AIが起爆する人間社会への革命

 (目まぐるしい科学技術の進歩)

 人間はこれまで科学技術の飛躍的な発展により、人々の生活をより高度にそして快適なものに向上させてきた。しかし、これらの発展はあくまでも人間というものを介さない物理的な事象についてである。端的に言えば、車や飛行機を発明、テレビ、ラジオ、コンピュータを発明する。画期的な大量生産方法、さらに化学肥料で食糧生産を増産させるなどである。

(最適な社会制度の模索)

 人間社会は、ちょっと前までは王政を強いている国が多く、ほんの一部の支配者層と既得権益層が国富の大部分を掴み。圧倒的多数の国民は貧困生活を余儀なくされる封建主義が一般的であった。その後、中世ヨーロッパで段階的に人間らしい生活に向けての格闘を始めた。 ルソーによる平等主義思想が少しずつ根付いて、これを極端にしたのが共産主義である。しかし、共産主義国家の出現とのその後の疲弊によって、平等主義では人は自堕落になり過酷な競争でしか富や進化が生まれない事が露呈する。人間社会においては最適な社会など存在せず、競争社会を敷いて能力のある人を育てながら、政府が弱者に対して格差を縮小すべく一定の支援をする社会が折衷として最適であることがわかってきた。この流れは西ヨーロッパ諸国と日本における現在の政府の根幹をなす政策である。

(科学技術発展と裏腹に感情に振り回される人間)

人類の闘争本能は突き詰めれば生物の持っている生存本能に他ならない。つまるところ、何十億年かけてそのDNAをバージョンアップしてきた。この本能により人間は進化したが、その副作用として様々な争い事や悲劇を繰り返している。科学技術の著しい発展においても今のところは人間の闘争本能や感情制御にまで踏み込めていない。そもそも人の才能は均一ではないという箇所から踏み込めていない。例として、教育において40人クラス全員に東大目指した学力をつけさせる。スパルタな練習でプロ野球選手やサッカー選手を目指させる。こういった取組のもとで、どんなに頑張ったとしても東大合格、プロ野球選手になれるわけではなく達成率は極めて低い。そもそも才能格差に対し社会の答えは曖昧なままである。

さらに能力が均等であっても、組織内においてはパーレートの2:8法則に従って活躍できる人と出来ない人に分かれてしまう。まさにこれはその権利を得る者と得られない者に分かれてしまい。これを左右するのは決定権のある人たちの判断に依存するが、政治家などの「猿山のボスザル争い」に代表されるように主導権を持った者が自分と考えの近いものだけをかためて組織を運営するなど個人的な好き嫌い等で物事が決定するのは日常茶飯事である。学者の世界でも教授になるには、実力ではなく力のある教授に好かれることで明暗が分かれ、宗教界でも高名な僧侶になるには、醜いまでの政治的な駆け引きやライバルを消し落とす策略が必要とされ、その過程においては聖人とは言い難い裏の顔が見え隠れする。


(人の感情が正義の定義を歪める) 

ウクライナ戦争における西欧諸国とロシアの対立においては政府当局がお互いの言い分を執着するだけで折り合おうとしない。国民からの莫大な税金を無駄に投入して経済を歪ませているだけでなく、何万人の国民を犠牲にしているのも関わらず、それぞれの当局がそういった現実を直視しようとしない。一方、米国大統領選では互いの陣営は相手側のあら探しに奔走。それを報道するマスコミも権力の力関係に即した偏向報道のオンパレード。さらに、ネット上ではそれを飛躍した過激論のオンパレード。民主主義社会が根付くことでその人の出目に関わらず自由な言論が交わすことが出来るようになり、一見素晴らしい社会が形成されたように思えるのとは裏腹に、社会は建設的な意見ではなく人(又は団体)の感情を惜しみもなく公然にさらけ出しているに過ぎない。それでいて、人々は宗教にすがり自分たちの行動とは全く正反対な高尚な教えに耳を傾けて心を清めようとしている。まさに人は心という獰猛な存在を扱いきれていない。

(AIによる人の管理という革命)

 AIの発展は著しい。2030年を超える頃には、AIは産業のあらゆる箇所で活躍するようになる。企業の管理にもAIが活躍する時代が来て、はじめは人の仕事を代替することからスタートするが、これらが一段落するとAIが人を管理する時代に到達するであろう。AIの凄いところは、AIは目的意識などの有無に関わらず際限なく学習できるので際限なく知識を身に着けることが出来ること。また、人間のように利害関係や感情がないのでどんな局面でも冷静な回答や判断ができること。AIが人のように汎用的に脳を使うにはまだ相当の時間がかかるが、特化型で利用する分には人間以上の成果が期待できる。

小学校の学業評価から始まって、社会全般の仕事については各個人の作業報告をAIに対して行いAIから回答を得るようにする。これによりAIがその人の能力を把握し評価するようになる。人は二次評価者としてAIの下した判定を微調整する程度に抑えるので、恣意的な評価が減る。これの行き着くところは、昇進候補者もAIが素案を作り、関係者の評価を組み合わせながら決めていき、社長人事もAIが候補者を選定する。さらに一歩踏み込むと、政治家や自治体などの首長においても同じ基準で選考が一般化し、総理大臣はAIガ推薦した数名の候補者から競わせ、各大臣も首相ではなくAIの推薦を基礎に選定していく。 

こういった取り組みは、時間差はあるものの試行錯誤を繰り返しながら確実に訪れる未来像である。全ての評価はAIがするのでより客観的になる。社会は、封建主義から民主主義に移行したように、今度はAI主導の人間主義にというべき以降をするのであろう。これは間違いなく社会革命であり、人の価値観はより自由に多方面に向かっていくようになる。 

現時点において社会を決めるのは人の感情に他ならない。そういった感情による暴走を排除した、より公正なクリーンな社会を目指すために、客観的な判断が可能なAIが想像以上の革命をもたらすのは間違いない。



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