少子高齢化と財政破綻の金融市場への影響(相場(国別)の予測分析)

初版 2022.10.14 (旧タイトル;少子高齢化と財政破綻)

1.人口爆発から人口減少へ

 女性の産む子供の数は、多産多死から医療技術の発展により、先進国を筆頭に、この200年で多産少死→少産少死に移行してきた。人口が爆発的に増加するのは「多産少死」のステージである。ごく最近までアジア諸国は多産少死で爆発的な人口増加をしてきたが、ここにきて少産少死に落ち着き始め、特に東アジア諸国については、ほかの先進諸国を凌駕するほどの少子化になっている。今となっては、この「多産少死」はアフリカなどの一部の地域に限定されるまでになった。出生率という指標から見れば、世界の人口は落ち着き始めており、その先には人口減少が待ち構えている。

2.少子高齢化の経済への影響

少子高齢化は経済という視点から見ると深刻な悩みが浮上してくる。

①生産年齢人口の減少に伴う働き手の不足と経済活動の停滞。

②高齢化社会に移行することによる年金や医療費などの社会保障費の膨張。

③生産年齢人口の減少による慢性的な税収不足と増税ができない社会構造。

④赤字財政の慢性化に伴う政府債務残高の激増。

 2030年頃の世界のニュースでは、高齢化社会の社会保障費の負担に耐え切れない国が続出し、その窮状を報道することが頻発するのではないだろうか。

3.コロナ禍の弊害

 コロナ禍も次第に落ち着きはじめ経済も少しずる正常に戻ってきているが、コロナに感染して一番心配になるのはコロナ後遺症。WHO及び欧米諸国は、コロナをインフルエンザと同等の扱いにしようとしているが、コロナ後遺症の情報も増えてきている。この辺の医学的な本当の見解は、素人の私には理解しかねるところだが、増え続けるコロナ後遺症は間違いなく、少子高齢化をダメ押しするように労働市場に大きな影響を与えてしまう。この結果、労働不足を誘発しインフレの遠因ともなってしまう。

さらに、コロナ禍による多くの人々が集まる機会が減少し、それが結果として結婚に対する機会喪失を生み、さらなる少子高齢化を加速させてもしまう。

4.少子化対策は困難を極める

 コロナ禍の要因を除いても、はっきり言って少子高齢化対策は困難を極めると言わざるを得ない。その理由として、

 ・若者は出産子育てより、人生における生きがいや楽しみを優先させるようになった。 

 ・女性の高学歴化が顕著になったことで、彼女らの自己実現が出産適齢期と重なってしまった。

 ・長期に渡って安定的に勤められる会社が少なくなったことで、人々の不安が増長している。

 ・IT化によって人々の出会いの場もネット空間に移行されているだけでなく、コミュニケーション能力も低下して、男女の恋愛がそもそも困難になっている

5.少子高齢化と財政破綻。

 人口減少社会が示唆すること。それは経済活動の低下かつ低成長社会である。それだけではない、年金や医療費などの社会保障費が国の財政を圧迫し、国の債務を大きく膨張させることになる。

この点では、日本が先行している面があるが、これからの10年間に多くの国が少子高齢化社会に移行することによって慢性的な税収不足に陥ってしまう。しかし、日本のようにGDPの数倍もの政府債務を抱えられる国は少なく、その途中で深刻なインフレや国債の発行が出来なくなる財政破綻(デフォルト)に陥ることになる。ただ、米国と中国以外の国の財政破綻は世界の金融市場に大きな影響を与えるものではない。しかし、一部の国では国民の暴動や選挙による政権交代が頻発するため、政治ニュースとして深刻なものとして報道されるであろう。

6.日本と米国の今後

 日本においては、2030年頃から多くの地方自治体が破綻危機に陥る。そして、社会保障などの行政サービスのカットが続き国民の不満を広がる。政府は地方自治体に財政再建策と援助として交付金を増額するが、その資金は日銀の買取を前提とした国債の発行に頼ることになる。とは、マスコミが不安を煽ることで人々は更なる貯蓄の増額に向かうため、当面の間はトントンの状況が続くとになる。さらなる国債買取は余剰マネーを市中に流し込むことになり株式市場の活況を示唆することになる。

 一方、米国は日本と違い世界一の債務国である以上、財政赤字を放置することが出来ないため、さらなる規制緩和で政府部門を民間に移譲することが予想され、医療、警察などの一部が民間企業が行うことになり、そういった分野でバブルが起きる可能性も高くなる。 

7.少子高齢化に対する相場の向き合い方 

以上をまとめていくと、「経済活動の低下かつ低成長社会の中では、相場は銘柄間で二極化が起こり、一部の成長・優良銘柄だけがその恩恵を享受する。」事が想定される。

これら二極化相場の勝ち組になる企業群は、AIやロボットがどこまで人間に代わって経済活動を担えるように推進できた企業である。当然だが、ロボットやAIによって無人工場や無人オフィスなどの実現や、脱炭素技術が社会に浸透するきっかけを導く商品が登場したら間違いなく株式市場は活況する。時期的には2030年以降だろうが。この覇者はどの企業か、ロボットやAIの覇権国は間違いなく米国であり、残念ながらGAFAMが最有力候補になる。しかし、GAFAMがこれら覇権を握ったなら、それは現状の株価に織り込まれていることも否定できず株式市場への寄与は限られたものになる。

 さらに自分自身の人生を限りなく楽しもうとする人たちに局所的需要が増えて、比較的優雅な消費行動をリードしていく。ニッチな分野ではそういった行動をキャッチした企業に対する株価の高騰が見込まれる。

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