欧化に近づく日本──労働時間から見える日本社会の変化

(アジアの中で相対的に“働かない国”になった日本)

近年、日本は韓国や台湾に追いつかれ、富裕層の数では中国に及ばなくなっている。しかしその背景を「労働時間」という観点から見ると、日本が周辺国と比べて明らかに短い労働時間へ移行していることが確認できる。

●アジア主要国の年間労働時間

中国:2,450時間

台湾:2,008時間

韓国:1,865時間

日本:1,617時間

かつての“モーレツ社員”文化は完全に影を潜め、日本社会は確実に「低労働時間化」している。職場の空気を“社畜”と言われることもあるが、実態は周辺国より労働負荷は軽い側面がある。

これを東南アジアにスコープを拡げると顕著な結果になる。

●東南アジアの年間労働時間

 マレーシア   :2,308時間

 シンガポール  :2,283時間

 タイ      :2,177時間

 ベトナム    :2,160時間

 フィリピン   :2,096時間

 インドネシア  :2,020時間

 日本      :1,617時間

東南アジアは「のんびり」しているのは幻想である。一般に「物価も低く、人々も穏やか」というイメージを持たれがちな東南アジアだが、労働時間は日本より長い。しかし、日本のストレス指数が高いのは、日本人の完璧主義や責任感の強さが背景にあるのかもしれない。

(西欧諸国との比較で明らかになる、日本社会の“欧化”)

日本よりもさらに労働時間が短いのが西欧諸国である。にもかかわらず所得水準は日本より高い国が多い。

しかし、日本は南欧のスペインやイタリアより労働時間が短くなっている。

今後、更なる少子化が加速する局面では、子育てのしやすい社会の構築が急務とされる事から、日本の労働時間は

より短くなり、下表のイギリスやフランスに近づいていく事が想定される。

 ●西欧諸国の年間労働時間

  ドイツ:1,331時間

  フランス:1,491時間

  イギリス:1,512時間

  日本:1,617時間

  スペイン:1,634時間

  イタリア:1,709時間

(日本の未来像──西欧化、そして「働かない社会」へ)

労働時間の短縮は生活に余裕をもたらす一方で、製造業の競争力には厳しい影響を与える。

工場の稼働は、3交代で24時間が多い。今の日本人にこのような工場勤務を行える人は限られる。

この点で、中国、韓国、そして東南アジアと比べ、日本に工場を建てるメリットは低くなる。

日本で出来るのは、高付加価値の製品や部品に限られてしまう。

この流れは、まさに製造業を失った西欧と同じで、日本の辿る道はドイツに近いものとなるであろう。

日本はすでに、確実に“欧化”の道を歩み始めているのかもしれない。

(日本社会の変化)

 日本社会は、これまでの量ではなく、質による成果に力点をおくことになる。具体的には待遇面で優秀な人を優遇していく政策だ。日経に「ソニーGのゲーム事業会社SIE、初任給42.5万円(基本給と45時間分の固定残業代を含む) 6万円超上げ 2026年2月27日 」とあった。

 企業側は、能力のある人材には職位に関わらず高給にする姿勢を鮮明にするであろう。転職市場でJTCが2000万円の求人、それ以外の企業では1000万円の求人も増えてくるであろう。ただし、これは特殊能力のある専門職を対象とした求人になるが。平等主義の日本企業において、そんな格闘も始まりつつある。

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