トランプ大統領1988年インタビューから読み取れること

 ドナルド・トランプが1月20日にアメリカ第47代大統領に就任した。これから様々な破天荒な政策が打ち出されることが予想されるが、超貴重ともいえる1988年のインタビューから、その源流を読み取っていきたい。


トランプとの会見 Interview with Donald Trump by Shu Ueyama 1988

(要旨)

1988年頃のトランプは新鋭の企業家であった。そして、有能な若手経営者としてマスコミに取り上げられていた。この時代は今ほどグローバル化が進んでいない状況を踏まえると、日本の経済番組で取り上げられている自体、世界的に見て相当有名なビジネスマンである事が伺える。

・まさにハリウッドのスーパースターのように派手な生活や行動が好きな事が伺える。

・成功の要因は「相当な努力とやる気、そして才能、さらに運も大切な要素だ。才能は万人に与えられていない。成功も同じだ。だから私と同じことをしても成功するとは限らない。」

・政治に対しもビジネスマンの視点で論じている。特にこの頃の日本はバブル景気で「ジャパンアズNo1」と言われていた時代であり、なぜ米国が軍事的に多額の費用を使って、日本の多大な貿易黒字を支えなければいけないのかと述べている。その一方で、日本が米国に多額の投資をしていることに対し歓迎している。

・取引においては、双方で利益を得るべきであるが、現状は米国だけが損を被っている状況、それが許せない。

・今はその気はないが。米国の政治家が、国益を損なうような事を続けていくなら、選挙に出て大統領を目指すかもしれない。

(インタビューの個人的感想)

 トランプのビジネスには、ハリウッドのセレブリティ世界の具現化が見られる。その源流はトランプが青年期を過ごした1950-1960年代の華やかな米国であり、それは「MAGA」思想に現れているようだ。これは日本で言えば、高度成長期の日本を追い求めているのと似ているのかもしれない。

 トランプは一匹オオカミ的な経営者との表現もあり、自分の才能と努力と運を味方にして、のし上がってきた自負があり、その結果すべてをDeal視点で考えるようになっているようだ。

(インタビューから垣間見る今後の米国の政策の行方)

 ①トランプは、一方的な取引を望んでいるのでない。米国に不利にならないような取引を望んでいる。つまるところ、「米国外で製品を作って米国に売るのではなく、米国で作って米国で物を売れ」という事だ。

 単純な話だが、日本を含め世界の多くの国は米国に対し、多額の黒字を計上している。これを実行すると自国の雇用が奪われることになる。政治家はビジネスマンでなく、国民の声の代弁者である。これを実行すると自国の選挙民から反発をくらうことになる。

②所信演説でも述べていたが、米国の発展に寄与するならいかな人種も問わないといっている。インタビューでも、日本からの投資には一定の評価を与えている。この点については、多くの報道では白人至上主義者の偏向されていることが気にかかるが、優秀な人材が米国で活躍するのを受け入れている。

③トランプの理想郷は1950-1960年代のアメリカ。当然であるが、他国が経済力で米国に近づくことを最も嫌がっている。それを阻止するために破天荒な政策を打ってくるだろう。

(トランプの限界)

 中国やインドがこれだけ発展した状況下では、米国は世界中の優秀な人材を集めないと今の地位を維持できない。そういった意味では民主党の政策は間違っていないが、実行する手段が雑すぎた。米国に必要なのは、共和党の良いところと民主党の良いところをブレンドする政策だ。長期的に見ればMAGAに固着すると米国の衰退を招くことになる。米国が世界の人種のるつぼとして、あらゆる人種に夢を与える国に変貌できるかという事につきる。 

 そういった点では、ローレンコ・ゴンカルベスCEOの日本、そして日鉄への発言は米国の恥としかいいようがない。時代錯誤も甚だしい。 



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