中国とインドの隆盛が引き起こす東西覇権の交代2(BRICSの台頭)

前回記事 

中国とインドの隆盛が引き起こす東西覇権の交代(世界の潮流)

https://investment-v3.blogspot.com/2024/06/blog-post.html#google_vignette


(BRICSの台頭)

 BRICSに関しては、近ごろ拡大の動きが顕著になってきた。

・インドネシア、BRICSに正式加盟 11カ国に拡大(1月7日 日経)

BRICSの加盟国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国に加え、サウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプト、そしてインドネシアの11カ国にまで膨れ上がった。さらにパートナー国には13カ国(インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシア、ウズベキスタン、カザフスタン、ベラルーシ、トルコ、アルジェリア、ナイジェリア、ウガンダ、ボリビア、キューバ)に及んでいる。

BRICS加盟国の人口は合計35億人と世界の約45%を占め、経済規模は合計28兆ドル以上となり、世界経済の約28%に相当する。(JETRO 2024年10月31日)

(西欧諸国のピエロ化)

これら加盟国には、明らかに西欧諸国から制裁や敵視されている国も含まれている。ロシアに至っては、日本を含めた西側諸国から見ればウクライナ戦争で悪の枢軸国との扱いだが、BRICSからのいわば新興国からの世界から見れば、全く異なる世界が見えてくる。西欧の正義が必ずしも、これらBRICS加盟国の正義ではないことは明らかだ。そして、西側がいくらロシアを非難しようとしても新興国の多くはそれに追随すらしない。

なぜこのような西欧諸国のピエロ化が起きっているのであろう。それは、本当の意味での西欧列挙による世界統治の終焉と言えなくもない。ほんの20年前までは、イギリスもフランスもかつての植民国家に対し影響力を保持していた。しかし、中国やインドが台頭するにつれ、これら国々の影響力は年々小さくなっている。香港においては、イギリスとの2047年までの1国2制度の約束すら中国にいとも簡単に反故されてしまった。今となっては西欧は小さな国の集まりに過ぎず、新興国は長年にわたって続いていた米国や西欧諸国の利権からの脱却という側面からBRICSに参加を希望している国も多いのも事実だ。世界が多極化しており、この流れは加速する一方で20世紀初頭の勢力図に戻ることはない。

(米国政治の混乱)

 そういった視点で見ると、米国はより多民族国家になり、いまにもまして世界中の優秀な人々を取り込んでアメリカンナイズさせていかなくてはいけない。これは米国で言えば、共和党寄り民主党に近い政策である。そしてトランプの米国第一主義さえ長期的にみれば間違っていることを暗示させる。つまるところ、米国は白人国家ではなく、世界中の優秀な人間を取り込んだ多民族国家にならないとこれ以上に発展が出来ないのである。だからこそ、民族間を超えたイデオロギーや法整備が必要になる。ブラックホールのように世界中から優秀な人間を吸い寄せさせないと米国は世界の覇権国を維持できない。


(欧米の役割)

BRICSなどの新興国の勢力が大きくなっても、これら国々の優秀な頭脳を持った連中は自国での活躍を望んでいるわけではない。事業をする場合、米国のグローバル企業やベンチャー企業の幹部で活躍する。そしてイギリスではケンブリッジとオックスフォードが世界最高レベルの学びの場を与えながら、学位、修士、博士号を与えることを箔として自国で社会のリーダーとして活躍してもらう。

西欧諸国は試行錯誤して作り上げた近代社会に東側は追い付こうとしているにすぎず、自発的でかつオリジナルな近代化や民主主義ではない。これらを本当の意味での自分たちで咀嚼していくには相当の年月が必要とする。かつての日本もそうであったが、経済力で追いついても西欧コンプレックスはそう簡単に拭いきれるものではない。それには数世代の月日が必要だ。つまるところ、西欧諸国は、自分たちの文化面や教育などのブランドを大切にし、それに特化していくことがBRICSや新興国に対する賢明な戦略になりうる。

 (東西覇権)

 これから東側諸国は、日増しに経済的な優位性を高めていくことは必然の流れだ。なぜなら、ほとんどの西側諸国は成熟化し経済成長を望めないからだ。このため、政治の世界で対等に接する必要があり、G7などは形骸化したローカルな会合に過ぎなくなる。BRICSの台頭に勢い突けば、世界のスキームはG20をベースに舵をとっていかなくてはいけない。今は、西欧列強時代の本当の意味での終焉を迎えつつあるのだから。

コメント

このブログの人気の投稿

「五公五民」時代における賢い人生の歩み方

Fireに乗れた人と乗り遅れた人(ライフスタイル探求)

富裕層(億以上の資産)になってかつ意識系を低くできればこの世界は桃源郷に代わる。

サイレント富裕層の台頭

(マグニセントセブン研究)GAFAMが辿るであろう終着点