金融政策決定会合「金利据え置き」の継続について(私見)
(据え置き理由)
日銀が7月31日の金融政策決定会合で4回連続の「金利据え置き」を決定した。据え置き理由としては、
「ことしの後半にはある程度のマイナスの影響が発生することを見込んでおり、米国の関税政策が日本に及ぼす影響を見極めたい。」
という事であるが、この回答はまさにリベラル色の強い発言である。米国では、FRB議長も同じ回答をしているが、実態経済は残念ながらその予想を裏切り続けているが、FRB議長は年後半に影響が見込まれることを予想し、金利引き下げを躊躇している。
(植田総裁のインフレ経済の見解)
「日銀は利上げをして物価高対策をしてないのか」と植田総裁に問いたところ、「現在の物価高の供給サイドの要因が大きい。このような状況で利上げをすると企業業績に影響し、社員の所得が減るから消費が減って、食料品などの価格も下がる。需要サイドからの物価高なら金利引上げで対応できるのだが」と述べている。
しかし、今の物価は、供給サイドだけの要因ではなく、株高や不動産高、そして好調企業の賃金上昇の恩恵を受けた高収入サラリーマン、さらにインバウンドの外国人が価格の決定権を持っているのが私の私見である。アベノミクス以前、強いて言えば2020年までは、こういった恩恵を受けた層が少なかったことから、デフレマインドの強い一般消費者が価格決定権を握っていて、企業側も安易に値上げができなかった。
企業が強気になって値上げしているのは、値上げしても業績に影響はないと見込んでいるからであろう。つまり、消費者層が二極分化しているが、日銀はその相違について議論しているのだろうか?
https://investment-v3.blogspot.com/2024/04/blog-post_22.html
今回の参院選挙。自民党が大敗した大きな要因に間違いなく物価高による国民の怒りがある。 政府や日銀がこれ以上の物価高を容認したら、国民は自民党への怒りを通り越して。政界再編を促すであろう。参政党の躍進は、日本人が極右化したからではなく、物価高による生活水準の低下、そしてインバウンド消費に見る日本の国力低下と貧困化の直視、円価値の低下で日本人が気楽に海外に行けなくなった。多様性を重視しすぎた移民受け入れ加速に対する日本文化崩壊の危機を感じているからであろう。
GDPが4位の大国であるにも関わらず、日本人のプライドは発展途上国並みにまで突き落とされているのだ。
マクロ上は、日経株価が4万円超えても、その恩恵は一部の層しか波及しない。賃金上昇の波は大企業から始まるが、資本主義の過酷な競争下では中小企業まで波及しない。だから大多数の国民は、インフレにより生活水準を落とし続けているのだ。
日銀の見解を見ていると、日銀の高尚なインフレ理論を国民の了承の下で進めているような感じをしてならないのが気がかりだ。
4.関税より為替レートを注視すべきでは。
米国はFRB議長が交代したらトランプという強烈なリーダシップの下で、金利は1~2%まで引き下げられであろう。この水準なら、従来の日本国力なら1ドル110~120円まで水準訂正された。これは関税15%以上の打撃である。しかし、今の日本は円レートの調整が出来ないほど国力が低下した可能性もある。どっちに転んでも、米国の金利引き下げは日本にとって良いものとは言えない。
とは言え、日銀の政策は神の所業ではなく、試行錯誤の取り組みでしかすぎない。それはアベノミクス政策に関わった浜田宏の回想録でも自明だろう。
これは、私見であるが、日本は、コロナ禍によってデフレトレンド波は一掃され、この先数十年続くインフレトレンド波に突入したと感じている。これは私自身の根拠のない直観に過ぎないだけだが。
参考
日銀、政策金利0.5%で据え置き 4会合連続
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB30CDH0Q5A730C2000000/
【詳しく】日銀 金融政策を維持 植田総裁「一気に霧は晴れず」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250731/k10014880351000.html
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