遺伝子が人間の未来を支配
1.人は常時面白可笑しく、そして楽天的に生活できない
人は、常に不安に駆られることで未来に対する不確実性や周辺から身を守るようにできている。これは人というより生命が地球上で40億年に渡って絶滅しないように培ってきた知恵であり、1万年程度の進化しかない人間の遺伝子にはどうしようもできない本能(機能)でもある。この本能の厄介なところは、科学技術が著しく向上し、安全に生活できるようになった現代人にとって、不安が日常生活におけるリスクテイクと重なり、不必要な事に対して異常なくらい振り回されている。しかし、この機能を取り外したら人間は間違いなく絶滅に向かう。それだけ細菌などのウイルスや地球上の森羅万象は人の叡智を遥かに超えたところにあり、不安というものに駆られなければ人は適切な防御ができないからだ。こういった事情を垣間見れば、遺伝子は不安を煽る機能を取除くことは決してしない。人間は常時面白可笑しく、そして楽天的に生活することは不可能であることを理解しなくてはいけない。
2.オスとメスのそれぞれの生存戦略
①オスによる弱肉強食戦略
政治家の縄張り争いは、猿山のボスザル争いと大きく変わりない。動物のオスは優れた遺伝子を誇示しようと争いをし、それに勝ったものだけは遺伝子を残すことができる。つまり、メスと交尾をすることができる。そうでない遺伝子を持つオスは、子孫を残すことができない。オスにはそういった弱肉強食がオスの行動原理であり、つい最近まで、争いに勝ったオスの一族は王族などの支配者になり、その周辺の貴族などの既得権益層と共に酒池肉林の贅沢な生活をする一方、圧倒的多数の民衆は過酷な労働を余儀なくされるだけでなく、ろくな食べ物を得ることも出来なかった。
②メスの戦略による能力平準化作用
一方、メスは優秀なオスを誘惑するフェロモンをどれだけ出せるかで勝負する。オスはメスの能力よりもそのフェロモンに騙されるといって良い。このフェロモンと動物的な優秀さは比例しない。例えたら、超高収入のビジネスマンや医者を目当てにモデル並みの超美人が近づいて結婚することは多い。その場合、母親の遺伝子を継いだ子供は総じて優秀ではなくドラ息子になってしまう。逆に容姿は劣るが頭の良い女性は競争社会で優位性を獲得していない男と結婚することが多いが、母親の血を引き継いで子供がとてつもなく優秀になることも多い。メスは相手に良い遺伝子を求めるが、自分の遺伝子が子孫に悪影響を及ぼすことを考慮していない。だから名家が3代続くことが難しいということが起きる。まさにこれは生物学的なパラドックスなのか、遺伝子の平準化戦略なのかは分からないが。
3.超優秀とは遺伝子からみればバグ?
頭の良い人の子供は総じて頭は良い。運動が得意な人の子供は運動が得意だ。これは一般的な傾向ではあるが、超一流となるほどのどの過ぎたものとなると話が変わってくる。超優秀であることはある意味変異であり、遺伝子上では異常であるという扱いだ。遺伝子は優秀な者を残してその種の高度化を図ろうとするが、遺伝子は平均としての向上を目指し、同一種別なら圧倒的な違いを容認はしていない。だからこそ、学問においても、スポーツにおいても一定以上に優秀な人の子孫が必ずしも優秀にはならない。それは官僚で事務次官を経験するような人の子供は東大は愚か三流大学だったりする。スポーツ選手でも、一流アスリートの子供が一流アスリートになれるとは限らない。それは、実業界についても同じである。
3.人口減少社会を遺伝子からみた場合
今の時代、東大などの一流大学を筆頭に大学における女子比率は増加の一途を辿っている。こうなると、高学歴女子の結婚相手は、必然的に高学歴男子に集中してしまう。さらに、女性の社会進出も年を追って増加し、男性より高所得な女性は年々増えており、夫婦の形態は男女均等の共働きの世帯も年々増加している。男女の社会的な役割バランスが崩れはじめており、この過渡期なのかこれらに乗り遅れた男女を中心に独身割合が増加している。そもそも他の動物から見れば、皆結婚の社会自体が異常である。ちなみに江戸時代の江戸は圧倒的な独身社会であった。しかし、それが後の時代に悪影響を及ぼしてはいない。つまり、今の独身社会も同じ事が言えなくはない。遺伝子からみると動物学的には許容以上に人口が増えすぎたことに対して、人口増加を制御しているにすぎない。
4.オスとメスの役割崩壊
しかしながら、このミスマッチは過去にはない副次的要因も含んでいる。女性の社会進出によって、メスはオスに強さを求めずに、共存をもとめるようになった。オスも同様に強さを競うのではなく、メスに社会的な強さを求めることが多くなった。つまり、男女が歩み寄り、中性化しはじめているのだ。今起きているのは、男女における中性化行動である。容姿においても、女性みたいな男が増えて、男のような女性も増えて、トランスジェンダーの概念が急速に拡まって、同性婚すら政治の重要なテーマにまでなった。適正な子孫を残すために作られたオスとメスの概念を人間は科学技術の発展により少しずつ逸脱し始めている。遺伝子はそのような状況に対してどのような判断をしているかは分からない。遺伝子は何十億年という生命の進化という側面からこれらを判断しているのは間違いない。もし、遺伝子がこういった状況を許容しない場合は、遺伝子はいつか人間が滅びるくらいの惨事(戦争、疫病)を引き起こすように人間の心や考え方を誘導し人間社会をリセットするであろう。逆に、それを容認するのなら信じられない科学技術の発展する未来が人間を待ち受けているのかもしれない。
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