インデックス投資の黄昏も近い?(「FANG+信託の低迷」日経記事)

 日経に面白い投信記事がアップされていたので、それについての感想を書いてみた。

(FANG+保有継続は是か 類似投信へ乗り換えも選択肢)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB26BVR0W5A320C2000000/

投信商品「FANG+」はなんと、米国大型テック株たった10銘柄で運用する投信らしい。この投信は、構成銘柄をここ10年近くに渡って米国の上昇相場を牽引してきた銘柄群に絞ることで、投資家により直接的な恩恵を被れるようにした商品である。

 

(GAFAMの怪物的な企業経営力)

  GAFAM、そして広義にはマグ二セントセブンは長期にわたって成長の限界を裏切り続け、「現在においても投資家に対して更なる夢や期待を与え続けている。」。一生懸命に投資を勉強し続けている投資家に対しては、まさに過去の経験則を裏切り続けていることになる。あのウオーレン・バフェットも過去の経験則に当てはまらないIT革命の本質について、優良テックを中心に研究し続け、IBM、ORACLE等に投資する等の試行錯誤をしてきたが、事業という側面から見たGAFAM銘柄の歴史的革命性、そして時代の変化を見抜いて最終的にはアップルに巨額投資することでこの巨大な果実をもぎ取った。

 このため、今の米国相場は、マグニセントセブンと周辺の超一流優良企業にさえ投資すれば何も考えなくても相当な利益を得られる仕組みが出来上がり、これがなんと10年近く続いている。まさにこれら銘柄の絶頂期に違いない。これの言わんとすることはS&P500などの堅調な上昇とは裏腹に、投資対象としての分析に値する銘柄は1割未満いやその半分にも満たないということである。今の米国では、それくらい利益創出力が一部の企業に集中しすぎてしまった。

(歴史的な割高感?)

記事では、「こういった投信の構成銘柄は今、非常に割高でリスク大」と指摘。とあるが、テック株は大抵において将来性が期待されるので概ね割高で推移する。その割高の評価範囲は今後の成長性に依存し、成長性が高ければPER100でも容認されることになる。成長性が鈍化すれば投資家は収益力から株価を測ろうとし、大抵の場合、PER10~20のレンジまで株価が調整することになる。こういった記事については、企業がどのような成長を辿っていけるのかの両刃の剣であり、どちらの意見も未来予測としては正しいのである。あるのは、その企業が数年後にどのような経営を見せてくれるかに過ぎないが、そんな未来のことは誰も分かるわけがない。

(「FANG+以外の選択肢」の可能性)

私は数年前からGAFAM等の巨額時価総額に対し、長い間、「これ以上の膨張は見込めるのか」と思索し続けていた。

参考「一極集中」相場とインデックス投資の黄昏

https://investment-v3.blogspot.com/2025/01/blog-post.html

 なぜなら、過去の例を見渡してもGAFAMのように長期に渡って飛躍し続けた銘柄はほとんどとなかったからであり、その回答は未だに出ていない。 

記事では、投資先をより広範にすべきだという事で、以下のような投信を紹介している。

・「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)」(時価総額上位10社)

・「一歩先いく グローバル・イノベーション企業インデックス」(世界大型テック15銘柄)

・「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)」(テック株への過度の集中を避け、金融や医療に分散)

 分散するのは正しいのであろうが、選択銘柄を広範にした場合、それら企業が「FANG+」のような増収増益が見込まれる企業なのかという点での検証が必要になる。金融や医療には優良企業は存在するが、「FANG+」のようなメガ優良企業は存在しない。海外に向ければ中国企業の健闘が目立つが、これら企業はバブル前の日本の名門企業のように、投資家が求める長期にわたる安定的な増収増益、そして株主還元という点では未成熟な状況下にある。「FANG+」を補填する銘柄を探すことを相当において難しい。

(インデックス投資の黄昏)

 現時点で考えられるのは、米国市場においては「FANG+」が停滞した場合、今まで見放されていた内需銘柄のリバウンドが起こり。それが終了する頃に次なる相場のテーマが登場するということが一般的な流れになるのではないだろうか。当然であるが、内需銘柄のリバウンドはダウやSP500に一定の寄与をするが、NASDAQ指数には軽微である。このため、当面の間はインデックスという点では横ばい状態となる可能性も高い。しかし、内需銘柄のリバウンドは、トランプの目論む忘れ去られた人たちへの恩恵を示唆するため、そういった相場下でもトランプに対する支持率や評価に影響は及ぼさない可能性が高い。

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