投稿

FRB利上げ開始と米国債権投資戦略

1.FRB利上げ開始 FRBがとうとう利上げ開始しました。これから年末にかけて0.25%の利上げを段階的に7回にわたって引き上げて、年末には3%程度にするとのことです。この水準になると債券投資が視野に入ります。2000万円を米国債に投資したら年に60万円の利息が入ってきます。これだけの利息なら分散投資としての妙味がでてきます。 2.債券投資の前提  米国が利上げを順調に続けていくと、当然ですが、為替レートは円安に向かいます。そうなると米国債の利回りは高くなっても、円⇒ドルへの移動は慎重になります。ちょっとした円高で利息分が吹っ飛んでしまうからです。  なので、債券投資の前提として円高を切望するのですが、残念なことに、黒田日銀総裁の在任中の円高は望み薄です。次の日銀総裁次第です。このため、債券投資をするには、この先長い長い期間を待たなくてはいけません。  ちなみに 私が適正と思う為替レートは100円です。今時点だと厳しい設定だと思われますが、海外物価と比較すれば一目瞭然で、それ位のレートに設定しないと日本と海外物価とのバランスが釣り合いません。本当は、70円から80円ですら妥当な水準です。 3.金融緩和はやめられない。  下図は、労働力人口の表です。諸外国と比べ、日本は90年代から労働力人口が下がり続けており、それに併せて日本の国際競争力も低下してきました。日本政府は日本経済が右肩下がりにならないように、この穴埋めとしての金融緩和があります。本当は、高齢化社会に向けて日本はドラスチックに生産性を向上さなくてはいけません。それが出来ない限り日本は、金融緩和の旗を降ろせません。 4,米国都合の円高もある  相場とは判らないものです。対岸の米国の財政赤字も惨憺たるものです。この巨額の財政赤字がインフレを加速させ、結果的にそれを相殺するように為替をドル安に向かわせることは十分にありえます。私は、むしろこちらの想定に現実味があると思っています。そうなると日本はほぼゼロ金利下での円高を経験することになります。 5.債権投資戦略  私は、「円高+米国国債金利3%以上」の条件が整えば債券投資に動きます。とはいっても、上記の通り道のりは長いです。 しかし、待つことも投資です。私は、中短期の相場に乗るつもりはなく、長期視点でしか資金を投入するつもりはありません。  私は、今時点で...

ロシア(SWFIT)凍結は単なる相場の調整材料 (経済情報との向き合い方)

   1.ロシア(SWFIT)凍結 市場は、ロシア(SWFIT)凍結で右往左往しているように見える。しかし、これは単なる相場の調整材料に過ぎない。 私見では、ロシア(SWFIT)凍結は短期間で解決するような単純な話ではない。大国ロシアの威信をかけた戦いだ。ロシアに相当有利になる条件を西側が提示しなければ、ロシアはこの戦いを降りるとは到底思えない。マスコミはプーチンを名指しで非難するが、そこには、ロシア民族のプライドと長年に渡って培われたロシア民族のイデオロギーが根底にある。 2.経済への影響 西欧諸国がロシアを制裁することで、原油とガスの供給が遮断されることになる。しかし、それは資源高を導きインフレを誘発することになり、西欧諸国の庶民の生活を圧迫することになる。しかし、化石燃料の代替先は簡単には見つからない。その期間が長くなればなるほど、経済に与える影響はインフレという形で代替される。 3. 投資家はどうしたらよいか?  ロシア(SWFIT)凍結は、膨れすぎた株式相場の一時的なガス抜きに過ぎない。市場は、ロシア(SWFIT)凍結が終われば、インフレと米国の金融政策に焦点が移る。そして、大きく暴騰する事はないが、大きく下落する事もなく相場は推移する。と想定している。  米国市場はリーマン・ショック後に株価を大きく膨らました。そして、コロナショックで限界まで行きついている。 相場は、それらに対してインフレに化けて調整に入っている。そのため、ロシア(SWFIT)凍結にかかわらず相場は上昇カーブを描きにくい。  このため、調整局面に強い株。それは以前投稿したが、オールドエコノミー―的な超優良銘柄である。実際、この局面でも、コカ・コーラ、ベライゾンなどは動揺していない。動揺しているのは、ここ数年で大きく飛躍した企業群である。  こういった銘柄で配当を楽しむのも一つの楽しみ方であろう。 当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べたものにすぎません。このため、当ウェブサイトに掲載された情報によりなされた判断及び一切の行為は、閲覧者の自己責任においてなされるものとします。いかなるトラブル・損失・損害に対しても、一切責任は負いません。

毎日の仕事の中に宝がある~金川千尋会長(信越化学工業株式会社) 

1 .信越化学工業の経営スタイル 信越化学工業は、日本を代表する超優良化学メーカーです。前回は、鈴木洋CEO(HOYA株式会社)を取り扱いました。HOYAは、大手企業が容易に参入できないニッチに焦点をあて、そこでガリバーになる戦略をとっています。  信越化学工業は、HOYAより市場規模の大きい分野で世界的なシェアと高収益を上げています。  経営モデルは、標準的な日本企業と変わらないオーソドックスなビジネスモデルですが、営業は営業力、製造は技術力という基礎力に注力を注ぎ、金川会長がそれをうまくコントロールするスタイルです。  はじめに結論付ければ、この会社は、金川会長が退けば普通の日本企業に戻る可能性が高いということです。他の大手化学メーカーと同様の道を歩んでいくということが想定されます。今の輝きは金川会長という稀有な才能に依存しております。   2. ウエルカムな老害  金川会長は、信越化学工業の塩化ビニル製造の中核企業である米国子会社シンテックの成功をきっかけに、本社社長にまで上り詰めました。これはセブンIホールディンクスの鈴木前CEOにも似た、半分たたき上げ的な出世の道筋です。  そして、社長に就任してからは、バブル崩壊後に関わらず、信越化学工業を大きく飛躍させ続け、気が付くば、90歳を超えても現役の会長職に就いています。  一見すると老害というマイナス面にも見えなくもないのですが、信越化学工業の事業をここまで安定したビジネスに育て上げた実績を考慮すると、社員からみたらウエルカムな老害ともいえます。  さらに、長期にわたって経営権を握っているからこそ、一般的な日本の大企業のように、サル山のボスザル争いで勝ち残った無能な経営陣の輩出を抑えています。これこそがライバルメーカー停滞をよそに好調を維持できる要因の一つではないでしょうか。   3. 技術力を大切にする精神  金川会長は技術者ではないのですが塩化ビニルの将来性について、相当しっかりとした考えをもっているようで、それは下記インタビューにも表れています。 ---金川会長のインタビューより---  設備投資の基本は「販売先行」です。製造したモノを売れる自信がなければ設備投資に踏み込めません。塩ビの設備は大きな投資が必要になりますから、慎重な判断が必要です。シンテックの工場が稼働を始めたのは197...

儲からないビジネスに手をださない。~鈴木洋HOYA㈱ 

  HOYA株式会社は、日本では最高ランクに位置する優良企業です。日本には珍しく、本気で株主向けの経営をしている数少ない企業でもあります。もし、貴方がこの株を長期保有していたら間違いなく、相当な恩恵を受けたことでしょう。実際、私のポートフォリオでもそれは証明されていました。   この会社の高収益の源泉は、 ・ニッチな産業のガリバー戦略 ・流行や時代に左右されないベーシック分野への傾倒 に事業を特化することであり、このポリシーの結実が  「能力がある人たちがやり方を変えながら一生懸命やってみても結果がついてこないのであれば、その事業はダメなんだろうと判断します。」 に表れています。まさに、日本株式会社の経営者に爪のアカを煎じて飲ませたくらいの経営力であるのと同時に日本企業への投資に対する一つのヒントが隠れています。その詳細をインタビューから分析していきます。  1.経営のスタイル 「この会社の経営における基本的な考え方は、1つの会社の中で小さい複数の事業を保有し、その中身を時代に合わせて変えていくというものです。今の事業は“歳”を取ったものが多く、収穫期に入っているので利益は出ています。ただ、次の20年を考えるとポートフォリオの入れ替えをしなければいけない時期に来ている。それが私の本業なので。」  ⇒鈴木洋CEOは、事業体をポートフォリオで表現しています。外資系投資家的な発想で経営していることが伺えます。 2.事業ポートフォリオ 「こういうポートフォリオにしていきたい」というイメージがあっても、値段が高い今は買いに行く適切なタイミングではない。商売は安く買って高く売ればもうかるわけですから。今はタイミングを待っているような状況です。」 「(買収する事業は) 何となく。分からないときは結局、ベーシックなことをやるのが一番いい。今、注目されたようなところに乗っかると、20年後には残っているかどうか分かりませんから。20年後も世の中に残るような、ベーシックでブレが小さいところをやるのがいいのかなと思っています。」 ⇒「安く買って高く売る。」は商売の基本ですが、日本の多くの経営者は、「多少の利益を犠牲しても社会を豊かにしたい。」という社会貢献を前面に出します。その点、鈴木洋CEOは、ビジネスというものに対し、非常にドライな姿勢で経営をしていることが...

日本優良株(トレース)

                         株価 1.  HOYA :(1/10)20,395  眼鏡レンズ、半導体フォトマスクの世界大手 2. SMC :(1/10)59,870  空気圧機器で世界トップシェア  3. TDK :(1/10)1,895   フェライト磁性部品などの総合優良電子部品メーカー 4. アサヒビール :(1/10)1,606 ビールの大手。グローバルに展 5. エンプラス :(1/10)4,775  大手精密プラスチック優良メーカー 6. キーエンス :(1/10)63,450 FA用センサを中心に測定器や画像処理機器の企画・設計・開発・生産する超優良企業 7. キッコーマン :(1/10)1,620 世界を代表する醬油メーカ 8. シスメックス :(1/10)2,912 ヘマトロジー、血液凝固、尿沈渣検査分野ではグローバルでトップシェ 9. シマノ :(1/10)20,260 世界を代表する自転車メーカー 10. ダイフク :(1/10)3,190 マテハンの世界トップクラス 11. ディスコ :(1/10)48,000 半導体製造装置で世界トップシェア 12. ニデック :(1/10)2,915 永守社長率いる世界1の総合モーターメーカ 13. ファナック :(1/10)4,116 工作機械用CNC装置で世界シェア50% 14. マキタ :(1/10)4,551 総合電動工具メーカーとして世界トップクラス 15. マブチモーター :(1/10)2,157 小型モータで世界トップ 16. ヤクルト本社 :(1/10)2,877 ヤクルトブランドを新興国で定着 17. ヤマハ発動機 :(1/10)1,298.5 バイクは世界トップクラスのシェア、マリン製品も強い 18. ユニ・チャーム :(1/10)1,224 紙おむつなどで世界シェア4位 19. リンナイ :(1/10)3,228 ガス機の世界的優良企業 20. 栗田工業 :(1/10)5,690 水処理関係の優良企業(国内最大手) 21. 参天製薬 :(1/10)1,537.5 眼科用医薬品の目薬に強み 22. 信越化学工業 :(1...

相場の事は相場に聞け 岸田内閣の評価(経済情報との向き合い方)

  1.岸田内閣に対する市場評価  第100代総理大臣に岸田文雄氏が選ばれました。それについて、相場はどのような評価をしているのかについて検証していきます。  相場の動きをそのまま解釈すれば、ちょっと厳しめな発言となりますが、「実力不足」ということなります。相場は岸田内閣に対して期待をしていない可能性があります。  これでは、選挙に勝てないといって辞職した菅内閣より市場評価が低い事になります。  菅総理より良くなることを目指した総裁選が、直前の選挙結果を除けば、全て逆方向に向かう事のないように願いたいのですが。 2.外部要因を比較  一方、日経平均が下がっているのは、恒大集団や米国市場の暴落などが重なりあった為で、岸田内閣の評価とは全く関係ないという意見もあるでしょう。  では、これらの評価について、 日経インデックスに大きな影響を与える米国ダウとの比較することで検証していきます。比較期間は、総裁選のスタートする頃の9月1日をベースにします。    日経平均 米国ダウ 09/01  28,451    35,312  09/15  30,511    34,814 09/30  29,452    33,843 10/08  28,048    34,746  この総裁選では、当初は河野太郎氏が次の総理大臣になるのではという思惑で、日経が3万円を超えました。9月15日頃までは日経平均は世界の相場の中で独歩高です。 しかし、岸田文雄氏が優勢に変化するにつれて、日経平均も下降線を描き始めます。  それでも、9月30日を見る限り、岸田総理が確定した時点の市場評価は、河野総理ほどではなくても、一定の理解を得られていたようです。  実際、米国ダウが大きく下がっているにも関わらず、日経平均が一定レベルで踏み留まっていることからも読み取れます。  しかし、その後です。 岸田総理が本格的に動き出すのに併せて、日経平均と米国ダウは乖離していきます。  これは9月15日と10月8日を比較することで読み取れます。  つまり、日経平均下落の要因は、恒大集団や米国市場の暴落などでは説明しきれません。  明らかに岸田内閣の評価が反映されたものとなります。 3...

投資家視点の戦後経済(1) 1950年前後 東証再開と朝鮮特需

イメージ
    1. 戦後復興と強烈なインフレ (1945 ~ 1949) 日本は敗戦による経済混乱で極端な物不足におちいり、日本中で強烈なインフレを引き起こした。このような中で日本政府は、国内基幹産業を復興させることを第一優先とし、 1946 年には 石炭や鉄鋼などの国内主要企業に対して、資材、資金、労働力を重点的に配分する傾斜生産方式を実施した。しかし、その財源は復興金融金庫の復興債の大量発行による援助金(融資)に頼らざるを得ず、これが国内市場の資金をダブつかせ、 1947 年にはインフレ率が 120% に達した。 2.ドッジライン不況 (1949) 政府は、ハイパーインフレ化した日本経済を鎮静化させるために、 1949 年 3 月にドッジラインを施行した。ドッジラインでは、戦時統制(価格統制)の緩和、米国からの補助金の廃止、復興金融債権の廃止、国家予算を超均衡予算等の超緊縮財政を行った。税制面では、ショウウブ勧告により間接税から直接税にかえ、広く公平な税徴収体制に切り替えた。このような劇薬とも言える一連の施策は強烈な需要激減を引き起こし、深刻な不況(ドッジライン不況)となった。中小企業を中心に 1100 社の倒産、および国鉄 10 万人、電電 2 万人などの大規模な人員整理が行われた。トヨタ自動車や松下電器などの新興優良企業ですら倒産寸前の状態に追い込まれた。この結果、日本国中で資金の流れが停滞し、ハイパーインフレは収束に向かった。その一方、ドッジラインでは、国際貿易の整備にも着手し、実効レートよりはるかに割安な 1 ドル= 360 円の為替レートを設定した。これは、高度成長期を通して国際競争力が強くなっていく日本企業の輸出促進に大きく寄与した。 3 . 朝鮮特需景気 (1949 ~ 1951) 終戦から5年目の 1949 年 5 月 16 日に東京証券取引所が再開した。初値こそ 176 円でスタートしたが、ドッジライン不況の影響で株価は徐々に下値を切り下げ、翌年 7 月には半値( 85 円)まで落ち込んだ。しかし、朝鮮戦争が 6 月に勃発したことで、米軍向け資材供給特需が発生した。これによって、ドッジライン不況により極度に減少した需要が補われ日本経済は再び息を吹き返した。株式市場は、この特需を支えに上昇基調に反転し、 1950 年末には ...

恒大集団の動向見極め (経済情報との向き合い方)2021.09.26

  1.恒大集団ショックを考える  私は、経済ニュースをこまめに追っているわけではないので、月曜日の米国市場の大暴落はまさに青天霹靂でした。朝起きて何がおきたのかとニュースを見ると、「恒大集団のデフォルト危機、リーマン・ショックの再来か?」旨の記事にぶつかり、さらに映像では債権者が恒大集団の本社ビルの前で金融商品の返金を求めて抗議をしている様子が報道されていました。 私は、これを受けて火曜日の中国市場をウオッチしていました。しかし、上海市場で混乱が起きていないことを受けて、この騒動に一定の解を得ました。 中国では恒大集団の件が大きな問題になっていない。 となるとこの暴落は外国人投資家によるシステマティックな変動に過ぎない。 というものです。 2.今後の恒大集団の動向  これは私の私見ですが、恒大集団の動向については、今回のような多少の波乱も含め、中国政府の想定の範囲内で処理を進めていくものと思っております。 そして、中国政府は、恒大集団の債務について、その後の影響を踏まえながら切り捨てる債権者と守るべき債権者を区別していくことでしょう。  実際、米国を筆頭とした西欧諸国と調整を取って、ある程度のシナリオは出来ていると思われ、FOMCの声明も、「恒大集団危機については、中国国内の問題である」との認識に至っています。 3.今後の中国の不動産政策  私は、今後の中国の不動産政策に注目しています。中国のバブル崩壊論は10年以上前から何度も出没しています。幽霊マンションやゴーストタウンの話もしかり。しかし、中国経済はそんなことをものともせず成長しています。 中国政府は、日本の不動産バブル崩壊を含め不動産価格と経済の関係については相当研究しています。 そうなると、中国は不動産価格が暴騰しないように政策面で規制をかけながら、恒大集団のように暴走した企業を長期にかけて整理していく。そんなシナリオが浮かび上がってきます。 中国は不動産価格の上昇に伴う経済成長と庶民が購入できるよう不動産価格抑制の相異なる政策をバランスよく運営していく事を狙っているのではないでしょうか? ただ、この危機が恒大集団だけに留まるのかは注視しなくてはいけません。恒大集団の件が氷山の一角なら、これは別問題です。 それは日本のバブル崩壊後の莫大な不良債権処理とも重なりあってきますので。 4.世界の相場を巻...

日経平均は自民党総裁選を睨む動き(経済情報との向き合い方)

  1 . 自民党総裁選  菅総理が自分党総裁選に出馬しないと宣言しました。これを受けて 9 月 3 日(金)の株式相場は大幅に上昇しました。 でも菅総理は、アベノミクスを継承しており、経済面での失態はしていません。確かに、コロナ対応はちょっと雑であったような気もしなくもないですが。総理交代のニュースでなぜ株式市場が大幅高したのかは不明です。 次の総理が誰になるかは、私にとっては重要です。その後の投資方針にも大きく影響してきますので。   2 . 次の総理と経済政策 私は投資家視点で、次の総理が、経済政策でどこまで踏み切れるのかについて考えてみました。   2-1. アベノミクスの継承 アベノミクス路線の継承是非は一つの焦点になります。とはいっても、アベノミクスもスタートから 10 年近く経過し、勤続疲労も起しています。このため、アベノミクスの継承如何に関わらず、潮目は変わる可能性もあるので、その辺を十分に考慮しておきたいものです。 2-2. 日本型デフレの対峙 今の日本では、デフレが 20 年以上に渡って続いており、その解消に苦労しております。そもそも、デフレは消費者の意識が後ろ向きになっていることの表れです。本当の意味でデフレを解消するのなら、米国などのように勝ち組をたくさん増やして、そういった人たちに贅沢品をいっぱい買わせれば良いのです。 今の日本は、いい悪い関係なく平等社会ですので、年収に関係なくみんなが不安になり、高いものを買わなくなっています。年収 1000 万だろうが、年収 2000 万だろうが 100 円ショップやディスカウントショップなどの低価格の製品を喜んで買っています。今の日本では高額商品の売上は中国などの訪日客がその役割を担っているのです。 しかし、日本もある程度の格差を容認する社会になれば、一定レベル以上の富裕層は、 100 円ショップ等の低価格商品の購入を恥ずかしく思うようになり、贅沢品とはいわないまでも、ブランド力のある商品の購入が促進され、統計上のデフレは薄まります。 しかし、今の日本社会ではそんな不平等が許されるわけがありません。なので、デフレは社会構造上の問題ともいえます。   2-3. 世代間格差の深刻さ  今の日本では、高度...

セールスフォースドットコムの分析? 2021.08.22

1.セールスフォースドットコム(CRM)の評価ミス?  ダウ銘柄ではセールスフォースドットコム(CRM)が堅調です。この銘柄は、しかし、私はこの会社の評価を理解できずにいます。 理由は、 ①PERが高すぎること。 ②GAFAMのように財務内容が良好でないこと。 ③ダウ銘柄の採用理由もアップル株式分割に伴う情報産業指数の調整扱いだったこと ④ダウ銘柄としては、事業範囲が顧客管理システム中心で拡張性に疑問が残ること  そんなことが理由です。他にもテスラにも同様な評価を持っています。現時点において、ダウ銘柄の中で堅調な動きを示しています。それを見ているうちに、私はセールスフォースドットコム(CRM)を過小評価しているのではという気持ちになりました。  もしかしたら、経営者のマーク・ベニオフCEOの才能を見誤っているのではと。マーク・ベニオフCEOはGAFAMの創業者と同等レベルの経営者なのではないかということです。  2.マーク・ベニオフCEOの力量  私は、マーク・ベニオフCEOの詳しい歩みを知りません。オラクルの営業マンだったのは分かります。それで独立して餅屋のCRMで成功したくらいです。言葉は悪いのですが、その程度のキャリアの人がダウ30にリストされるまでの企業を構築できるのかについて疑問を持ってしまいます。  そもそもCRMがこれから社会的にどれだけのインパクトを与えることが出来るのか判断すらできません。正直、私には社会を変えるビジネスモデルとは到底思えません。  しかし、経営能力がGAFAMレベルのようにこれからの株価は大きく上昇していく可能性があります。とにかく調べてみる価値はありそうです。でも、私はセールスフォースドットコム(CRM)のファンダメンタルを調べ上げるつもりはありません。  マーク・ベニオフCEOが、どのようにしてこの会社を大きくしたのか。そしてどういうことに強みがあるのか、そして、今後のどんな未来像を持っているのかとかです。  そういうことについて、提灯記事を読んでも意味がないのでそうでない記事を探すのに一苦労です。なので、この調査は相当時間がかかりそうです。しかし、調査が終わる事にはこの銘柄の評価は固定かされ、投資時期を逃してしまう可能性があります。いつものことですが。 当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べたものにすぎません。こ...

日本の80年後半バブルを投資家視点で再検証 

1.バブル経済の産声  80年代中頃から、日銀はプラザ合意に二極化相場は豊かによる急激な円高不況を抑制するために、公定歩合を戦後最低の金利である2.5%まで引き下げたことが発端でバブル経済がスタートしました。  初めは、株式市場が経済指標とリンクしない状態で独自に上昇していたことから、「不景気の株高現象」と言われていました。  ただ、この高騰は過去の経験則とは明らかに異なるもので、特に国際競争力の高い銘柄を中心に史上高値を連日にわたって更新するということからスタートします。  当時の四季報には、「この円高不景気の最中、株式市場だけが活況を呈している。これも何らかの株価の先見性を暗示しているのでしょうか?」旨の記載があります。明らかにそれまでの経験則による動きと異なるものであったことが伺えます。そして、代表的な暴騰例がNTTの上場です。 2.NTTの上場 NTTは1987年2月9日に株式公開されました。その売出し価格は一株119.7万円でした。しかし、あまりにも買いが殺到し、初日には値が付かず、翌日に160万円で初値がつきます。それ以降も買いは止まらず4月には1株318万円の空前の値を付けます。そのように暴騰するNTT株は社会現象にまでなります。  また、個人株主はその当時160万人とも言われ、個人投資家からみた政府系企業への信用度の高さも物語っています。しかし、その後は徐々に値を切り下げ、バブル崩壊後の92年は売り出し価格の半値以下である50万円を伺うところまで値を下げています。その頃の記事には、今度は個人株主団体がNTT株に関する損害賠償請求を国に申し立てていたりしています。 3.相場の過熱  このように相場の過熱は徐々に社会現象になってきました。1987年の日経は1万9千円台弱からスタートして、その後は順調に株価を切り上げ1987年10月には2万6千円を伺うところまで上昇しています。  しかし、米国発のブラック・マンデー大暴落により、世界中の市場が調整に入ります。(尚、この時も世界大恐慌への発展が懸念されましたが、欧米相場はその後に立ち直りを見せます。)日経も2万1千円台まで調整しましたが、日本市場は、その後、欧米を凌ぐ独歩高の様相を呈し、翌年の1988年に引き継がれます。 4.不動産バブルも発生  そして、この頃に巷では地上げ屋が社会現象になります。カネ余りの...

元本保証商品の運用利回りは壊滅状態 

1.資産運用におけるキャッシュの必要性 長期投資家である私は分散投資を心掛けます。なぜなら、きっちりと分散投資をすれば、有事が起きても攻めの姿勢で相場と対峙できるからです。  実際、一つの籠に卵を入れて運用したら、有事の際、身動きが取れなくなります。皆さんのなかにも、コロナ禍の大暴落で騒然とした方も少なくないのではないでしょうか。  キャッシュは、そういった暴落の時に力を発揮するのです。そういった、相場が低迷している時に購入した銘柄は投資家に莫大なリターンを与えてくれます。   2.元本保証商品で利率の一番高い商品が国債 しかしながら、キャッシュは利息を生みません。そのため、投資家はいつでもいくらかの利息を得ようとキャッシュに類似した商品に投資します。手っ取り早いのは銀行の定期預金。これは誰でも簡単にできます。そして、かつては証券会社の MMF 、中期国債ファンドなどもありました。国債はそういった元本保証系の商品群の中で利率が一番高い商品です。  しかし、国の債務残高が1千兆円を超える今に至っては、書店で「日本国破産。国債は紙屑に!」というタイトルの本が所狭しと並べられ、本当に購入して大丈夫なのかと不安に掻き立てられます。確かに債務残高という点ではそういうことも言えなくもないのですが、日本は、今のところ、債務超過どころか世界一の債権国です。  縮小経済だ!人口減少デフレ社会!と言われても世界一の債権国である日本の通貨(円)は世界でトップクラスの信用度です。当面は安全であると断言できます。 国債は、そういった意味では、元本保証の商品のなかで、最もお金を増やすことができる商品の一つです。   3 .雀の涙より少ない利息 では、元本保証の商品の利率を見ていきましょう。メガバンクの定期預金の利率は 0.002% です。視力検査でいったら、ド近眼どころではないですね。どうせド近眼でも、 0.1% は欲しいですが、レーシックでもしない限り戻らない状況です。これがどれくらい利息を生むかですが、 100 万円を預けてもたった 20 円しか利息が付きません。たった 20 円!。。。。です。何が買えるのでしょうか。「うまい棒」を 2 本?がやっと。子供向けの駄菓子すら満足に買えません。この利息では全てが終わっています。 ...

ダウ銘柄の投資効率を検証 (各種指数分析)2021.07.02

イメージ
1.ダウ採用銘柄の投資効率を検証   2009年7月と2021年6月におけるダウ採用銘柄を比較し、投資リターンを検証しました。この間にダウインデックスは3.4倍に上昇しました。  しかし、対象となるダウ銘柄はこの間に11社も入れ替わっています。このため、個別銘柄でのリターン分析については、実質19社で行っています。結果は以下の通りです。   2.投資リターンの上位銘柄  JPモルガン・チェース(JPM)やアメリカン・エキスプレス(AXP)は、リーマンショックで大きく下落しました、このため、その反動分がカウントされています。一概にいい悪いの判断はできません。  逆に、ボーイングは、今回のコロナ禍で倒産危機に追い込まれました。政府支援によりなんとか生きながらえていますが、それでもダウの上昇率を上まっています。コロナ禍がなかったら、実質第3位のポジションです。  次に配当面について見ていきますと、JPモルガン・チェース(JPM)、アメリカン・エキスプレス(AXP)はリーマンショック時に大幅な減配をしております。ウォルト・ディズニー(DIS)、ボーイング(BA)はコロナ禍で無配になりました。なんか不安定です!  そうなると、本当の意味で健闘したのは、ホームデポ(HD)とマイクロソフト(MSFT)だけで、両者ともテンバガーを達成しています。  そして、コロナ禍による外食産業への甚大なダメージをものともせず、頑張っているマクドナルド(MCD)はすごい経営力です。もちろん増配もしております。 3.投資リターンの下位銘柄   師匠(バフェット)銘柄であるコカコーラは、堂々2位にランキングされています。全くと言っていいほど株価上昇の蚊帳の外に置かれています。  しかしながら、師匠(バフェット)銘柄もそうですが、一見冴えないように思われるこれら銘柄は、実は2008年に起きたリーマンショック時のダメージをほとんど受けていません。逆に、大不況の真っただ中で増配すらしています。  どうも、これら下位銘柄は、好不況に関係なく株価が安定していて、債権のような感じです。そのため、ゆったりとした長期投資家が好む投資家です。  そうはいっても、これらの銘柄に対して、ダウインデックス並みのリターンにこだわると、どうしても負け組になってしまいます。歳を取りすぎて、株価の上昇率...

10年後のダウ銘柄を考察する

イメージ
ダウ銘柄における2009年と2021年の変遷について調べました。 結論からいうと、結構、変わっているぞ~。という感じです。 2009年と言えば、リーマン・ショックの真っただ中で、ダウは1万ドル近辺で推移していました。それが、2021年は3万4千ドルまで上昇しています。 単純計算をすると、12年間で、約3.4倍も値上がりをしたことになります。 では、ダウ構成銘柄の変遷はどうなっているでしょうか。 1.2009年と2021年のダウ構成銘柄   2009年と2021年のダウ構成銘柄を比較すると、なんと、この12年間に11銘柄が入れ替わっています。構成銘柄の約3分の1が交代していることになります。 ドラスチックな世界です。 競争の激しさが伺えます。農耕民族にはうかがい知れない世界です。 2.ダウ構成銘柄から外れた銘柄 除外された銘柄を見ていくと、以下の通りです。 AA、AIG、BAC、C、GE、GM、HPQ、PFE、T、UTX、XOM これを見る限り、米国、いや世界を代表する企業群です。 ちょっと年をとったスター選手のような顔ぶれです。 日本企業に例えたら BAC、C:米国の4大銀行なので、みずほ、三井住友、三菱UFJが該当します。 GM:まさしくトヨタ。 HPQ:これはNECか富士通。 PFE:武田 か アステラス製薬。 T:これは言わずもがなNTT。 UTX:航空・軍事関連だから三菱重工か川崎重工。 XOM:これは日本石油でしょう。 AA:日本軽金属かな~。 まるで、紅白歌合戦に毎年出場するベテラン歌手を見ているようです。 3.ダウ構成銘柄に加わった銘柄 この大物の代わりに、どの銘柄が新しく加わったのでしょう。 AAPL、AMGN、CRM、DOW、GS、HON、NKE、TRV、UNH、V、WBA これを見る限り、新興のIT、金融系が多いです。 HON、WBAなどは、老舗ですが経営状態が良好な企業って感じです。 これを見ても分かるようにダウは、経営状態の悪い企業に対し、過去の栄光などお構いなしに容赦なく追い出して、経営状態の良い企業に置き代えています。 こういう傾向はわかりました。 4.2031年のダウ構成銘柄 ここで2031年のダウ構成銘柄を勝手に予想してみましょう。 では、除外される銘柄というと、「経営が低迷している企業=株価の低い銘柄」となりますので、ここで...

日経225構成比率の考察2021.06.19

イメージ
  1.上位11社だけで構成比率の42.3% 日経平均の構成比率を考察していきましょう。 日経平均は225社で構成されていますが、 上位11社だけで寄与率の42.3%(図1)を占めています。 この結果は、これら11社によって、日経平均の動きを左右していることになります。   2.2:8の法則(上位2割で日経構成比率の3/4) では、2:8の法則に従って225社の20%である上位45社に当てはめると、その比率は、74.4%(図2)に昇り、ほぼこの法則に合致します。 となると、残り180社で構成比率の25%強となります。 このことは、残り180社の株価が大きく変動しても、日経平均への影響は軽微であるということを示しています。   3.日本株式会社の影響力は限定的  日本を代表する重厚長大系企業、及び高度成長期に輝いていた中堅企業群は、上記180社にいます。この10年間に全くと言っていいほど振るっておりません。  これは日本経済の中心部から外れていることを示しています。 しかし、日経平均の寄与度に関わらず、多くの労働者はこの180社、及びその関連企業で働いています。労働と言う面では、上位45社の寄与度は限定的です。 ここに社会生活と日経平均に乖離が生じています。  日経平均はアベノミクス以降に2.5倍に上昇しているにも関わらず、これら恩恵は一部の銘柄に限られていることがこのデータからも読み取れます。 4.アベノミクスの実態を映す鏡  年齢層の高い投資家は、知名度の高い重厚長大系企業の株を中心に保有しています。このため、こういった銘柄の株価が上昇しないと本当の意味において一般投資家を潤すことはできません。  アベノミクスにより日本の雇用環境が良くなったのは紛れもない事実であります。これはこれでよい事であります。  しかし、このデータでは、バブル期まで世界を席巻した日本株式会社は、今もってしても厳しい状況におかれていることを物語ってもいます。  一見好調そうに見える雇用情勢とは裏腹に、日本の中流層を支えるサラリーマンの苦境を映す鏡ともなっています。 当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べたものにすぎません。このため、当ウェブサイトに掲載された情報によりなされた判断及び一切の行為は、閲覧者の自己責任においてなされるものとします。このため、いかな...

ビルゲイツの名言からマイクロソフトを読み解く

  1.名言に万人向けはない  ビルゲイツといえば、マイクロソフトの創業者として、世界有数のソフトウエア会社に導き上げた世界有数の経営者であり、世界有数の資産家でもあります。  しかし、彼のこういった成功は彼の天賦の才能だけによるものではありません。ここまでに至るには彼のけたたましい努力と苦闘の連続があったからなのですが、ビルゲイツは世の中の理不尽さを示唆するように、「人生は公平ではない。そのことに慣れよう」という名言を放っております。 これは高校生のスピーチの一節であり、人生における様々な理不尽に自分の意思で打ち勝っていけと説いていますが、その中において才能に関する理不尽さも忘れてはなりません。  例えば、野球選手のイチローが一流選手になるまで、そして一流になってからもどれほど苦しい練習と自分自身との戦いを積み重ねてきたのか、それらを聞かされるとまさに天才は99%の努力と1%の才能で成り立っていると言わんばかりです。そうはいっても、あなたがイチローと同程度の練習や自分自身と格闘したからと言って、イチローのように一流になれるわけではありません。  99%の努力とは、天性の才能を伸ばすための努力であります。つまり、どんな素晴らしい教訓や名言であっても、そもそも天性の才能のない人にとっては猫に小判の域を超えないという現実を冷静に見つめなければいけません。自分自身を顧みないでする努力は何も実りも得られないのです。 2.名言のそれぞれ  ビルゲイツの名言と言われるものとして以下があります。 「毎日毎日「勝ちたい」という気持ちで出社しなければならない。切羽詰まったときにこそ、最高の能力を発揮できる」 「一心不乱に働くこと、ベストを尽くすことが嫌だというなら、ここは君のいるべき職場ではない」 これは、マイクロソフトという事業を成功させるためにはこれだけのパワーは必要という裏返しです。 でも、ビルゲイツさんのそういう姿勢に同感できません。私はのんびりと自分が一番幸せだと思う時間に精力を注ぎたいのです。  ビルゲイツさんもこれだけ戦闘的な生活を長年にわたって続けると、引退してもその生活リズムは崩すことできません。この人にとって、何もしないでボーッとすることはおそらくですが拷問の張り付けと同じ気分なのではないでしょうか。なので、ビルゲイツさんが未だにセカセカ分単位で何かに打ち...

投資ブログ開始

このブログでは、長期投資家の隠れ家的なブログを目指します。 試行錯誤しながら独自の投資理論の構築を目指し、 その理論を駆使した資産運用を公開していきます。 私の投資理論及び運用方法が皆様の投資の一助になればと思います。 これからもよろしくお願いします。