バーチャル婚が当たり前になる時代(社会動向)

初版 2022.10.14 (旧タイトル;少子高齢化と財政破綻)

1.歯止めの利かない人口減少

1980年代までは、日本だけでなく世界中で人口爆発を危惧していた。多くの人がこれ以上に人口が増えすぎては困ると思っていた。ところがバブル崩壊を境に、日本人は次第に結婚をしなくなり、そして子供を産まなくなった。これは、バブル崩壊後の不景気という一時的な現象ではなく、年を追うにつれ深刻なものとなり状況は悪化の一途を辿っている。こういったことに、政府も手をこまねいているわけではなく少子化対策を打っているが、今となっては焼け石に水である。それは政府が悪いのではない。お隣の韓国や中国、そしてシンガポール、香港、台湾などは日本以上に深刻な少子化に陥っている。さらに、タイなども同じような少子化に陥ってきた。これは、この100年に起きた社会構造の変化の歪によるものといえ、ちょっとやそっとの政策を打ち出してもどうにもならないところまで行きついているからである。

2.女性が子供を産むメリットが見いだせない

少子化の原因は女性の社会進出に対しての旧来以前の社会構造のギャップにある。

・女性の高学歴化が顕著になったことで、彼女らの自己実現が出産適齢期と重なってしまう。このため、出産時期を逸してしまう。

・一方、共働きで子供を育てることは、その女性に対し、20年近くにわたって子供に人生を捧げるだけでなく、5才くらいまでは保育園で絶えず移される風邪などの病気との闘い。病気でも預けられる特別施設をさがし、又はその日だけベビーシッターを雇ったりするなど、365日24時間、子育てと戦う毎日を強いられる。多くの場合、このほとんどを妻が背負うことになる。さらに費用面では、託児所や学童保育などでほぼ一人分の収入が出ていき、中学から大学までは膨大な教育費負担など巨額な出費が待ち構えている。さらに子供のいる家庭ほど、子供の友達との釣り合いも考慮し、一軒家やマンションの購入をせざるを得ない。これらを賄うためには、夫の給料だけでは不十分であり、一定以上の収入を得るために長く会社に居続ける事になり、子供を育てながら周りの男性と同じような成果を上げなくてはいけない。それに解放される頃には50代、遅ければ60代を迎えるが、今度は老後資金の確保が重要な課題となってしまう。

こんな戦場のような毎日を20年以上も続ければ、家には二人の男がいるのと同じで、甘い夫婦生活など入りこむ隙間などない。全ては子供のイベントを中心に生活が回ってしまうのだから。つまり、昭和のような男性像を貫くと、妻から長年にわたる恨みつらみが祟り、見切りをつけられる可能性が高い。

今の時代、昭和とは違って、女性が結婚するのも子供を育てるのは義務ではなく、人生における選択肢の一つにすぎない。そんな中で、今の社会構造は子育てという点において20~40代の女性に社会の歪を負わせすぎており、それに関する社会的ケアがあまりにも脆弱すぎる。この歪を解消されない限り、少子化に歯止めなどかかるはずがない。

3,結婚の定義が変わった

そもそもITの普及によって、若い層になればなるほど、コミュニケーション能力も低下し、男女の恋愛がそもそも困難になっている。会社や公の場所での求愛行動も一歩間違えばセクハラになってしまう。昭和と違い私生活において男女の交際の場は激減している。

語弊が生じるかもしれないが、今の時代、子供を産めるのはややハイスペックで自分の人生に一定の信念があり、その中において子供が絶対的に必要だと思っている強い女性。その他、自分自身のスペックをわきまえて現実の男性と波長を合わせられる女性に二極化し、それ以外は容姿に関わらずいつまでたっても結婚できない状況に追い込まれている。この理由として、自分をわきまえない陳腐なドラマや情報に出てくるイケメン男性に恋焦がれすぎて、自分の周りの普通の男性とは恋愛できないというパラドックスに陥ってしまう。それでも、多くの女性は、いつかはそんな男性と出会えると信じ切って年だけ重ねる悲しさがある。

男などはさらに悲惨で、容姿が低く、女性とのコミュニケーションが下手な男はハイスペックだろうが結婚が難しくなっている。人生における結婚に絶対性を求めなくなった現代。女性のたった一度の人生に対する結婚相手への目は非常に厳しくなってしまった。

4.AIやロボットによる恋愛革命

恋愛市場に革命を起こす可能性がある。AIやロボット技術の進化で自分好みの顔、スタイル、そして性格をカスタマイズする。そうなるとどんな不細工な男でもドラマやアニメに出てくるような美女との恋愛や自分好みの会話が出来るようになる。そうなったら、生身の人間との恋愛が遮断されてしまう。もしかしたら、進歩的な米国の民主党員が先導し、結婚制度すら変えてしまうかもしれない。

そんな時代には、出産も見ず知らずのハイスペックの理想的な条件を見つけだし、体外受精で子供を産んで育てる時代がくることさえ現実味が帯びてくる。一見よさそうだが、こうやって見ず知らずの人の遺伝子を組み込まれて、シングルマザーやファザーで育てられた子供が精神的にまともな人間になるのかは別である。どこかで精神障害か心に深い山闇を持った人間を大量に作り出すことになり、社会問題化し、あまり拡まらないだあろう。

4,恋愛をするのも二極化時代

自分達の祖父又は両親のような老後生活はもはや一部の勝ち組に与えられた特権になってしまった。これからは、恋愛や見合いで結婚し、子供を育てている夫婦が勝ち組になるのであろう。

一方、子孫を残さないと決めた人たちは、AIやロボットで疑似恋愛をしながら、自分自身の人生を限りなく楽しもうとする人たちによる局所的な需要が増えて、子育てを放棄することで比較的優雅な消費行動をリードしていく。ニッチな分野ではそういった文化が花開くことになる。

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