江戸時代の人々の生活から見る資産形成の普遍的法則

 江戸時代は「士農工商」という身分制度により固定化された社会と思われがちですが、実際には身分に関わらず、才覚次第で巨額の富を築ける実力主義の側面も持ち合わせていました。当時の成功事例を分析すると、現代にも通じる資産形成の法則が見えてきます。

1.普通の商人が事業を大きくするには

① 江戸などの市場を活用

地方で小規模な商売をしていた商人が、食料・衣料・雑貨など消費需要の高い「百万都市」江戸を相手に商売を展開。

② ニッチ市場の開拓

大商人が扱わない特殊な商品(薬種問屋、古着商、傘や下駄の修理業など)に着目し、徐々に規模を拡大。

また、商品の品質向上や独自の工夫で差別化を図る。例:菓子商が独自製法で人気商品(羊羹や煎餅など)を生み出す。

③ 倹約と再投資

利益を生活費に使わず、事業拡大に再投資。江戸時代の成功商人は倹約家が多く、贅沢を避けて資本を蓄積。

2.普通の農家から地主になるには

① 節約と余剰資金の蓄積

自作農が倹約して余剰資金を蓄え、隣接する土地を買い足す。江戸時代は貨幣経済が浸透し、米や副産物(菜種油、綿花など)を販売して資金を増やす。

② 困窮農民の土地を取得

凶作や不作で困窮した農民が土地を手放す際に買い取り、徐々に土地を集積して地主化。

ある程度の規模になると小作制度を活用し、買い集めた土地を小作人に貸して年貢や地代を取る。

  (地主は農業経営よりも金融・土地経営に近い存在へ)

さらに、村役人や庄屋などの役職に就き、情報や人脈を利用して財産を拡大。

ただし、村八分などの掟を潜り抜ける必要があり、信用・協調・規律遵守が不可欠でした。江戸時代の農村は年貢負担の連帯責任が基本で、勝手な行動は許されなかったため、地主まで上り詰めるにはしたたかな対応が求められました。

3.武士は現代の公務員

武士は現代の公務員に近い存在でしたが、資産形成の観点では不利な立場にありました。

武士は藩から「扶持米」や「俸禄」を受け取り、基本的な食糧は確保されていました。俸禄は米で支給されることが多く、飢饉でも藩が武士への供給を優先したため、直接的な飢えなどは回避されました。

しかし、俸禄がインフレに弱い固定制だったため、米価高騰時には現金収入が減り、生活は困窮。下級武士は借金や質屋通いが常態化し、副業(傘張り、提灯作り、習字の師匠など)でしのぐケースもありました。

4.金融業としての質屋

質屋は庶民の金融機関として機能し、冠婚葬祭や病気、年貢納入など急な出費に対応。武士も現金不足から利用しました。

質屋は担保品(着物や道具)を預かり、利息は高め(年利換算で数十%)。返済できない場合は質草が流される(売却)。

都市部では現金需要が高く、質屋は生活に密着した存在でした。開業には資金が必要なため、呉服商や酒屋など現金収入のある商人が副業として始めるケースがほとんどでした。

 そうして商人は富を蓄えますが、度が過ぎれば幕府や大名からの取りつぶしにあう危険性もありました。幕府や藩は財政逼迫時に、特に大名貸しで利益を得ていた商人は標的になりやすく、江戸時代全体で数十件程度の取りつぶしが確認されています。ただし、経済への悪影響を避けるため慎重に行われ、通常は課税強化や御用金徴収で対応しました。

                                                     geminiより

5.資産形成は古今東西で不変

江戸時代も現代も、資産形成は努力と才覚によるものです。江戸の街では大多数が四畳一間の劣悪な住環境で、宵越しのお金を持たないことを粋としました。今で言えば貯金ゼロの生活。そこから抜け出せるのは一握りの成功者のみ。農民もそのほとんどは小作農で、長屋暮らしの職人とさして変わりません。富というのは、普通に生活しても得られるものではありません。その時代のトレンドや隙間を見抜き、機会をつかむ才覚が必要とされるのです。


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