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優良企業は長期的には主力事業を変遷させる

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 (株式市場の花形である成長株投資)  株式市場をけん引するのは、未来に輝く成長株である。こういった銘柄は、時には10倍どころか100倍程度にまで化けてくれる。10万円を投資すれば1000万円、100万円を投資すれば1億円。まさしく投資家が夢見る儲け話である。一方、成熟した優良銘柄は成長期待が乏しいため、配当面での魅力はあるものの、業績に関わらず5年いや10年を経過しても株価は思うように上昇してくれない。 (エムスリーの大暴落)  エムスリーは、株式市場のスター銘柄であった。株式の時価総額も5兆円を超えるなど米国の優良ハイテク企業の日本版という位置づけで、輝かしいテンバガーを記録した。しかし、そのエムスリーの株価が最高値の8割下落となり、ソニーが経験した2000年のITバブル崩壊時の10分の1の大暴落のような事態を招いている。 とはいえ、エムスリーの業績は株価の変動ほど悪くはない。単に株式市場がこれ以降輝かしい成長を見込めないと判断した結果に過ぎない。 このように特定分野で圧倒的な強みがあって、財務や収益面でも経営者の非凡な才能を発揮しても、国内需要の頭打ちなどで事業成長性に陰りが見え始めれば、市場は非情にもその銘柄を大暴落させ、株価を地面に叩きつけてしまう。 (売り時の難しさ) こうなると、上昇しすぎた株価に対し、投資家がどのようにして逃げるかの出口戦略を練る必要がある。これは簡単なようで非常に難しい。株価のピークなど誰もわからないからだ。大抵の場合、自分が売却した後も株価は上昇し続け、数倍の値段をつけた後にピークを迎えることがザラである。その時の悔しさが次の成長株投資で失敗を招いてしまう。今度は、前回の経験から売る機会を逃し、最悪は塩漬け状態になってしまう。  エムスリーを例にとっても、株価が下落しているからといっても5000円や7000円で購入したら、取り返しのつかない塩漬け状態となってしまう。成長株においては、誰も妥当な株価水準などわからない。 (個別銘柄に対する長期投資の難しさ)  未来永劫に株価が右肩上がりを続ける事は難しい。それは優良株でも同じである。東芝などは伝統や技術力において申し分のない優良企業であったがボロボロになり、さらに永遠の優良配当株と謳われた東京電力でさえ、原発事故以後は永遠の無配当株となった。それは米国の超優良と言われた企業で...

FIRE民の蓄財能力も「親ガチャ」で決まる

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  〇小室圭にみる日本社会の多様化  戦後の日本は、日本国憲法では以下に定められているように、本当の意味で階級社会からの解放に成功した。 第14条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。 とはいえ、このような平等が根付いたのは戦後50年経過したバブル期以降であり、そういった権利を最大限に活用するもの現れた。その最たる例が、天皇家一族と結婚した小室圭であろう。戦前まで天皇家は神様の子孫であり、日本国民は天皇家を畏敬の念にて崇拝していた。天皇家の血を引くものは選ばれた人としか結婚できないと日本人は思い込んでいた。しかし小室圭は違った。彼の目には天皇家は血統付きの人たちに過ぎず、自分はそういった人たちと結婚する権利があることに疑いを持たなかった。戦後80年で日本の階級意識がここまで激変したことを物語る一例であった。 〇才能まで憲法で平等化できない  戦前までは「親ガチャ」は当たり前であり、いい悪い関係なく、自分の生まれた階級の範囲内で一生を送ることに疑いを持たなかった。今の時代は、憲法上で平等を謳っているが、才能の平等という抜け穴まで法律にできない。どんな状況下でも人は生まれた時に親から引き継いだ遺伝という才能と生活環境に大きく左右される現実が横たわっているのだ。日本は一時的に「1億総中流社会」の幻想なかで小室圭のような考えを持つ人が出てきた一方で、才能のある人とそうでない人の差がバブル経済崩壊後に拡大し、勝ち組と負け組の開きの絶望を暗示する言葉として「親ガチャ」というキーワードが広まってきた。 〇すべての人が「親の資質」に呪縛されている  これは私自身の主観も入っているのだが、社会的地位や金融資産に関わらず、バランスの取れた両親のもとで生まれた子供は総じて均整の取れた人格を持ち、社会をうまく渡り歩いていることが多い。たとえ社会的地位が高くても、両親の性格にそれなりの難がある場合、子供はそれなりに難がある性格となり、そういった性格の難が親が築き上げた金融面での没落を導いてしまう。これを端的ま例は、芸能人や企業経営者の下で生まれ、そこそこ裕福な家庭で育っていたが、社会的な成功はしているものの親の性格が未熟なために、子供は親の没落を...

新鋭の学者(成田祐輔)と舘ひろしの嚙み合わない対談

  1.舘ひろし 〇デジタル分析の限界  残念ながら、成田は舘の発言を理解出来なかったようである。例を上げると、舘は渡から「俳優は演技が上手くなりすぎてはいけない」と指導されたとのこと。これはまさに、俳優は演技の上手有無ではなく、存在感で勝負するものだということである。確かに名優は演技というより、そのほとんど唯一無二の存在感で評価されているし、その存在感の輝きやオーラだけで名作になってしまうのも少なくない。石原裕次郎の「嵐を呼ぶ男など」石原裕次郎の魅力だけで名作になったようなものである。だからこそ、そのオーラを獲得すべく、私生活を犠牲にして破天荒な生き方に終始する。今は。そういった破天荒さを世間が容認しなくなった為、凄みのある俳優が出現し難くなったことを嘆いている。それを成田は一生懸命論理的に解釈しようとするから話がかみ合わなくなっている。 〇浜田宏一の達観  成田氏は学者としては異色ではあるが、彼の本領はすべての事象をデジタルに収めることであり、今時点ではそこまでの境地には達成していないように見える。逆に、アベノミクスのブレインを担った浜田宏一は、自身が世界的な経済学者であるにも関わらず、経済政策運営という点での自分は単なるブレインという小者に過ぎないことを認め、学問をという素地に程遠い安安倍総理という存在を尊敬していた。  一流学者が作る政策を世に広めるには俳優のようなオーラのある人の力が必要ということであり、そのオーラという正体に学問的な境地も含め話し合えればよかったかと思ってしまった。  投資家から見れば、これはファンダメンタル分析の限界を表しており、アナログ要素の重要性を示唆しているように見える。 2.古館伊知郎との対談  こちらは非常に中見のある対談であった。まずは、メディアにおいて、ネットチンピラの台頭によりテレビの影響力が低下しているという事実。ネットメディアにはテレビに登場できないような、ヤンチャすぎる奴から前科者、そしてホリエモンやひろゆきのようヤンチャなインテリ軍団が、政治や社会批判や世の中の闇などにズケズケと迫りこんでくる。暴露系Youtuberに至っては逮捕すら恐れずに動画を配信している。一方、テレビは様々な規制に縛られている。視聴者への刺激という点でどう見ても勝てるはずがない。  古館は、久米宏のニュースステーションはニュース報道...

日銀利上げに垣間見る潮目の変化

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  日本の金融政策は一つの転換期に入ったようだ。アベノミクスでの未曽有な金融政策が引き起こした格差拡大を訂正し、格差の少ない社会への移行を目標にしているように思える。  ここでキーになるのが、日銀の政策会合である。 7月31日に、植田日銀総裁は金利を0.25%に引き上げた。しかし、これは日銀の判断というよりは、その数日前から政府要人から金利引上げ容認発言が目立っていた。政府としての判断を日銀がくみ取ったというのが正しいのであろう。 〇7月31日の日銀決定事項については、まず金利引上げについて 「利上げといっても金利の水準、あるいは実質金利で見れば非常に低い水準での少しの調整ということなので、景気に大きなマイナスの影響を与えるということはない」 と判断し、さらに 「現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、今回示した経済物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」  と述べ、政策金利について中立金利を1%視野に入れている様子でもあった。   さらに、これに併せて、 26年3月までに 国債の購入額を6兆円から3兆円に減額することを表明した。金融政策を少しずつ正常に戻していくことを宣言したものと言える。   〇株式相場暴落の摩訶不思議。  米国相場の動きをみると、トランプが大統領選に勝利することを意識し、ビックテックに偏った経済構造に訂正が入ると予想し、それを織り込む動きとなっていた。ビックテック株の調整は想定の範囲内で進み、日経はそれにつられながら値を下げていた。しかし、日銀の金利引上げにより円高が加速してしまった為、投資プログラムによる弱気が弱気を生み、パニックを起こして大暴落となってしまったというのが現実解であろう。ある意味、今回の利上げタイミングが非常に悪かったと言える。しかし、日銀が利上げをしなくても、米国側は今年度中に間違いなく政策金利を引き下げてくる。それと合わせてトランプ大統領もドル安政策にうってくるだろう。そうなるとその時に日本株は大規模な調整局面に突入することになる。たとえ、ハリス大統領になるとしても政策金利引下げ分だけは円高に振れ、日経の下押し圧力なるのは間違いない。 〇1億総格差のない社会  最近しきりに感じること。岸田政権の政策は社会主義的な思想が強...

結婚を促進するには戦前の階級社会復活しかない

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  婚活市場も、ここ20年でデジタル化へと大きな変貌を遂げた。その結果、就職の学歴フィルタの如く、相手のスペックを見て足切りを行いながら見合いをするということが当たり前になってしまった。ドウモ  そして、自分のスペック偏差値を顧みず、自分のスペックの偏差値1 0程度高い相手を見合い相手として選んでいにも関わらず、男女とも自分はスペック偏差値50の「普通の人」を選んでいると思い込んでいる。まさに脳内ミスマッチの典型例だ。 (結婚相手に求めるミスマッチの常態化)  女性は、男性に一定以上の学歴と年収などの生活力を最低限の基準として求めながら、さらに一定程度の容姿スペックを求めてくる。  男性は、女性に対し若さと可愛らしさ、そして物事に対する従順な優しさを求めてくる。  単純にいうと、これらレベルはドラマに出てくる脇役俳優や女優レベルである。主役ほどイケメンや美女ではないが、一般社会では上位に位置する容姿である。それは美男美女が出演するドラマの中だからこその普通を勘違いしている。 そして、いつかはそんな人と巡り合えるのではと勘違いを続けながらいたずらに年を重ねているのである。 ( 自分自身ぼスペック偏差値を客観的に見れない)  そもそも、サラリーマンで標準以上の年収を得られる人は少ない。自分が標準以下の年収なら、男性の方も相手のスペック偏差値を下げるべきである。しかし、スペック偏差値を下げても実際は60程度までしか下げていない。このため、いつまでたっても相手側の女性から拒否され続けてしまう。それは女性も同じで、自分自身が思っているスペック偏差値と相手側から見たスペック偏差値に乖離があることを絶対に認めようとしない。  その一例として、この厳しいビジネス競争社会で女性側が希望する専業主婦が男性にとってどれだけ重荷になるかという事を理解していない。男性が人生をかけて相手を大事にして、守ってあげるという事は相当な覚悟が必要になる。ところが相手側の女性が、高度成長期の親世代を前例にそれを当たり前としか思っていない。 もし、それを望むなら、男性側はその見返りとして、女性に若さと美貌を求めてくるのはある意味当然であろう。 (エンターテイメントが浸透したことの弊害)  でも妥協できないのもわからないではない。テレビやネットを観れば、そこら中にイケメンや美女にあふれている。福山雅...

((MAG7研究)GAFAMが辿るであろう終着点

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初版 22.02.13 加筆 22.12.29 旧名 GAFAMの株価上昇終焉の兆し GAFAMは、売上規模、そして株式時価総額において世界有数のスーパーメジャー企業である。かつ、インターネット環境における独占的な地位を乱用することで他社が太刀打ちできない強力なビジネスモデルを強固なものにするだけでなく、周辺企業の利益を貪欲に吸い上げながら企業規模を恐竜化させている。その手法はかつての盟主IBMの強固なる独占状態を彷彿させるに留まらず、S&P500やNASDAQ指数などの米国主要指標ですらGAFAMの経営状況に依存するようになってしまった。 〇株式市場におけるGAFAMの巨大なる存在感 資料は古いが21年度末のGAFAMの株式時価総額は、Apple 2.9兆ドル Microsoft 2.5兆ドル Alphabet1.9兆ドル Amazon 1.7兆ドル Facebook 0.9兆ドル であるのに対し、20年度の世界GDPランキングは 米国 20.8兆ドル 中国 14.9兆ドル 日本 5.05兆ドル ドイツ 3.84兆ドル イギリス 2.71兆ドル  インド 2.66兆ドル フランス 2.62兆ドル イタリア1.88兆ドル カナダ1.64兆ドルである。両者を比較するとAppleは世界第5位、MicrosoftとAlphabetは世界第8位、Amazonは世界第9位と超巨大な存在であることが判る。 さらに、GAFAMのPERを検証してみると、 Apple 28倍 Microsoft 31倍 Alphabet 24倍 Amazon 31倍 47倍 Facebook 16倍 であり、これだけ巨大な時価総額であるにも関わらずPERが調整されていない。通常、時価総額が1兆ドルを超えた辺りから市場シェアが上限に達することで成長余力が枯渇してくる。それに併せてPERも次第に低下して株価上昇を抑制していくものだが、GAFAMはいとも簡単に2兆ドル、Appleに至っては3兆ドルにまで上昇した。これだけのガリバーであるにも関わらず市場はいまだに成長性を織り込んでいる。これは、彼らが如何にビジネス上の既得権を独占して、世界中からどん欲に利益を貪りつくした事を物語っている。とはいえ、彼らが投資家の期待に沿った決算を長年に渡って出し続けていたこと、アナリストが危惧する成長の壁を何度も突...

女性の社会進出が少子高齢化の源泉

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初版 2022.10.14 (旧タイトル;少子高齢化と財政破綻) 1.生涯未婚時代の到来 1980年代までは、日本だけでなく世界中で人口爆発が社会テーマとして危惧されていた。ところがバブル崩壊を境に 年を追って 、日本人は結婚をしなくなり、そして子供を産まなくなった。今となっては生涯にわたる独身者も珍しくなくなった。何とか結婚に辿り着けたとしても、今度は子供を持たない世帯が激増している。結果として、出生数は政府予想を大きく下回り、日本は少子化の一途を辿っている。        https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001093650.pdf 2.少子化対策の絶望感   こういった状況下において、政府も少子化対策を打っているが、効果らしい効果はほとんどない。とはいえ、お隣の韓国や中国、そしてシンガポール、香港、台湾などは日本以上に深刻な少子化に陥っている。さらに、東南アジアで発展著しいタイなども同じように少子化に陥っている。これは、この100年に起きた女性の高学歴化による社会進出による歪であり、ライフスタイルを一変させるような革命的な対策を打たなければ、この流れを止めることは困難であろう。 3.女性の高学歴化と社会進出が生み出す歪 少子化の原因は女性の社会進出に対しての旧来以前の社会構造のギャップにある。それら理由を羅列すると ・女性の高学歴化による社会進出が顕著になったことで、彼女らの自己実現が出産適齢期と重なっている。このため、出産時期を逸してしまう。 ・女性の結婚に対する認識も大きく変化し 、女性が結婚する事が社会的な義務でなくなった。このため、結婚は人生における選択肢として、夫となる男性を選ぶようになった。 ・結婚して子供を持ちたいと思っても、 今の社会構造では子育てにおいて20~40代の女性に多大なる負担を強いている一方、会社側の勤務形態や政府の支援などの社会的ケアがあまりにも脆弱すぎる。このため、子供を育てるには相当な覚悟を必要され、それが結果として子供を産まないという選択を取ってしまう。  実際、共働きで子供を育てるには、約20年近くに渡って戦闘と変わらない人生を背負うことになる。例えば、0~5才位までは子供の病気との闘いなど24時間臨戦態勢で睡眠すら満足に取れないこともザラである。また、仕事と家事の両立で自分自...

トランプ政権誕生による世界経済への影響(7月時点)

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 大統領選のテレビ討論会によって、バイデン政権が劣勢に立たされ、7月15日襲撃未遂事件でトランプ再選への勢いが増してしまった。そうなるとトランプ政権の現実味が帯びてきた。  不思議なことに、今回の選挙では米国マスコミがトランプを酷評していない。そして、米国経済界の著名人がトランプ支持を明言し始めた。こういった事はトランプの第一次政権の時には見られなかった。これは、バイデン政権でダウが最高値を更新しているものの、米国民の殆どはその恩恵を被っていないことが示唆される。その現状に対し、バイデンを厳しくたたくことをしないが、多くのマスメディアや企業経営者も同様の意見と推測される。賛否両論かもしれないが、前回トランプ大統領就任時の経済政策に対して、米国民からは一定の評価があるものと推測される。 しかし、この襲撃事件後、トランプは様々な政策を発表したが、その内容に疑念を抱くマスコミは、結局のところ、次の民主党候補者であるハリスを全面的に押し始めた。 米国の知識層とトランプは水と油の関係で、両者が融合する事はほぼ不可能なようだ。 〇米国経済への影響 トランプ大統領は、米国第一主義を掲げる。そのため、基本的には米国民に対し利益の生まないことは行わない。そして、彼は政治家ではなくビジネスマンである。米国経済や株式市場が下降気味になることはない。ただ、その中身はバイデン政権とは異なり、米国の保守層に恩恵を与える政策に終始するので、米国の内需銘柄が恩恵を被る可能性が高い。その一方、GAFAM内でも前回の選挙時にトランプに厳しい対応をしてしまったメタ(フェイスブック)などには顔色の悪い施策を打ち出してくる可能性がある。それがTIKTOKの存続であり、まさしくフェイスブックに利を与えない姿勢をとっている。  金利政策については、トランプはトランプなりの手法で金利を操作するであろう。金利を引き下げてもインフレ率を高めないように政策を打ってくるのは間違いない。その一つとして、世界各国への援助を減らして国内経済に投入する。それだけでも相当な額になる。 日本政府に 対しても、駐在米軍の軍事費に多額の負担を求めてくるであろう。それ以外にも、ビジネスマンとしてのトランプ独自の奇策を売ってくる可能性は十分に高い。 〇日本経済への影響  日本においては、円安の終焉。これは間違いなく起きる。しかし、ど...

「五公五民」時代における賢い人生の歩み方

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( 「五公五民」の重税時代突入 ) 30年以上に渡って、サラリーマンは 収入が増えても、その分だけ税金も増えるため手取りがなかなか増えなくなった。それでもよる デフレ経済下で、大半の商品を安く購入できたので手取りが増えない苦しみを軽減することができた。 しかし、2021年頃から事業者側が躊躇なく商品の値上げするようになり、我々庶民は重税とインフレのダブルパンチを食わされている。そんな庶民の苦しみを知らずか、政府は執拗にステルス増税を仕掛けてくる。まさに江戸時代の農民への 「五公五民」 と変わらぬ、サラリーマンの困窮時代が到来してしまった。 (国民負担率の世界的な位置づけ) 日本国民の税負担は今や五公五民となってしまったが、世界を見渡すと西欧諸国においては五公五民どころではない負担率がザラであり、日本が突出して高い国とは言い切れない。これら西欧諸国は成熟化した先進国であり、社会性民主主義の福祉国家である一面が強い。一方、米国などビジネスを優遇する国は消費を喚起する目的から国民負担率はそれ程高くない。 つまるところ、ビジネス環境の柔軟な国は総じて低く、成熟して国全体が一種の共同体みたない国は総じて税負担が高い。日本の今後の立ち位置を考えるとき、西欧諸国型、自由競争の米国型のどちらにも属しておらず、まさに「二兎を得るもの一兎を得ず」のようなグラグラ感がそこにある。 (重税からの束縛に逃れられない) 日本は深刻な少子高齢化の真っ最中であり、世界一の債権国といえども膨大な国債発行や政府債務を放置できず、 日本は、いまや五公五民、いや六公四民を強いられる時代に突入してさえも、 政府はこれ以降もステルス増税を続けていくのが目に見えている。この状況は、 江戸時代の小作農民と何も変わらなくなった。日本で生活する限りにおいては、お金に余裕を持てる生活など絶望的で、金欠の束縛から逃げ切ることはできなくなった。 (五公五民時代を意識した資産運用) 我々はそういった現状に嘆くのではなく、できるだけ早い時期に一定以上の資産を貯めることに注力すべきである。資産運用という表現は非常にあいまいであるが、できるだけ相場と向き合って試行錯誤しながら財産を増やすノウハウやテクニックを身に着けるべきである。 そういった試行錯誤を続けていれば、次第に資産は増えていくものだ。それでも、政府はそういう人たちを仮想...

国民健康保険料に垣間見る日本経済の歪

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  日本は、世界に誇る「国民皆保険」制度の国であり、外国とは違って、少ない保険料負担で安心した医療を受けられる素晴らしい国である。しかし、国民健康保険という点では状況はちょっと異なる。  通常会社員なら、会社が属する健康保険組合に加入しても、その保険料は会社との折半のため、大体給料の5%程度が差し引かれることになる。国民健康保険料の場合、なんと会社との折半がないので年収の10%程度を国民健康保険料として支払わくてはいけない。  これは、年収100万円なら10万円 300万円なら30万円ということになる。 実際には、減額制度のあるようなので規定通りに支払うとは限らないが。どう見ても加入者にとって大きな負担であることには変わりない。  一般的に、国民健康保険は、高齢者や無職やアルバイト、そして個人事業主がその対象となる。これら与信の低い層を対象にしているとなると納付延滞率が気になってしまう。  とはいえ、国は納付者の与信など気にかけていない。被保険者が納付を怠ると市役所からの督促がかかり、それを無視し続けると財産差し押えにまで発展する。すごい、消費者金融と変わらないではないか。消費者金融は用途のあるお金の借金。国民健康保険は。医者にかからなくても必ず払わなくてはいけない。  それでも、加入者からの納付だけでは国民健康保険の運営を維持することができず、結局のところ、国からの多額の補助金でどうにか体裁を保っているのが現状だ。 今後は、少子高齢化が進むことで退職した高齢者(74才まで)を中心に国民健康保険に加入者は増加することが予想される。また、その多くは持病を持ちであり、常時通院をしている人も少なくないので、放置すれば国民健康保険の財政を圧迫する。国は高齢者に雇用を推進して企業側の健康保険に入ってもらいたいというのは本音であろう。    こういった事情を考慮すれば、多額の金融資産を保有して、数百万の配当金収入を得ているセミリタイア層が増税のターゲットになるのは必然である。これらセミリタイア層は。多額の金融資産があるにも関わらず、国民健康保険料ては、最低ランクの4~5万円程度しか支払っていない。仮に200万円程度の配当収入がある場合、勤労所得者との間で、国民保険料だけでも15~6万円分だけ支払額が軽くなってしまう計算だ。さらに、これに国民年金、所得税、住民税等を考慮し...

NIKEも成長の限界か

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  NIKEは、世界最大のアスレチックシューズ、アパレルのサプライヤーであり、スポーツ用品の大手メーカーである。そしてDOW30の構成銘柄である。DOW30銘柄は、その業界の巨人ではあるが、安定感のある成熟した企業も多く。株価が大きく跳ね上がることはない。現時点においてダウ指数を押し上げているのは、マイクロソフト、アップル、アマゾンなどのいわゆるGAFA関連銘柄群である  一方、NIKEは企業年数という点ではGAFAMに近いが、ここ数年は成熟株と同じような動きをしている。NIKEのビジネスは、スポーツ市場におけるブランド力という強みである。今後、世界的な健康志向への高まり考慮するとNIKEのビジネスも大きな成長を見込めそうだが、現実にはそうなっていない。    実は、私は数年前からNIKEを投資対象銘柄としてウオッチしていたが、実際に購入するまでに至らなかった経緯がある。特に21年の暴騰局面の時は投資しなかったことに後悔をしたほどだ。とはいえ、2年後には株価は半値近くにまで落ち込んでいる。  株価は熱狂しているときに購入するとリターンが少ないと言われる。しかし、こういった壁を幾度もぶち破ってきたのがGAFAMを筆頭する大手IT銘柄である。  今時点ではNIKEに投資しなかったことが正しかったといえるが、こういった所に株式投資の難しさが内在している。  投資の難しさについては、話は余談になるが、コロナ禍の時、熟練した投資家は、世界大恐慌やITバブル崩壊、リーマンショックなどの経験則から二番底を意識していた。しかし、相場は右肩上がりの上昇を続けて二番底は来なかった。逆に、投資経験の浅い投資家ほど、相場の流れを素直に受け入れてビックテック株やインデックス株に投資して、大きなリターンを得た。コロナ禍の相場では今までの経験則が通用しなかったのだ。   私は、テクニカルな産業動向分析はしない。NIKEの経営陣がどのようにしてこれから長期にわたって自社の売上を成長させていくかを見極めたい。それは、技術的な分析ではなく、会社の長年にわたる決算報告の癖から判断する。そういった点では5年~10年の株価チャートをみる限り、NIKE側の企業成長戦略や組織体に対する限界が示唆されているようだ。  またここ数年でPERレンジの訂正もされている。その結果NIKEのPERは20倍近辺にまで...

バッフェットでも「 弘法も筆の誤り」をする?(雑感)

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  先日のニュースで 「バフェット氏はパラマウント・グローバル株をすべて売却し大損をしたことを告白。「2022年にパラマウントに投資したのは100%、私の決定だった」と述べ、投資の失敗を認めた。」 というのがあった。 このニュースで、私は投資の神様であるバフェット氏投資のミスを犯すことを痛感させられた。 そもそも、バフェット氏は、投資対象のビジネスモデルを重視しており、企業経営者は何代か続いているうちに能力の劣った者が就任してしまうものだ。だからこそ、馬鹿が経営しても安定的な収益が見込めるビジネスモデルを持った企業に投資しろと述べている。  バフェット氏は素晴らしいビジネスモデルで持っている企業が経営者の能力不足で実力以下の経営成績や株主還元をしている企業を探す。私はよくわからないが、「パラマウント・グローバル」は同業他社が到底追いつくことない強みがあったのだと思う。   そしてバッフェトは、そういったターゲットに対し、大量の株式を購入して大株主になり、その企業に対し経営圧力をかけていく。一般の投資家は単に投資するだけで事業者への経営改善はできない。事業者のなすがままである。それに対し、バッフェトが大株主なら事業者は是が非でも結果を出さなければならない。その成功例がアップルであり、日本の総合商社である。しかし、ビジネスモデルが想定より強固でないことが判明し失敗するケースもある。その代表がクラフトハインツである。今回のパラマウントも同様の誤算であろう。 誰もがバフェットの投資する銘柄にはハズレはないと信じ切っている。それは大いなる幻想であることにもなる。  バッフェトは投資の神でもなんでもない。彼らは経営者であり、彼らの経営能力の賜物で投資神話を築いているにすぎない。結局は、バフェットが投資している銘柄に対し、投資家はその利点を享受出来るだけである。      

中国とインドの隆盛が引き起こす東西覇権の交代(世界の潮流)

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  (テスラ報道にみる中国政府の底力)  米電気自動車(EV)大手テスラが5月25日、中国版ツイッター 「微博(Weibo、ウェイボー)」の公式アカウントで、以下のようなメッセージを発信した。 「データの現地保管を実現するため、我々は中国にデータセンターを設置しており、今後、中国国内のデータセンターを増やしていく計画だ。テスラが中国本土で販売した車両のデータは、全て中国国内で保管される」 これを単純の受け取ればテスラの中国戦略の成功であり、短期的にみれば、テスラ社の売上げ増につながる。この報道を受けてテスラ株は上昇した。テスラ投資家にとっては好ましい話であるように思える。しかし。それを見計らって、中国政府はテスラのデータに基づいた テスラの自動運転の改良などの ノウハウを国内企業に横流して、中国製メーカーの実力の底上げを図っていくだろう。イーロンマスクが、どこまで危惧しているかはわからないが、その場しのぎでの対応なら、テスラは数年後に中国メーカによって大きなダメージを受けるのは間違いない。 (時価総額の膨張が招く歪み)  テスラの行動は米国の株式相場の致命的な欠陥の派生にすぎない。時価総額が恐竜化したことに対する歪みともいえよう。これは視点を変えればGAFAM、そしてはNVIDIAなどにも当てはまる。時価総額が巨大になりすぎて、それを維持するために中国市場を無視出来なくなり、それを熟知している中国政府の意のままに操られて、程度差はあるが中国への技術移転を容認せざる得ない状況に追い込まていく。その結果、中国企業の技術力は向上し、米中の対立にまで発展していく。 (米中対立の限界)  米中対立に対して私たちは米国目線でしか情報を得る事ができない。それは視点を変えれば欧米側のプロパガンダである。しかし、西側が課する中国制裁のほとんどが中国から見れば穴だらけの制裁である。実際、中国メーカーが先進国の技術をもったとしても先進国に中国製品が席巻することは難しいが、発展途上国に目を向けると、安くて程々の品質を有した中国製品が重宝されている。発展途上国の地位は年々上昇傾向であり、中国製品のシェアは数量ベースではトップをひた走れる。  西欧社会は中国というパンドラの箱を開けてしまった。この点については、西欧の指導者はあきらかに中国をほかの発展途上国と同一の視点でしか見てこなかっ...

投資対象としてのREIT (投資手法の研究)

  (REITと不動産投資の相違)  人口減少社会における不動産投資の考え方として、不動産投資というのは株式市場のような玉石混合の混じった市場でもあるにも関わらず、物件情報に透明性がないので、プロ的な要素を持った投資家が優位になりやすい。  同じ不動産投資でもREITは、比較的株式のように情報に対する透明性が高いだけでなく、投資信託としての社会的責任を負わされているので、投資家を欺いて多額な損を与えるような商品設計を行えば、そのこと自体が社会問題となり、金融庁は認可基準が厳しくするなどの法的整備を余儀なくさせられてしまう。  実際、REITが倒産して多額な損を被るような暴落はリーマンショックなコロナショックなどの特殊経済環境を除いて起きていない。 (メリットとデメリット)  そういった視点でREIT分析を試みると。 メリット1:大都市圏の優良物件が多い その理由として、 ①大都市圏の不動産は概して需要が高いため空室率が低い。②そして、需要の高さから流動性も高い。さらに③人口減社会といえども大都市圏内には世界各国の資金が流入することで地価上昇が見込めやすい。強いては、それが不動産価格上昇や賃料価格上昇を呼び込みやすい。 メリット2:投資商品としての代替 REIT物件のほとんどは、ビルの立地や建物の属性から選定しており、その観点から特に東京都心5区に集中しやすく、実際賃貸オフィスビルのうち約10%の床を所有していると言われている。また、新耐震基準・中小規模ビルの所有割合が相対的に高く。物件そのものが投資資産として活用できる。  このため、物件の価値が上昇した場合、①一部の物件売却により利益を確定することができる。また、②市場環境変化によるポートフォリオの再構築などの投資戦略の見直し、③有利子負債の圧縮なども比較的容易に行える環境を整えている。 デメリット:金利上昇に弱い   REITは、投資家から集めた資金だけでなく、レバレッジをかけるために銀行からの借入れなどを行っている。したがって、金利が上昇すると、その借入金の利息負担が増加するだけでなく、借入金の早期返却を求められたりすることも想定されるなどのREIT収益を減らす要因がある。 また、金利が上昇することで、REITと他の金融商品との間の利回りの差(スプレッド)が縮小し、投資家がより安定的な国債など...

日本株投資銘柄の選定基準

1.長期的な視点での日本株投資のトレンド 株式市場は日々のニュースで上下するが、長期的な視点で眺めるとそこには数十年にわたるトレンドが存在している。東証を例に挙げると、戦後(1949年)の再開から40年間に300倍近い上昇トレンドを築いた。その後は、25年間にわたる下降トレンドを経験し、2013年のアベノミクスから再び上昇トレンドに転換し現在に至っている。1989年のバブル高値は戦後の高度成長期の終焉を示唆するものであり、2013年からの上昇トレンドは、異次元金融緩和によるか余剰マネーが作りあげた上昇相場である。日々のニュースで伺い知ることが出来ないが、歴史からみるにトレンドは行くところまで行って終焉を迎える。これの暗示することは、異次元金融緩和による副作用がどうしようもない状態まで表面化したときにこそ、今の上昇トレンドが終了するということが妥当な考えなのかもしれない。そういった点では、マクロという点では、日本株の投資には妙味があろう。 2.日本的経営の特徴 日本株の投資において、事業内容が良いとかエリート企業であるかという理由で銘柄選びをするのは好ましいとはいえない。そもそも、日本企業の経営者は日本国としての社会性民主主義の責任を強いられる。このため、歴史のある企業であればあるほど、従業員の雇用や地域経済の安定性を大事にする事を求められ、株主還元を後回しさせられやすい。また、大抵の経営者は経営能力というよりバランスのある人が求められ、米国のように経営のプロに徹し非常になることはできない。むしろ労働者代表の立場を留まることになる。このため、会社として成長戦略を打ち出しても、そもそも経営人が経営の素人によって運営されていることから、それなりの結果しか望めない。このため、銘柄選びには相当に留意しないと10年、20年持ち続けても日経平均の上昇とは裏腹に株価が一向に上向かないというケースに見舞われてしまう。 3.日本株投資の選定基準 ①海外売上比率:日本の人口推移を踏まえれば、内需型の産業に長期的な右肩上がりは見込めない。そうなると、海外の売上比率が高い企業を選ぶ。 ②圧倒的な製品力:「他社が真似できない特殊な技術や商品で高い参入障壁を築き、中間財など比較的目立たない分野に特化している。  ③「オーナー企業」又は独裁的な経営:創業家は小さな町工場や商店から様々な試練を乗り越...

投資環境でも世界が一つに集約

  日本経済における報道で例えば 「一部の自動車メーカーが工場を停止した影響で個人消費が振るわず、成長率は物価の変動を除いた実質でマイナスになると予想される」などおなじみのように経済状況が振るわない報道がされている。財務省が提供する国際収支報告においても経常収支は黒字を維持しているが、貿易は状態的に赤字が続いている。貿易立国の日本という立ち位置は消え去っていて,日本の国力低下を危惧する一方で、企業決 算においてはこのところ過去最高益の更新を繰り返している。  このことは、国内の景況感で企業業績を論じることが出来なくなっていることの表れである。  世間のニュースと企業業績は全く異なるベクトルで動いている。そうでなければ、トヨタの決算で売上45兆円、営業利益5兆円などというような結果を出すことは到底できない。このようにグローバル企業は、まさに国内景気ではなく、西欧、米国、中国、東南アジアなど世界市場と向き合って、それぞれにバランシングをかけながら売上調整を行っているに過ぎない。実際、トヨタの売上の 75% は海外売上である。  投資を考える上では人口減少が深刻な日本で活躍している企業に焦点を向けるのではなく、世界で優位なビジネスを展開し、海外売上の比率が高い企業に目を向けた方が長期的には確実な成果をもたらす可能性が高い。その最たる企業がコカ・コーラやP&G、そしてマクドナルド、そして GAFAM などの米国最強軍団企業群であろう。  リーマンショックやコロナ禍などの超金融緩和の副作用で、世界中でインフレが深刻化している。  こういった状況を恩恵として逆手にとっているのが、まさに優良で経営力の高いグローバル企業に他ならない。  今や投資家にとっては、一国の経済ニュースに頼るのではなく、世界は一つという視点で分析していくことが必要なのかもしれない。

人口減少という引き潮が及ぼす経済への影響

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日本経済の不振を語るうえで必ず出てくるのが「失われた20年」であり、今もってバブル崩壊の後遺症ばかりクローズアップされている。 しかし、実際は2010年頃からバブル後遺症ではなく、少子高齢化という経済への下押し圧力が日本経済を不安定にさせている。 2013年からスタートした超金融緩和はデフレ解消を目的とした劇薬のはずだったが、年を追って強まる経済の下押し圧力に相殺されてしまっている。  超金融緩和政策で日経平均がバブル超えをした時でさえ、少子高齢化による下押し圧力に日本経済が勝ってはいない。金融緩和の効果は、余剰マネーの享受に対する「強いものはより強く弱いものはより弱く」の状態をつくっただけに過ぎない。 大都市圏の一部の不動産価格が市場最高値を記録する一方、リゾート地の廃墟化、弱小地方都市のゴースト化、さらには都心の片隅の空きテナント化の進行。まるで潮が引くように年を追ってそのエリアが拡大している。  株価も一部の銘柄だけは天空を這うように上昇している一方、これら恩恵を享受していない大多数の銘柄が横たわっている。 国立社会保障・人口問題研究所が推計した人口統計(2040年)によると、ざっくり言えば首都圏(次点で3大都市圏)以外は深刻な人口減少を起こすらしい。北海道は札幌以外が全滅、東北は仙台以外が全滅、南九州、北陸、四国はほぼ全滅となる見込み。 さらに地域間での学力の差も深刻になる。都心は東大を筆頭に日本を代表する大学を目指した受験戦争がこれ以降も続く。地方においては偏差値を維持できるような学生数を保持できず、受験競争する土壌さえ備わっていない。それに乗じて大学側では海外に真似るべく人材の多様性という名目による推薦入試の乱発で定員をごまかそうとしている。まさに未来に向けた国力の低下政策としか言いようがない。こうなったら地方再興など全くと言って不可能である。そもそもパワーと能力にある人材が不足しているのである。  まさに二極化社会、格差社会への突入となるが、日本政府はそんな状況を容認することはなく、地方への配分を促すために年収や資産のレベルに応じて理不尽なくらいの増税政策を打ち出してくるのは間違いない。 これらを解決する手段として必ず出てくるのが移民政策の推進である。移民問題は経済成長の観点から今後の日本においては避けて通れない課題になるのは間違いない。とはいえ、西欧...

株主優待にみる投資家行動のパラドックス

  株主優待投資という投資カテゴリがある。株主優待に積極的な企業に投資して日常生活の出費の足しにする。投資家には人気の分野で、書店には数多くの本が並び、ネットでは無数のブログが投稿されている。しかし、私は株主優待投資という投資手法に少し疑問を感じてしまう。  そもそも投資視点で見れば、株主優待をする銘柄のほとんどは内需系であり、サービス企業が多い。これから日本が深刻な人口減少社会に向かっていくことを考慮すれば株価上昇は期待できるものではない。割高な時に購入すると 10 年分の配当と株主優待分が吹っ飛びかねない。    さらに優待品といっても提供される商品がせいぜい 2000 円~ 3000 円に満たない。クオカードなどの金券の場合、 500 円~ 1000 円程度である。これを利回り換算すると 0.5% ~ 2.0% に過ぎないのが殆どである。  商品系の優待に至っては、自社製品 2000 円~ 3000 円分を詰め合わせでプレゼントするのが典型的なパターンであるが、定価ベースなので商品数は少なく、同じものを近くのスーパーで購入したら、その7掛け程度で購入できてしまうためお得感に乏しい。もし優待品が、定価ベースで 5000 円~ 10000 円分の提供ならお得感がいっぱいになるのだが。  それだけしかない株主優待に対し、本やブログでは面白おかしく記事を載せている。ただ、松屋、吉野家、マクドナルドなどの飲食系優待は年に 10 ~ 20 食分の食事優待券を提供してくれるので、数社分購入すれば食べきれない位のボリュームの優待券が手元に届くことになる。それでも冷静に利回り換算すると1 % ~ 2% 程度に過ぎない。    株主優待投資というのは、結局のところキャピタルゲイン狙いではなく、株主優待のプレゼントを目的に盲目的に購入している過ぎない。    とはいっても、私自身も株主優待ではないが、株式総会後の懇親会を楽しみにセガサミー株を保有していたことがある。株主総会に出席すると、電動歯ブラシなど 1000 円程度のお土産がもらえ、その後役員との懇親会名目でホテル立食パーティー(約 3000 円~ 5000 円程度)が開かれていた。金額にすると大したことはないのだが、無料でホテルのおいしい料理をバイキング形式で食べ...

インテルに凋落の兆し

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インテルについては、過去に分析記事をアップしました。今季はその記事を再掲します。この記事の趣旨は、インテルの低迷は構造的な問題に起因しており、小手先の対応ではかつてのような栄光を取り戻すのは困難であるということです。  私は、GEの分析でもラリーカルプが発表する前にGEが復活するには分割が必須であると述べました。インテルも同様で、本当の意味での復活するには分割するしかないというのが私の持論です。  実際、GE株を10ドル程度の時に購入した人は、その後2~3倍の儲けを得ることができている。GE自体はあくを出し切っているのでこれ以降の飛躍もある程度は期待できる状況下にある。インテルも購入タイミングを間違えなければ同じような儲けることは可能と私は踏んでいる、当然であるが、未来は誰にもわからなく保証できるものはないが。 1.半導体産業の王座転落  インテルは半導体産業の盟主です。半導体シェアの推移は、1982年8位、1993年1位、 1999年1位、そして2021年1位とそうそうたる実績です。それにも関わらずインテルは斜陽と言われて久しいのです。それは、スマホ台頭における市場シェア獲得の失敗、GPU市場におけるエヌピディアなどの台頭。データセンターに代表される大手IT企業のCPU内製化の動きなど成長分野で強みを発揮できていないことが理由として挙げられます。さらに、追い打ちをかけるように半導体産業は設計と製造の分離が進んでおり、総合半導体メーカーであるインテルは設計及び製造技術において専門メーカーの後塵を拝しています。市場は、そんなインテルを冷ややかな目でみているようです。 2.製造における技術低下  インテルの決算を見るとサムスンと絶望的ともいえる開きが生じており、令和4年の第2四半期の決算報告を例にとるとサムスンの増収の幅がインテルと比べ圧倒的に大きいだけでなく、インテルは大幅な減益でサムスンは大幅な増益です。両社の発表は、インテルは需要が一巡したための低迷、サムスンはハイテク大手のクラウド需要が好調と真逆となっています。これは、インテルの製品が市場から受け入れられていないことを示唆し、半導体製品という点では、インテルはサムソンとTSMCに追い付くことが出来ない程の技術的な差が生じてしまった事を表しています。それだけではありません。後ろには中国企業が猛追しています。インテ...

AI半導体の盟主(エヌペディア)の今後を占う

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 私自身の率直な感想として、NVIDIAがここまで爆上げするとは思っていなかった。この会社、言ってしまえばGPUの世界一の企業であるが半導体の設計会社に過ぎない。この会社の得意とする半導体がAIブームに乗っただけに過ぎない。 とはいえ、ビジネス競争が最も激しい半導体分野では、たとえNVIDIAが無双状態であったとしても、遅くとも3~5年もすればNVIDIAより低スペックであるが代替する製品がアジアなどの他国から現れてくるのは間違いなく、AI産業のすそ野としての半導体は二流製品の廉価品が市場に多く出回るようになる。そうなるとNVIDIAは、ひたすら高スペックGPUを提供し続けることで競合他社を大きく引き離すことを続けなければいけない。しかし、これは時間の経過によりスペック差の効果は小さくなっていく。  そういった視点から、NVIDIAの株価は、いや時価総額は間違いなく実力以上の値を付けている。   とはいえバブルという相場の性質を勘案すると、NVIDIAの株価はシスコシステムズのように天空を築くかのように上昇しまくる。シスコシステムズはITバブルの時の中心銘柄であったため、一時期世界一の時価総額を記録した。ITバブル以降は、主役がソフトウエアに移ったことでネットワーク機器メーカ扱いとなり、株価はIT製造メーカの範囲で推移するようになり、2024年現在にいたっても往年の株価に戻っていない。NVIDIAもAIブームをけん引する筆頭銘柄であることを考慮すれば、GAFAMを凌駕する時価総額を近づくという見方も否定できなくもない。  つまり、AIブームは、これから長期にわたって市場を賑わすテーマになるので、いつ・どこまでの期間まで上昇するのかは、誰にもわからないが、NVIDIAはその初期段階でのスター銘柄であることには違いない。つまり、ITバブル時のシスコシステム的な位置づけとすり替えることもできる。そういう点では、第一期AIブームの頂点を極める銘柄として天空を舞うような株価を記録するのも想定の範囲内である。  ただ、その後はシスコシステムズと同様、第二期AIブームの主役は革新的なソフトウエアやロボットのような関連機器に変遷していき、株価は数分の一まで転げ落ちることもあり得る。 当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べたものにすぎません。このため、当ウェブサ...

歪を抱えながら経済力を膨張させるドイツ

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 ドイツの国力は今や日本を猛追し、ついにはGDPを追い抜いて、今度は、世界一の債権国の立場すらはく奪されるという矛盾が横たわっている。暗いニュースとは裏腹に世界の中での経済大国としての地位は盤石なものにしている。 ドイツ経済について辛辣に述べているエコノミストや識者が多い。しかし、私から言わせてもらえば、他の国を心配するより日本の事を心配しろと言いたい。 一方、デフレを解消する政策として超金融緩和を長年にわたって続けてきた日本は、国内経済の均衡をなんとか保っているが、円安政策も相まって国際的な地位の低下が著しい。今となっては東南アジアですら日本とほぼ同じ物価水準である。90年代の日本がいにしえにすら感じてしまう。 このように日本とドイツは全くと言っていいほどの真逆の動きをしている。 ユーロは、欧州連合(EU)加盟27カ国のうち、19カ国の通貨同盟である。ユーロ通貨はドイツの経済力に比べてはるかに言っていいほど割安。ドイツはユーロ圏の盟主であり、一番の経済大国であり、世界トップ級の貿易黒字国である。とはいえ、ある国が膨大な貿易黒字を計上しても必ずしも好景気に沸くとはいえない。逆に不況であったりもする。それは、貿易の輸出と企業利益に相関関係はないからである。90年代の日本がまさにそのような状態であった。  この事から言える事。国内で景気如何に関わらず海外では大国を維持し続けているドイツとそのようなプライドをかなぐり捨てた日本。 どちらが良いのか一概に言えないが、その違いをもう少し冷静に分析する識者がいても良いのではないかと私自身、ふと思ってしまう。

金融市場活況は投資家を暇にさせる (後編)

 金融動向に疎くなった理由は、私のように若くない人間にとっては、投資は元本保証を保つことが鉄則であり、少しづつでもよいから確実な利益を獲得していくことにある。 例をあげれば、金融資産5000万の人が、ネットで必ず上がると話題になっている銘柄を購入して、資産額4000万とか3000万まで下がった場合、そのリカバリーは年齢が高くになるにつれて難しくなるということだ。20代なら必死に働くことでなんとかなるが、年を取れば取るほど労働収入でのリカバリが難しいという現実に行き当たる。この最たる例が、定年退職金2000万を投資して、その後の資産額が3000万になればよいが、逆に1000万になったら老後人生に大きなダメージを食らうことになる。 一般に資産配分は、「株式の割合=100-年齢」「債券の割合=年齢」と言われる。年齢に応じて変動リスクのある投資を控えていくというものだ。株主投資についても、ある一定の年齢を過ぎたらテンバガーを狙うのではなく、経済状況に関わらず増配を繰り返し、ゆっくりであったとしても10年から20年の長期手的な視点で見れば、右肩上がりを期待できる銘柄だけに投資するのが適切と考える。  そういった視点では、日本株については中期視点では期待を持てるが長期視点ではどうなるかわからない、ダウは長期的には右肩上がりを続けるとも思っているが円安を解消してからでないと動きにくい。  当分は米国株の増配発表が株主にとっての大きな楽しみに成り果ててしまっている。

金融市場活況は投資家を暇にさせる(前編)

   日経平均が4万円を超えて、ダウも4万円ドル伺い始めている。そして為替レートは 150 円近辺を彷徨っている。  これでは、日本株も米国株も投資できる環境ではなくなった。ちょっとやそっとの暴落でも買値水準に達することができないからである。 ちなみに、私が保有している米国株は、は昨年購入したベライゾンを除き、その為替レートは 100 ~ 110 円のレンジに集中している。  このため、株価動向に関わらず利益を享受している格好である。    最近の金融関係で特筆すべき動きは、日銀が 3 月 20 日に発表したマイナス金利の解除で、これによって、好利回りの商品だと、 0.3% 程度の金利を受益できるようになった。  私にとっても、退避している現金の預け先が増えてきたのはうれしい。    一方、金融市場については、株価が上昇しすぎて投資先の選定すらままならなくなった。ましてや、経済関連ニュースすら読みたいと思う記事が少なくなった。  ふと、この暇はどれだけ続くのかと思ってしまうこの頃です。暇ではあるものの、この先は、 GAFAM の決算動向とトランプが今後発言してくる経済政策についてはウオッチしていきたいと思っている。  

アップル社の今後を考察する。

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  (膨大なる株主への恩恵) アップルは言わずとしたGAFAMの一員であるビックテック企業であり、かつ世界を代表する優良企業の一つである。株式の時価総額に至っては3兆ドルを超える途方もない規模に膨れ上がった結果、2015年頃に投資家がこの株を保有していたらテンバガー程度の利益を享受したことになる。それだけではない、リーマンショック前に保有していたなら、この株だけで日本円で億に近づくくらいの富を得ることができた計算になり、アップルが投資家に莫大な恩恵をもたらしたことがわかる。   (ティム・クックという稀代の経営者) アップルの社長ティム・クックは非常に優秀な経営者である。アップルは2013年頃にはアイフォンの成熟化懸念から一度沈みかけて普通の企業に戻ると思われたが、ティム・クックの采配で3兆ドル近くの時価総額を築くまでに復活させることに成功した。 スマホの普及率から考えるとアップルの成長余地は限られ続けている。このため、アップルの今後を占うには単純に言えば、ファンダメンタルで判断しても意味がいない。ティム・クックがいつまで現役CEOでいて、経営のマジックをやり続けられるかだ。アップルに問題が起こるとしたら、ティム・クックの次のCEOがどれだけ優秀であるかだ。 (バークシャー・ハザウェイの動向) さらに、この銘柄を考えるにあたってもう一つのポイントはバークシャー・ハザウェイの存在である。ウオーレン・バッフェットは、現在の株価がその銘柄の根源的価値より安い銘柄の投資することをモットーにしており、その投資姿勢は世界中の投資家の見本になっている。  しかし、バークシャー・ハザウェイは、この根源的価値をバークシャー・ハザウェイ側の経営者への圧力によって実現している面も否定できず、その代表例がアップルでもある。バークシャー・ハザウェイはアップルに事業を対する現状打破に向けた圧力、そして10兆円を超える自社株買いをさせるなどをアップルは余儀なくされている。  このため、バークシャー・ハザウェイ、特にウオーレン・バッフェットが現役でいる限りには、アップルはウオーレン・バッフェットの期待に応えるべく、様々な施策を打ち出してくるだろう。しかし、ウオーレン・バッフェットが現役を引退したとき、ティム・クックはウオーレン・バッフェットからの経営圧力から解放された後に懸念が生じる。 (...

不動産投資の損益勘定 

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不動産投資の損益勘定 (投資手法の研究)  不動産は資産運用の3本柱の一つである。かつては、保有しているだけで資産価値が上昇しひと財産を築けた人も多かったが、昨今の少子高齢化、かつビジネス取引の仮想空間への移行により不動産需要は減少の一途を辿っている。投資家は、不動産市況の表向きな動向如何に惑わされず、この事実に忠実に向き合うべきであろう。 1.アパート経営の有効性  アパートを購入して大家になって、月30万~50万の家賃収入を得る。地主感漂う非常に魅惑的な言葉である。しかし、優良な投資であるかは話が別。少子高齢化の日本ではアパート供給も過剰気味である。借り手は当然だが新築で手頃な家賃の物件に向かう。築年数に応じてアパートの家賃も安くしなければ入居者は集まらず、築30年なら激安にしないと誰も借りてくれない。そんなアパートは郊外にいけばそこら中に転がっている。  そういった状況下でアパート経営する場合、購入時の事業ローンを10年程度に抑え、約10年間の賃貸収入後にアパートを更地にして売却してもトントンになるような投資が理想的である。それが出来れば11年以降は家賃収入=利益となる。当然だが、そんな条件を満たす物件など存在しない。これを達成するには、激安で中古物件を購入し、自力リフォームで商品価値を上げるなどのスキルが必要となる。このようにセミプロ級の事業スキルがなければアパート経営などおぼつかない。 2.住宅用不動産の資産性  高度成長期は数百万で購入した不動産が地価の上昇で売り払う頃には数千万円に化けていたなんて話はいたる所で転がっていた。しかし、21世紀いや80年代バブル以降は、マンションを購入しても売却時の価格は半値程度ということも珍しくはない。これを人生の損得勘定でみると、4000万円の物件を35年ローンで購入した場合、ローン完済までの金利分を含め5000万~6000万円近い支払いをすることになる。維持管理を加えたら1000万円分が加算される。一方、ローンを払い終える頃の物件価値は、手入れが行き届いても1500~2000万円がやっと。約4000~5000万円が消えてしまうことになる。この差額は、生涯に渡って住み続けるための仮想的な家賃でしかなく、都心の一部の物件を除けば持ち家の資産性なんてそんな程度でしかない。 一般に 平均年収の人なら3000万円、エリート会社...