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隣の芝生に振り回されずに好きなことを極めよう 

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  初版 2023.3.11 (旧名:隣の芝生に振り回されない生き方こそ最良の生き方) 1.隣の芝生に惑わされない 人はなぜか、隣の芝生が青く見えるようである。どうもこれは人間の本能のようです、人は常にどこかで桃源郷があると信じて疑わない。だから他人に対して勝手というべき様々な妄想を抱いて喜怒哀楽を繰り返している。ドラマや週刊誌、映画,そしてインフルエンサーに出てくるような装飾され、誇張されたカッコ良い生活をしている人が常にどこかにいると信じて疑わず、そういった人たちへの憧れや羨望を抱こうとするように出来ている。        2.隣の芝生の幻想例  ①政治家  政治家は社会的な上位の階級に属する代表的な職業だ。こんなことをいうと語弊があるかもしれないが、今の政治家ははっきりいえば苦労の割には見返りが少ない。一昔前なら、貴族の位を得られ、豪邸に住み様々な利権から得る膨大な収入得ることができたが、今では億ションにすら住めない、逆に豪華な生活をしていると賄賂を疑われお縄!となってしまう。仕事面では、4方から様々な意見を集約し意見調整を図りながら一つの指針を作り上げるという相当な労力と精神的な負荷を伴っている。正直、政治家という職業が好きでないとやってられない。 ②旧来型のエリート 大企業社員、医者、官僚などエリート職業も年々旨みがなくなっている。一昔前まではエリートとして大企業に入れば、それなりに出世し、それなりの報酬も得て、さらには子会社で役員級の役職に就いて定年退社する。今はそんなことはない。世間的にはそれなりに高収入を維持しているが、高給の分だけ税金は多く引かれ、手取りだとちょっと散財すればすぐに消えてしまう程度で、子供関係の教育費、旅行、社内交際費(飲み代等)、費用効果のない住居用不動産購入etc。で給料を使い果たしていまう。都心のタワーマンションな到底おぼつかないほど、学歴エリートは資産を残せていない。 ③セレブと言われる成功者  セレブと言われる超高所得者(芸能人やスポーツ選手、ベンチャー企業の創業者、外資系金融や大手弁護士事務所の幹部等)が該当し、私たちは、雑誌やテレビで芸能人やスポーツ選手などのセレブな生活や豪邸報道に対し、私達は羨望のまなざしとなる。しかし、そこには成功者ならではの魑魅魍魎とした見栄の世界...

高度成長期の投資事情から現在に通じる投資法を学ぶ

  〇日本の青春時代。  高度成長期は日本が一番輝いていた時代である。戦後の焼け野原から世界一の技術大国になるまでの奇跡的な成長を成し遂げた時代であり、年を追うにつれて人々の生活水準は向上していった。株価も驚くほどの上昇をし、ほぼ一貫して上昇基調を貫いた。日本がここまで飛躍できた背景には、東西冷戦期に日本が西側の重要な同盟国としての太平洋側の拠点となったこと。米国の軍事的な庇護下で国力を経済成長に注ぎ込めたこと。さらに、主要な産業及び企業は政府の護送船団方式によって外資の参入を拒みながら開発力を付けていったことなどが要因になる。  このようにして、日本は世界有数の技術大国にまで伸し上がって、やがては米国を凌ぐまでに成長した。さすがに米国も危機感を感じて、日本を経済面でのライバルと見做し、日本政府が敷いた自国の企業に優位な法規制を次々と撤廃させ産業の自由化させていった。それがバブル以降の不景気と時期が重なりあって、自由化に対応できなかった主要企業の低迷や衰退につながっていくことになる。 〇誰がこの大暴騰の利益を享受したのか 高度成長期時代、日本株は149円から38915円まで上昇した。しかし、これだけの大暴騰にも関わらず、この恩恵を授かって大金持ちになったという話はあまり聞かない。もし、多くの人が莫大な利益を享受していたら、書店にはそれに関する多くの本が並んでいるでしょう。 逆に、その当時の本を見ていると、株式投資はうさん臭く、仕手筋などの安易な投資情報を鵜呑みにして損したという話が多い。実際、戦後の超名門企業である製鉄、旧財閥系企業、重工業になどに長期投資しても大した投資リターンを得られたわけでもない。ましてや繊維、商船などに投資したら日経の上昇と反比例するような惨憺たる結果になった。さらに、誰でも儲けられるだろうインデックス系ETFなどの商品はこの時代にはなかった。つまり、大暴騰の利益は一部の有能な投資家だけが享受していたことになる。 〇高度成長期に日経指数に大きく貢献した銘柄 その当時の新興成長銘柄はパナソニック、トヨタ自動車、ソニーなどであった。これら企業はその当時においては、近未来に向けた最先端のハイテク企業であった。 このように見ていくと、10年後に活躍が期待でき、長期的には収益、財務内容の良い成長銘柄だけが株式指数で重要な位置を占める構図は、今の...

10年後、世界における日本の国際競争力を検証(相場(国別)の予測分析)

  〇IT産業における発展途上国の追い上げ IT産業の発展により米国は米国一極集中の体制を構築することに成功した。そもそもIT産業は、従来型の既得権益を有した重厚長大産業から派生して発展したのではなく、ベンチャースピリット溢れるNASDAQ市場によって、その存在を大きくしたのである。 IT産業分野は、重厚長大と違い多額の資本を必要としないことから、こういった1国内だけの既得権益にはとどまらず、先進国と発展途上国間の産業発展構造までぶち壊したとも言えなくもない。つまり、IT産業においては、旧来型の先進国と発展途上国の区割りはなんの役にも立たず、同一の線上でビジネスを行われなければならなくなった。 このため、東アジア、及び東南アジアを中心にIT分野の発展が著ししシンガポール、韓国、台湾、中国国などは、IT分野においては、日本以上の先進国になってしまった。 〇日本の存在感低下の原因 2010年から世界における日本の存在感の顕著なほどの低下は、IT競争力の相対的な地位の低下と言っても過言ではない。さらに悪いことは、今後は全ての産業がITと金融を軸に展開していく。全ての機材がAIを駆使して人工知能を持つような社会が待っていて、結局のところ米国の一人勝ちに構図は目に見えている。とはいっても、IT分野に強みを見せられない日本が全面的に落ちていくという構図にもならない。それはロボットなどの最先端機器の精度を高めるためには、これからも日本の技術力が必要とされると予想されるからだ。  つまり、最高の性能を有するロボットを米国が作り、汎用品市場を中国が握るという構図の中で、こういった製品の重要な部品に対し、日本企業の高シェアを維持するという構図である。それが日本を世界の間たる先進国であるがゆえの富の源泉になるのであろう。 〇部品市場の優位性は揺るがない  ハード面における日本企業の強みは日本人特有の性質からきている。海外は一部の天才が社会や企業を引っ張っていく、しかし、日本は一部の天才ではなく、裾野で働いている従業員の仕事に対する意識が高く、その人たちの努力によって高性能な部品生み出され続けているのである。このような風土は、階級意識の強い外国の企業では考えにくい。  しかし、米国政府はそういった欠点を補うべく、NASDAQのようなベンチャースピ...

2023年初めての株式売買(ベライゾンを32ドルで購入)(運用状況)

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。 久しぶりの米国株式の購入。今年の私のスタンスは休むも相場であるが、ベライゾンがほぼ破格の値段まで落ち込んでいたので購入することにした。   私は、「AT&T とベライゾンの分析」でこれら銘柄に大きな飛躍はないと述べた。その考えは変わっていない。しかし、ベライゾンの事業内容やビジネス状況から見てあまりにも安い値段で放置されている。長期的にみれば一定程度のリバウンドを期待できると踏んでいる。さらに毎年僅かであるが増配も期待できる。そういったリバウンドが確かなものになるまでは、8%近い利回りを堪能しようと思っている。 ベライゾンは日本企業に例えれば、NTTやKDDIであって、どう見ても強固なビジネス環境に守られている。業績内容も決して悪いとは言えない。さらに着実に増配を繰り返している。日本なら間違いなく優良企業として評価されているはずだ。そんな企業でさえ米国投資家は高い評価を与えてはいない。GAFAMなどの企業に比べたら、日本の老舗大企業的な雰囲気が漂っているのは確かであるが、GAFAMなどがどれだけ先進的で優秀な経営をしているのかというかを物語っている。成長性という点では購入対象になる銘柄ではない。 良いニュースは私たちに不運をもたらし、多くのお金を失せる一方、悪い知らせが私たちに幸運や良い利益をもたすことがある。このルールに従って、私はXOM を 2020 年に購入して成功した。しかし、2022年のコロナバブル崩壊に対するGAFAM低迷をキャッチできなかった。そもそもGAFAMの超優秀な経営陣の能力を理解できなかったからである。 実際、悪いニュースは実際の状況よりも悪いわけではなく、一方で、良いニュースは実際の状況よりも優れているわけでもない。  ということで、今年初めての売買は、ケーブルの鉛汚染問題で低迷しているベライゾンを逆張りの気持ちになって32ドルで購入した。どういう経緯があろうと、いったん購入したら、当面は株価動向に一喜一憂せず。のんびりと配当を享受していきたいと思っているところである。

逆イールドカーブと今後の景気動向

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  初版 20220402(旧タイトル 逆イールドカーブが示唆する高インフレとの向き合い方) 改版 2023/01/13、2023/04/29 2023/07/01 1.はじめに  米国債市場では、短期債と長期債の利回りが逆転する逆イールドカ―ブ現象が続いている。  今回はこの現象について考えてみる。   2.逆イールドカ―ブ現象の意味すること 逆イールドカ―ブ現象の意味すること。それは、貨幣の過剰供給の最中、コロナ禍以降のロジスティック断絶下のなかでのロシア制裁によるエネルギー価格高騰が発端で、短期的なインフレが発生したというのが大方の見方である。しかし、製造技術が高度化した昨今では「供給>需要」が起こりやすく、余程の事がない限り、高インフレになりくい環境下にある。これが長期金利の上昇を抑える要因となり、結果としてFRBがFFレートを引き上げても長期金利が追い付くことができない逆イールドカーブを導いている。 3.逆イールドカーブとリセッション  FRBは、インフレを悪性にさせないために景気を冷やす事を覚悟しながら金融引き締めに挑んでいる。とはいっても、高インフレ下の不景気(スタグフレーション)を起こさないように気を配りながらだが。  FRB幹部は、当初インフレを甘く見ていて市場がインフレを危惧し長期金利が上昇し始めた。(2021年)➾今度は、FRBはこのインフレを放置すると70年代の再来になると判断し急激な政策金利の引上げを実施したが、市場がインフレはそれほど深刻でないと判断し逆イールドカーブを形成するようになった。(2022年)。市場は70年代の再来はないと強気に見込んでいるが、インフレは市場が想定するほど下がっておらずインフレ率2%はまだまだ遠い。その一方、インフレ率は徐々に下がっており、FRBが危惧するほどの悪性インフレではないという雰囲気も散見される。FRBは、政策金利が5%を超えてからその効果を見極める姿勢をとっている。経済はしかし、複合的な要因でなりたっているので、インフレがこの先どのような展開を迎えるかは誰にもわからない。ただし、インフレ率に2%の定着は相当先になるのだけは間違いない。 4.2024年の大統領選挙  相場への影響を推測する場合、イールドカーブ動向以前に、やはりz業業績の動向がカギになる。その中でも...

浜田宏一を参考に大物経済学者の発言を投資家視点で分析(経済情報との向き合い方)

  初版 4月8日 旧:アベノミクスの草案者(浜田宏一)のインタビューから見え隠れする経済政策の実験的な側面 アベノミクスの経済政策の筆頭ブレインであった浜田宏一イエール名誉大学教授の最新のインタビューが東京新聞に載っていた。今回は投資家目線でこのインタビューを考えてみる。 〇超金融緩和が国民全体に富を行き渡らせられなかったことに対する浜田名誉教授の回答 「予想外だった。僕は漠然と賃金が上がっていくと思っていた。安倍首相もそう思っていたと思う。ツケが川下(の中小企業や労働者)に回った。賃金が殆ど増えないで雇用だけが増えるようなことに対して、もう少し早く疑問を持つべきだった。普通の経済学の教科書には、需要が高まっていけば実質賃金も上がっていくことになっている。ツケが川下(中小企業、労働者)に回すようなシステムで調整されるなんてことは書いていない。意外で望ましくない方向に行っている。」  正直、日本を代表する大物経済学者でさえ、実経済の運営は困難を極めることが露呈された感がある。浜田宏一名誉教授の言葉を拾い上げると、大学の研究室で高尚な理論を追い回しているようなもので、街角に出て、そこに漂っている民衆の現状や空気感とは別の次元で研究をしているようだ。 〇アベノミクスのメリット  とはいえ、投資家から見れば、アベノミクスは決して悪いものではなかった。それなりに投資利益を得られたからだ。しかし、株価の上昇がほんの一握りの値嵩銘柄に偏ったために、多くの投資家の懐を暖めるまでにはいかなかった。実は米国相場もGAFAMなどの一握りの銘柄指数を押し上げただけで日本と大きな相違があったわけではない。 〇トリクルダウンの正体 実際、金融緩和で広がったのはトリクルダウンではなく二極化である。金融緩和は金融市場を暴騰させただけで庶民にお金が廻らず、街角景気と金融市場が完全といってもよい程に乖離してしまった。どうもトリクルダウンというのは、高度成長期のように養分を吸収が可能な経済構造に有効な施策であり、各々産業で制度疲労を起こしている成熟化した社会では起こりにくいようだ。だからこそ、現在の金融政策を補填するかのように、間接ではなく直接的にお金を配る施策が目立ち始めている。 しかし、二極化は世界中で起きている現象であり日本特有の議論ではない。だからこそ、ピケティは「21世紀の資本」著書...

金融緩和がもたらす局所的な不動産バブル現象

初版 2023.06.24 改版 2023.09.01  日本は少子高齢化の進行により人口減少社会に突入して久しい。このため、不動産価格も一部のエリアを除けば下落傾向が続いているのだが、ここ1~2年においては、不動産バブルの再来というべき現象が一部の地域で起きている。 1.不動産バブルに関する記事 〇全国に広がる「家が買えない」 京都も福岡も首都圏も郊外化加速(日経ビジネス)。 〇福岡市近郊 億ション相次ぐ福岡 新幹線で佐賀に脱出も (日経)  23年1月1日時点の公示地価で、住宅地の対前年上昇率が北海道に次いで大きかったのが福岡県。博多や天神、その周辺といった福岡市の中心部は「普通のサラリーマンでは、もう手が届かない」(不動産関係者)。 米国領事館などがたたずむ閑静な住宅街に、10階建ての分譲マンションが姿を現した。大和ハウス工業が手掛けるこの「プレミスト大濠二丁目」は、全35戸が1億円以上という強気の価格設定だ。 〇都心中古マンション1億円迫る 購入コスト29年ぶり高水準 (日経)2023年1月24日 東京都中心部のマンション価格が高騰している。東京カンテイ(東京・品川)が24日発表した2022年の都心6区の中古マンションの平均価格は9800万円と1億円の大台に迫った。 〇住宅価格はバブル超え、郊外は息切れ感も 不動産会社は富裕層に照準(日経) 都心部のマンションは中間所得者層にとって「高根の花」になりつつあります。住宅価格が上がる一方で、国内の平均給与は伸び悩んでいます。マンション価格が購入者の収入の何倍にあたるかを示す「年収倍率」は、東京都で購入目安を大幅に上回る14〜15倍程度です。 〇地方にも「億ション」 首都圏はバブル超え。(日経) ・沖縄県首里城下町に「2億ション」 沖縄の地価、伸び再加速 ・福岡都心、初の全室「億ション」登場 坪単価10年で2倍 ・マンション高騰、近畿圏でも 大阪うめきた2期最高額へ 〇新潟市内マンション供給、十数年ぶり高水準(日経) 2022年12月6日 2.金融緩和継続による行き場のないマネーの行方  不動産価格は、一部の地域を除いて下落傾向が続いているにも関わらず、上記のようにここ1~2年の不動産価格の上昇報道には異常なものがある。これば、コロナ禍以降に実施した大規模な金融緩和による行き場のないマネーが不動産市場に流れ込んだも...

金融緩和が引き起こす「株式市場の活況と街角景気との著しい相違」

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〇実態経済との乖離 日経平均がバブル期に迫る高値を続けている。その一方で、足元の景況感への影響は限られたものである。どうもこの株高は実体経済と結びついていないようだ。一体誰のための株価上昇なのか。これほどの株高でさえ、一獲千金を得て六本木や銀座で豪遊するなどの浮世離れした人が現れてこない。非常に不思議な株高だ そもそもアベノミクス以降、株高と景況感が一致しなくなった。アベノミクス前までは日経2万円を超えるだけでも、庶民はそれなりの好景気を甘受できたものである。アベノミクス以降は株価がどんなに上がっても庶民に向けて富は流れてこない。逆に、将来不安は日増しに増大している。だから政府はいつまでたっても異次元の金融緩和を止めることができない。 〇過剰な金融緩和が株価の閾値だけを切り上げている。  しかし、これは日本だけではなく世界中で起きている現象である。先進国はどこも深刻な経済状況であるにも関わらず、その国の株価への下落圧力は小さい。アベノミクスで株価は幾度となく、バブル崩壊以降の最高値を更新しているにも関わらず、日々のニュースは、不安一色である。少子高齢化による人口減少社会、政府の増税圧力、低賃金労働者の増加、人生100年時代のお金の不安。など暗いニュースを上げたらきりがない。私たちは、このようなニュースを毎日見ながら、一方で一部の超優良銘柄の好調な決算を背景にバブル崩壊後の高値を幾度ともなく繰り返す金融市場の活況のニュースを同時に見ている。このように経済ニュースと金融市場には相当な乖離が生じてしまった。  なぜ、そうなったのか。これは間違いなく金融緩和の副作用である。金融緩和で市場にジャブジャブに垂れ流した過剰なマネーが庶民にまで届かず、金融市場界隈を徘徊しているからである。 〇金融市場と街角景気の乖離は当面続く  金融緩和は株価の閾値を引き上げる一方、インフレも引き起こした。サマーズの指摘通り、金融緩和の副作用を取り除かない限りインフレ率2%の時代には戻らないように、日本のこれら乖離についても同じことが言えるのであろう。なぜなら、日米欧の中央銀行は、市場から買取りすぎた国債を市中に還流することは到底できない。つまり、これでは市場に膨大なマネーが漂流していることになり、不景気による株価押し下げ要因を阻害してしまっている。  当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べた...

チャーリーマンガーから投資の極意を学ぶ

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    〇見習うべき点:チャーリーマンガーは趣味人  チャーリーマンガーは、マインドフルネスやジョギング、瞑想を好きでやるならいいけど意識系を高くするための必須アイテムになっていることを皮肉る一方、勉強、学びを首尾一貫として薦めているが、自然体でいることを説いている。でも、彼の学びは苦行ではない。趣味の範疇にすぎない。 チャーリーマンガーは、朝起きて寝るまでに少し賢くなっているくらいが良いと頻繁に説いている。それは彼にとって、知的好奇心を満たす毎日が楽しいという裏返しでもある。  これは投資家としての理想的な生活であり、私もこの境地に辿りたいとしきりに思うものである。 〇バリュー銘柄に成長性を追求 ウオーレン・バッフェットも讃えていることでもあるが、チャーリーは単なるバリュー株ではなく成長性を加味した銘柄に投資すべきであると説いている。これはまさしくその通りでで、優良企業であってもズブズブのバリュー株の場合、5年過ぎても株価は横ばい、配当も連続増配だが1セント程度に収まっている銘柄が少なくない。こういった銘柄に投資しても株主の利益は相当限られたものになってしまう。しかし、バリュー銘柄に成長性が加味されていれば、5年後、10年後には配当は2倍近く、株価も同程度の上昇を期待することができる。まさに投資すべき銘柄の急所をついた理論だが、チャーリーはそんな銘柄を簡単に見つけられるほど投資は生易しいものではない。とも付け加えている。   〇「好機を待つ」を説く最高の投資法 投資も10年に一度来るか来ないかの大暴落で大金を投じるだけでよい。ITバブル崩壊、リーマン・ショック、コロナ禍で1000万でも投資すれば3倍に膨れ上がる。3000万なら億が見えてくる。極論すれば、1年に数回程度、株式市場の情報を取得すれば事は足りる。 「成功とは、忍耐強く待ち、時が来たら、積極的に行動する。私たちには、良い球が来るまで待つという投資の規律があります。待つことは、投資家にとって大きな助けになる。多くの人は待つことができない。」  これはウオーレン・バッフェットとチャーリーマンガー―の投資の根源にある有名な名言である。 その間、自分の趣味を謳歌すればよい。株式市場の日々の値動きなど追わなくてよい。日経やダウが史上最高値になったのも無視すればよい。アンテナを張るのは不況か大暴...

お金持ちのサラリーマンこそ最強

〇サラリーマンの悲哀 サラリーマンの愚痴や悲哀は古今東西問わず普遍的なテーマでもある。そんなストレスから、サラリーマンを飛び出して自由になりたいと思う人は少なくない。 実際、自営業は完全な実力主義であるが、サラリーマンは個人的に実績を出しても、それがグループ、部署、会社の実績にすり替えられることは日常茶飯事である。いつの間にか何もしていない上司の功績にすり替えられて、上司だけが出世し、功績を上げた本人がなんら人事的な恩賞を与えられない。そして気の合わない奴と長時間の仕事を強いられるなどのう精神的苦痛も日常茶飯事である。 〇起業は思ったほど楽ではない  一方、自営業はサラリーマンと違い力いっぱい働けば驚くほどの高給を得ることもできるメリットがある。といっても自由で夢のような生活をおくれるとは限らない。自営業は、他人から仕事を貰わなくては生活が成り立たないので、発注者には絶対服従に近い関係になりがちで、それを拒否すれば、発注者側に足元を見られて次から仕事の発注を打ち切られる事もあり、周りが思うほど楽とは言えない。 〇サラリーマン生活を逆手に取る サラリーマンが苦しいと思うのは、勤めている会社に様々な要求をするからである。給与、昇進、人間関係などすべてのことを会社の望んではいけない。サラリーマンは大企業になるほど給与は毎月安定的に貰え、都会の綺麗なオフィスで仕事が出来て、様々な福利厚生などの特典もついて、上手に利用すればその分だけ潜在的な収入になる。電車の定期券は土日のプライベートな事にも利用できる。こういった費用も、自腹だと意外と少なくない出費である。それだけでなく、世の中のいろいろなスキルも学び磨くことができる最高の環境である。苦しいと思うのは企業に対して過剰な期待をかけているからだ。逆手にとれば様々なり利点が見えてくる。 〇サラリーマンに必要なのはプライドを捨てる事 サラリーマンは、程度問題はあるが、大企業になればなるほど仕事の失敗や損失で生活が破綻することはない。あるのは人事評価がある程度下がることぐらいで、生活は保障されている。しかし、会社は常に社員の効率的に働かそうと競争心を駆り立てる様々な施策を打ち立ててくる。代表的なのは「出世」という飴玉である。 頑張り過ぎず。いい加減になり過ぎず。周りとの調和を保てばよい。同僚や先輩で真ん中程度の成績の人をお手本にするの...

植田日銀総裁就任会見に垣間見る~ルビコン川を渡った金融緩和政策~

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アザケイ小説から日本社会の疲弊を読み取る

  この小説は、人々が薄々感じているがあまり語らないことを赤裸々に描いていると短編小説です。この小説から読み取れることは、普通に生きることのハードル年を追って高くなってしまい、意識高い系の高い人たちにまで及んでしまっているという日本社会の深刻な疲弊である。あざケイ文学から、こういった競争社会の負の歪を見せつけられたような気がしてならない。   ☆「ふぞろいの林檎たち」の現代版    この小説の前提にあるテーマは、一見社会的な勝者に見える人たちの虚像というべきものである。これは明らかに作者のレトリックで、 40 年前に「ふぞろいの林檎たち」というドラマと比較すると面白い。「ふぞろいの林檎たち」では学歴競争敗者の社会的な抑圧や挫折感を描いて反響を呼んだ。アザケイ文学は、「ふぞろいの林檎たち」の勝ち組の変遷を描いたと言えるであろう。そこには、バブル崩壊以降の日本株式会社という名門企業群の衰退によるエリートサラリーマンの幸福度の激減が描かれている。日本の子供たちは、旧来型のエリート像を追い求めるように受験競争をさせられる一方、その後は大学入学時と卒業時のイメージの乖離、一流企業に入社時とその後の生活イメージの乖離が続き、いつまでたっても思い描いていたイメージ像に届かず絶望する。そんな実態が浮かび上がってくる。   ☆必要条件を十分条件に勘違い。  人生 100 年時代にたかが 18 歳の受験の結果で人生の結果が決まるなんてナンセンスなのだが、これら優等生は一流大学に入ればその後の人生も悠々自適に送ることができると、特に地方出身の受験勝者は信じている。実際、一流企業などの就職数や役員も大学ランキングではトップクラスである。そんな情報を得て自分達もいつかはこのような地位まで上り詰められると思って社会に出る。まさに必要条件と十分条件を勘違いしているのだ。十分条件である泥臭さ、それは会社で奴隷のように重労働し、学歴云々隔たりなく周りにはいい人を演じ、上司に好かれるような態度を貫いていくことで少しずつ役職の階段を上り続けていく結果でしか役員昇進への光は差してこない。まさに苦労に苦労を重ねたうえでつかむ勲章なのだが、これら優等生は、まるで「課長島耕作」のような漫画タッチの軽さで人生を謳歌できると信じ込んでいる。そして社会に揉まれ...

Fireに乗れた人と乗り遅れた人(ライフスタイル探求)

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1.FIREムーブメントの台頭 FIRE がこれほど若い人たちにとって人気なのは、ネット環境などの仮想空間の充実で他人と関りが少なくなっている中で、旧態依然の日本株式会社という日本社会の同調圧力に息苦しさを感じているからにほかなりません。 日本企業は、いまだに高度成長期の悪しき労働環境を引きずっています。それなりの企業に入っても職場環境や人間関係で幻滅させられます。今の若者の多くはストレスを溜めながら社会的な地位を守るより、ストレスを溜めない自由な生活を求める傾向があります。 2.アベノミクスと米国の株高が、にわかFIREを増加させた。 FIRE民には、リーマン・ショック後のアベノミクス恩恵か米国の株高に乗った人が多い。実際、2010年代の相場は歴史的に稀に見る投資における好環境であったことが下記でもわかります。 2008年:6,819円~2021年:30,714円  リーマン・ショック後の日経平均              2009年:6,500ドル~2021年:36,832ドル  リーマン・ショック後の米国ダウ 1974年:3,355円~1989年:38,915円 (参考)日本の80年代バブル もし、2012年にGAFAに投資したら10倍近くの儲けを獲得できるし、今流行のインデックス投資をすれば、それだけで数倍に膨れ上がります。つまり、この時期に危険を恐れず果敢に投資した人は、実力以上のリターンを得て、その一部はFIREを実践している人もいると推測されます。なので、原資を1500万程度として、米国のハイテクや日経やS&Pのインデックス投資をしたら資産を5千万円までに増やせることは十分に容易であったと言えます。  しかし、次の10年がそうなるとは限りません。逆に2010年代のような相場環境はもう当分来ないと疑った方が賢明かもしれません。 3.FIRE生活のイメージ(金銭面)  FIREを成し遂げる条件は、一生涯においてお金を困らないような蓄財した後、資産運用や自分の好きな仕事でのほほんとした生活をおくれるようにすることです。  これは相当ハードルが高いのですが、アメリカの超優良銘柄に投資すれば5千万円程度の資産でも十分に成り立ちます。あとはストレスのたまらない程度の毎月の出費で...

AT&T とベライゾンの分析

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  1.IT産業のプラットフォーマーという微妙な立ち位置   AT&T,ベライゾン は、インターネットのプラットフォームを提供する銘柄で、日本でいえばNTTのような名門企業である。一見成長性豊かなIT企業と同列に捉えてしまいそうだが、これらネットワークのインフラ通信企業は、他ITメーカーのように世界展開が出来るわけではない。一般的に通信事業はその国の国家機密とも絡む国策企業のため、他国の通信業者の参入は限定されたものになる。これら通信業者はその国内で巨大かつ名門企業であるものの、その享受は国内需要に限られたものになる。 2.多角化の模索と失敗 実際、AT&Tもベライゾンも更なる飛躍を企て、通信の下流に入るべく、AT&TはディレクTV、ワーナーパイオニアなどのメディアを多額の資金をもって買収した。ベライゾンもAOLやヤフーを買収している。これら事業は国境の壁はなくどこまでも拡がる成長分野だが、残念ながら両社にはこういった事業を飛躍させるノウハウがなかった。両社の経営陣は、どちらかといえば日本の大企業に近いのかもしれない。結果として、日本企業の買収劇のようにそのどれもが中途半端で終わって、しまいには巨額の損失を計上し切り離す結果となっている。そして膨大な有利子負債だけを残して。   3.本業復帰  しかし、最近になって、ようやくAT&Tもベライゾンも本業に特化したビジネスモデルに回帰した。非常に高い授業料を払ったことになるが、投資家にとっては好材料である。そういった意味では、その産業における成長余地に関係なく、餅屋は餅屋に徹して、主力の事業にリソースを集中させ、常に他社の追随を許さないような経営に徹するのが良い。一見地味であるが、それが廻り回って、ビジネス競争力を強靭なものにしていく。   4 . 今後の展開  これら2銘柄は米国における通信のプラットフォーマーとしての地位は確率されている。しかし、この分野は同時に日進月歩の研究開発と設備投資が求められ、 多額の設備投資と開発費用が必要になるため、 長期期間にわたって増収増益を続けるには無理がある。  そういう面で2社をみていくと、 AT&T は大幅な減配し配当負担を大幅に減らした。それと同時に債務も 1800 億ドルから 1300 億ドルまで減らした。...

国際的地位が低下しても西欧諸国は世界経済を牛耳る胴元 

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初版 2022.09.24 1.国別GDPランキングの長期推移 最近は、数百年前までの世界経済力ランキングも発表されるようになった。どこまでの精度かは不明であるが、これらの資料は、超長期的な視点での経済ランキングを予想するうえで重要な示唆を与えてくれる。世界国別の経済力の変遷を辿ってみると、以下の通りとなる。  1800年頃: 1位 中国 2位 ヨーロッパ 3位 インド   1870年頃: 1位 ヨーロッパ 2位 中国 3位 インド 4位 アメリカ これをみる限り、世界経済はヨーロッパ諸国とインドと中国で占められ、国別の経済力ランキングは古今東西において大きな変化はないということがわかる。この延長上で考えれば、この先の100年でインドの地位が中国同様にリバウンドするのは必然的な流れだ。最近は、少子高齢化や人口ランキング動向で先進国の衰退を指摘するレポートが散見されるが、トルコやインドネシア、そしてアフリカ諸国が、今後50年間に西欧諸国を追い抜くというシナリオは上記水位の延長上でみると想定しにくい。 2.為替レートを牛耳る西欧諸国 そもそも為替レートはなんなのかということだ。一般的に為替レートは総合的な国力を意味する。しかしながら、為替レートの価値基準は欧米的価値基準に沿って成り立ってと言えなくもない。西欧諸国の通貨を基軸として周辺の国々通貨価値が決まっていく。そのため、胴元である西欧諸国の為替が相対的に高くなるのは当然の成り行きである。さらに、為替レートは面であり、地続きであるということ。例として、デンマークの為替はデンマーク単独の評価ではなく、西欧諸国の一員というプレミアが為替レートに付加されている。  こういった視点で見ると、スペインやノルウエ―、アイスランド、スウエーデンなどは大した産業もないのになぜか通貨や所得水準が高いのも合点がいく。スペインなどは東南アジアのタイと同じようにシエスタなどでのんびりした国でも、れっきとした先進国である。このように、西欧諸国以外の国は、胴元とそれ以外という点で後れを取らざるを得ない。つまり、西欧諸国の国民と同程度の為替レート(国富)で同水準のライフスタイルと生活水準を謳歌するには、欧米諸国の数倍働かなければ追い付けないという厳しい現実がそこにある。 3.文化と価値観を牛耳る西欧諸国  西欧諸国の為替レートの優位性は、歴史的な視...

不動産バブルが誘発する国富の膨張

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  初版 7/08/2022 (旧タイトル 投資視点で不動産を考える) 1. 不動産上昇が 国富膨張の 引金  経済成長が正常に機能すれば不動産価格は上昇する。これは日本の高度成長期を見れば一目瞭然である。そして、80年代の日本の不動産バブルにより日本の国富は米国を上回るまでに膨張する。これに対する日本政府が適切に対応できなかったことから、不動産市場は長期低迷におちいり、日本はいまだにその後遺症から立ち直れていない。  不動産バブルは、一般庶民の 不動産購入を困難にさせる一方で、不動産所有者は不動産価格暴騰の恩恵を被ることになる。これにより、待つ者と待たざる者の格差が発生する。  21世紀初頭には、中国が不動産市場のバブル化によりチャイナマネーが世界を席巻している。規模にこそ違いはあるものの、韓国や台湾も地価暴騰によって日本と同レベルの生活水準に達するまでに国富が引き上げられた。 2.過剰な金融緩和が導く不動産バブル  過剰な金融緩和は不動産市場を活性化させる。日本のバブル景気だけでなく、21世紀初頭の世界中の過剰な金融緩和も世界中の優良不動産をバブル化させた。その後のサブプライム暴落で天文学的な不良債権問題に発展するかと思われたが、FRBを筆頭に世界中の中央銀行がさらなる金融緩和を実行したことで、さらなる不動産バブルが一部の地域で再発することになる。 例として、中国における不動産価格状況を見ていくと 深センや北京市は年収比の50倍超え、上海市や広州市は年収比の40倍超え(上海万得信技術より)まで高騰した。それ以外にも年収比10倍以上を超える地域が20か所弱にも及ぶとの調査結果もある。 近隣諸国を見渡しても、香港、ソウル、台北など中心部の不動産価格は年収比10倍超えとなっている。 それだけでなく、パリ、ロンドン、バンクーバー、アムステルダム、シドニー、シンガポールなど世界の名だたる大都市の不動産価格が年収比10倍以上となり、億超えの物件が当たり前となっている。 3. 少子高齢化が導く不動産市場の更なる二極化  日本は80年代バブルをはるかに凌駕する金融緩和を続けた結果、都心部は平均1億円以上のマンションが当たり前になった。一方、地方を中心に少子高齢化により土地の需要は年を追って減っており、空き家は800万戸を超えてもなお増加の一途を辿っている。このため、東京...

ラリー・カルプによるGE解体の今後 

  初版 2021.08.20 (旧タイトル GE再建とコングロマリット経営の光と影) 1.世界有数の優良企業  GEは、20世紀を代表する指折の巨大企業(コングロマリット)である。ダウ平均銘柄の当初からのメンバーで、1907年から2018年まで111年にわたってその座を維持していた。  また、素晴らしい組織力と経営力は他の企業のお手本とされ、さまざまな教材に利用されている。そういう優良企業であるGEが、2018年に今までの評価を全て覆すような未曽有の危機に陥ってしまい、現時点でも再建中である。 ここでは投資家の視点で、コングロマリットの超優良企業の代名詞であるGEに何が起こったのか、そして投資家は何について気を付けなくてはいけないのかについて考察をしなければいけない。 2.ジャック・ウェルチによるGEの隆盛  80年代前半にジャック・ウェルチは、GEのCEOに就任した。最初の5年間に10万人ほどの人材をレイオフして、事業の売却や清算を推し進めた。 その一方、「世界で1位か2位になれない事業からは撤退する」スタンスで企業の合併・買収(M&A)を繰返し、小型家電事業や半導体事業などの製造事業を売却する一方で、証券会社やリース会社、消費者金融会社、「NBC」などの放送会社を買収し、非製造業ビジネスの売上高を4割以上に高め、2000年には金融事業の中核である「GEキャピタル」の利益が会社全体の利益の52%を占めるまでに至った。 こうして、総合家電メーカーから世界有数のコングロマリットに転換させることになる。 売上高は、1981年からの20年間に272億ドル⇒1732億ドル、純利益は16億ドル⇒107億ドル、株価は4ドル⇒133ドル(株式分割(4回)を考慮)、株式時価総額は140億ドル⇒6010億ドルまで膨れ上げることに成功する。このようにして、経営の神様の名を欲しいままにする。 3.ジャック・ウェルチCEO交代と衰退の始まり  ジャック・ウェルチの経営は神がかっていた。しかし、一流の製造業が一流の金融業も兼ねることのハードルの高さを次の経営者が直面し、GEの経営は水面下に逆回転する。 2001年、ジェフ・イメルトがGEの次CEOに就任する。世間は、ジャック・ウェルチの指名した後継者なら同等の成果を出してくれるだろうと期待をした。しかし、ジェフ・イメルトは、GE本来...

連続増配記録の正念場 スリーエム 

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初版220403 旧タイトル:増配率の長期低迷懸念 スリーエム スリーエムは、60年以上続く連続増配銘柄であり、古参のダウ採用銘柄である。かつてはGEと並び称される優良コングロマリット銘柄としてもてはやされたが、GEが退場した現在、同社に対するコングリマリット経営の評価は年々厳しいものになっている。 2.会社の構成  ①産業部門(Industry) 30%強       工業用テープ、接着剤、研磨剤等    ②セキュリティ部門(Safety&Graphics) 20%程度       防塵マスク、滑り止めテープ   ③ヘルスケア部門(Health Care) 20%程度       病院向け機器 サージカルテープ他    ④電子・エネルギー部門(Electonics&Energy) 15%程度        絶縁テープ モニター用フィルム等  ⑤一般消費者部門(Cimsumer) 15%程度       ポストイット、粘着テープなど    まさに、コングロマリットであり多岐の製品を扱っているが、接着系技術をベースとした製品も多く、そういう面では特定の技術に対して、応用的な利用を提唱し、様々な業種に多面的な展開を図っていこうとする経営戦略を垣間見ることができる。 3.企業業績 上記の通り、長期に渡って理想的な経営を行っていることが分かる。老舗企業でありながら持続的な成長を続けており、これに連続配当年数を加味すると優良企業の鏡であるのは間違いない。そして米国を代表する企業であることも間違いない。 3,増配率の低下懸念 しかし、配当という側面から当社を見ていくと、当社の苦境も見え隠れする。長期軸での配当性向は以下の通り。 配当性向が上昇気味に推移していることが分かる。さらに直近5年間をトレースすると2017(59%)⇒2018(61%)⇒2019(74%)⇒ 2020(63%)⇒2021(58%)   一株当たりの配当は、2018(1.36)⇒2019(1.44)⇒2020(1.47)⇒ 2021(1.48)⇒2022(1.49)に推移している。  ここ3年は、わずか1セントしか増配していない。このことはスリーエムの増配余地が上限に達していることを意味している。どうも、経営陣から見て売上及び利益の更なる成長が...

ネットワーク専業企業からの脱皮に苦戦  シスコシステムズ

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  初版 20220326 1.はじめに シスコシステムズは、ダウ30にリストアップされている世界有数のネットワーク機器企業です。この会社の戦略は、ジョンチェンバース元CEOの「市場をセグメント化して、そのセグメントでNO.1かNO.2になることを目指す」に代表されます。           2.中途半端なM&A戦略 シスコシステムズは、ネットワーク機器を主軸にしながら、長年に渡って積極的なM&Aを実施してきました。その数は優に200社を超えています。こういう戦略は、年代的にはGAFAの先輩格とも言えます。ちなみにこの会社は、1999年に世界一の株式時価総額を記録しています。ほんの短い期間ですが、一昔前のGAFA的な役割を担っていました。 これだけM&Aをしながら、今もってして、この会社はネットワーク機器という領域から大きく脱皮していません。同時期の雄であるマイクロソフトはWindowsの呪縛から離れ、更なる成長軌道に移行させた事を考えると非常に残念です。当然ですが、その結果は株価の差となって表れています。 3.成長性の乏しい業績推移 下記のとおり、GAFAMと好対照に売上は、長年に渡ってほぼ横ばいです。M&Aの実施状況から類推するにネットワーク機器と関連ソフト以外の事業を大きく飛躍させる実力がないことを物語っています。これではIT分野のオールドエコノミーも同然です。 4.「ズーム」躍進に見るシスコシステムズの限界 その代表が「ズーム」です。この会社のCEOは、シスコシステムズ出身です。もし、このCEOの力量をシスコシステムズ内で如何なく発揮することが出来たなら、ズームの原型であるWebexMeetingは、シスコシステムの主力製品になっていただけでなく、投資家は新事業領域の開拓に成功させたシスコシステムズの経営に対する力量を評価することになり、そのプレミアとして株価は現状の2倍近くで推移することでしょう。 まことにもったいない話です。 私自身が勘繰るには、これは一例に過ぎず、幾度となく、シスコシステムズはこういった大魚を逃がし続けていると推測されます。マイクロソフトなどのように主力製品を広範囲の事業分野でラインナップできる会社ではなさそうです。当然ですが、これは企業に深く根付いた文化でもあり、これからも同じことを繰り返することは間違...

名著「となりのミリオネア」から投資の本質を学ぶ(その他) 

初版 20220320   二版 20221212  三版 20230101    1.みすぼらしいおじさんの遺産がなんと 10 億円  これは有名な話ですが、非常に示唆に富む話なので今回取り上げます。    米国のブルーカラーのおじさんの遺産がなんと 10 億円だったという実話があります。彼はブルーチップ株をひたすら買って配当を再投資する投資法で巨万の富を築きました。彼の投資した銘柄は、少なくとも 100 社近くにのぼり、ヘルスケア、通信、公共、鉄道、消費財等に分散投資し、そのほとんどが CVS ヘルス、ジョンソン&ジョンソン、P&G、JPモルガン、ゼネラルエレクトリック、ダウケミカルなど米国を代表する優良銘柄群でした。     2.筋金入りのケチ  報道によると駐車場代がもったいないので、駐車場代のかからない遠くの敷地に車を止めたとか。車も中古のトヨタ車。さらには、あまりにも貧相なので友達が食事を奢ってくれたとか、株も証券会社に預けずに自分で保有して手数料すらケチったとか、とにかく筋金入りのケチのようです。こういったケチさ加減は程度問題ですが、本人が満足するのなら幸せなことです。バフェット先生の生活も質素です。  日本でも、億とはいかないまでも、生前は非常に質素で、「お金がない」が口癖だった親父の遺品整理をしていたら、たくさんの株券や 5 千万円を超える定期預金があったという話はよく聞きます。身なりや生活レベルと資産額は必ずしも一致しません。  逆に、羽振りの良い人が雀の涙ほどの遺産しかなかった話もしかりです。世の中、そんなもんです。(こういう話って、芸能人に多いようです) 3 .この話の盲点(時代背景を冷静に見つめよう。)   1959 年のダウ 30 指数は、 600 ドル前後で、ロナルドさんが亡くなる 2012 年頃は 13000 ドル弱です。ダウ指数はざっと約 20 倍に膨れ上がっています。これが 2021 年ならダウ指数は 3 万ドルを超えているのでざっと 50 倍以上に膨れ上がっています。つまり、 1959 年にダウインデックスに 10 万ドルを投資したら何もしなくても、配当による再投資分を考慮したら、恐らくですが、前者が 400 ~ ...

2022年の投資を振り返って ~休むも相場~ (運用状況)

〇2022年を振り返って 2022年は、米国の金利引上げと強烈な円安に振り回わされ、日本も10年物国債+0.5%への引き上げをするなど、世界中が金融引締め政策に転換した1年でした。 こういった中での私の1年は、「休むも相場」とばかりに連続増配優良株の配当金をひたすら受け取った年でした。 〇2023年の抱負  まず、米国の金融引締め政策(FFレート5%)の言わんとすることは、株式市場の調整です。今年も、右肩上がりは期待できません。  日本も、2023年は金融緩和を徐々に解除していくものと想定され、これも相場にとっては調整材料です。  こういったことを踏まえ、今年も原則「休む相場」ですが、米国連続増配銘柄で設備投資や研究開発費がボトルネックにならない優良銘柄に対して、米国ドルで購入していくことも視野にいれています。  あとは、円ドルの為替レート次第ですが、米国国債や外貨MMF購入も視野にいれています。 〇2023年の投資指針 私の投資指針は、バッフェト先生の言葉を借りて ルール1 絶対に損をしないこと。 ルール2 ルール1を絶対に忘れないこと。 です。 これを例えれば、2022年の年初に時価総額3000万円だったのが、年末には2600万円になり、400万も損をするのが予め予想できるのなら市場から撤退し、次の投資機会をじっくりと見極めていく。というものです。 もう少し、バッフェト先生の言葉を借りれば 「「短期間に急いで金持ちになろうと思わないこと。」 「人々が強欲になっているときに消極的になり、人々が恐怖になっているときに積極的になる。」 というものです。 当ウェブサイトの情報は、個人的な私見を述べたものにすぎません。このため、当ウェブサイトに掲載された情報によりなされた判断及び一切の行為は、閲覧者の自己責任においてなされるものとします。いかなるトラブル・損失・損害に対しても、一切責任は負いません。

高配当銘柄(アルトリア)で夢の配当金ライフ

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初版2021.06.26  加筆2022.12.23  1.アルトリアの会社概要  アルトリアは日本におけるJT(日本たばこ)のような会社です。「マルボロ」や「バージニアスリム」などブランドは世界的に有名で、本来なら超がつくほどの名門企業です。 しかし、訴訟大国の米国でのタバコ企業の扱いは、常に健康被害等のやり玉に挙げられます。投資家からはその訴訟リスクの高さが嫌気され、株価は実力よりも低めに放置されています。最近も、電子タバコの健康被害問題で多額の損害を計上しました。  不思議ですね。日本ではタバコに関する健康被害の訴訟沙汰などあまり聞きません。日本と同じ製品を販売しているのにも関わらず、米国の人権団体は許してくれません。お国柄の違いのようです。 そのため、株価はそのリスクを織り込んで、実力よりも低位に推移しています。 それでも、フィリップモリス(アルトリアの前身)は、1990年前半まで米国における株式時価総額の上位にランクインされており、訴訟リスクがありながらも今よりもはるかに株式市場で存在感のある大型株だったようです。  投資家は、このような特殊事情を利用し、リスクに果敢に挑む気概でアルトリア株を購入し、多額の配当金を手にしてきました。       2.配当金の推移  それでも、アルトリアは訴訟があろうが、損害賠償があろうが、毎年しっかりと増配をしてくれます。こういったことを、何と50年、半世紀も続けています。ちなみに、最近の配当金の推移は 2017年:0.7セント 2018年:0.8セント 2019年:0.84セント 2020年:0.86セント 2020年:0.90セント 2020年:0.94セント という具合に、毎年増えています。全く、頭の下がる思いです。 3.暴落など損を被るリスク  こんな銘柄ですが、そんなおいしい株であるにもかかわらず、バフェット先生ですら投資をしていません。おそらく、人権団体への配慮と思われますが。 なので、最もこの株の恩恵を受けているのが、訴訟問題など暗い情報が飛び交うなか、果敢に投資している株主達です。  一応、暴落の危険性に触れておきますと、そもそもこの銘柄は7%の利回りです。計算上15年もすれば元本は回収できます。実際は、毎年増配してくれるのでもっと早いです。 このため、どんなに激しい暴落をしても、長く持て...