないが、日本の多くの産業が中国に凌駕されている現状を考慮すると、投資家にとっては長期目線で安定した投資ができるようになる。そういった視点でこの企業をトレースしていきたい。
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