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トランプ政権後の金融市場を占う

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   11月の大統領選でトランプが圧勝し、第47代米国大統領に選ばれた。今回は、トランプ政権の施策から見た金融市場の動向を予想してみよう。 (既存勢力との闘い)  今回の選挙で圧勝という民衆の支持を得ても、トランプ政権は多くの敵と対峙しなくてはいけない。構図としては、トランプ政権vs米国官僚、民主党、民主党を支持する主要メディア、そして西欧の主要メディア  ワシントンで働く官僚の多くは民主党支持だ。トランプの政策に対し、否定的な内容をメディアに流して、民主党が世論に訴えかける。外交においても、西欧メディアがトランプに対し否定的な報道する。米国内でのメディアでは、FOX SNS(X) vs ABC、CNNなどの構図でこれら論争を戦っていく。Facebookやgoogleはトランプ政権からの報復を恐れ中立を崩さない。  さらに悪いケースでは、トランプの過激な政策に対し共和党内の反発が予想される。そういった構図を読みとれば、主要閣僚はトランプと思想の近い、比較的狂犬のような人物を配置するのは当然と言えば当然である。 (スーザン・ワイルドの役割)  トランプは第一期政権で多くの閣僚が反旗を翻して、ボロボロの運営を余儀なくされた。民主党に近い民間の有能な政策者や官僚がスパイのような役割でトランプ政権に入り込んで内側から政権に打撃を与えていたからだ。スーザン・ワイルドはホワイトハウスに出入りする人物をチェックする門番のような役割で、トランプ政権内の適正運営を統制するという点で非常に重要な役割を任せられている。 (改革の実現性)  このような敵の多い戦いにおいて、4年後に米国が大きく変貌するのかはわからないが、米国国民はこれ以上の資産格差を容認していないのだけは間違いない。この辺の見通しは、中間選挙での共和党の勝ち具合にかかっている。圧勝するようなことがあれば、多くの抵抗勢力が意見を言えなくなりトランプは国民からの信任という大義名分で残り2年で大胆な改革を強行するであろう。中間選挙までの2年間はトランプ政権と抵抗勢力との押し問答が続く構図が予想される。トランプ陣営もそれを意識して政策を打ってくるのは間違いなく、国民受けの良い減税やインフレの鎮圧を急いでくるだろう。 (金融相場)  相場という点では、基本的には右肩上がりである。投資家は政治ニュースに肩入れして振り回されない方が良い

空き家増加とREITの逆相関関係

  株株式会社野村総合研究所のリポート https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2024/cc/0613_1 では、日本における空き家事情の今後の深刻性が報告されている。 1.新設住宅着工戸数(2024~2040年度の予測) 「新設住宅着工戸数は、2023年度の80万戸から、2030年度には77万戸、2040年度には58万戸と減少していく見込み」  これは不動産だけでなく、住宅メーカーや建築資材業者にも影響する予測であり、当然であるがその分を単価の上昇で補っていくのは十分に予想できる。 2.空き家数と空き家率(2028~2043年の予測) 「空家数は2023年:352万戸、2028年:473万戸、2033年:616万戸、2028年:768万戸、2043年:917万戸と指数的に増えていく見込み」  新築住宅が減って空き家もへる。双方が大きくダウンすることが考えられないので、新築住宅の着工件数は野村総研の予想より幾分多めに推移していくことであろう。それは、そもそも日本の住宅は安く作っているので、欧米のように長期にわたって利用できるものになっていない。なので、空き家ではなく、住めない又は住みたくない家が空き家として膨張するというのが正しいのであろう。それに引きずられて優良な中古住宅も安く手放すケースも十分に想定できる。 商業ベースでの過剰な不動産供給  これだけ空き家が増える現状でRIETに少なからずの影響を与えるのは間違いないだろう。つまるところ、RIET投資はそれほどの旨味は享受できない可能性は高い。REITは都市開発案件とリンクしていることが多いが、地方の場合、その都市開発が10年や20年に渡って安定的な家賃収入を継続できるとは思えない。テナントは多くの人々が行き交う場所であることが前提で不動産の価値が成り立つからだ。 都心部においては、一見、人口減少の影響は受けないように感じられるが、街ごとに似たような都市開発を行ない過ぎている。明らかに供給過多である。さらには、そこに林立するマンション群も一般のサラリーマンが購入できないほどの値段が高騰している。つまるところ、富裕外国人の力を借りなければ供給>>>需要であり、それに相応しておしゃれなモールも商売が成り立たなくなる。都市開発をしてもそれに見合った需要を維持できない。実

(マグニセントセブン研究2)トランプ政権誕生がもたらすGAFAMへの影響

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 1. 圧倒的な経営力 24年度7-9月のGAFAMの決算は ①アルファベット(GOOGL)AIが検索広告・クラウドの成長を促進  売上 883億ドル 前年同期比  15.1%増  EPS 2.12 ドル 前年同期比 36.8%増 ②アマゾン00・ドットコム(AMZN): ネット小売やAWSの双方が順調  売上 1589億ドル 前年同期比  11.0%増  EPS 1.48 ドル 前年同期比 52.1%増 ③マイクロソフト(MSFT): 全体期に堅調だがクラウドの成長が一時的に鈍化 売上 656億ドル 前年同期比  16.0%増  EPS 3.3 ドル 前年同期比 10.4%増 ④アップル(AAPL):iPhone販売は堅J調だが今後の見通しは控えめ 売上 949億ドル 前年同期比  6.1%増  EPS 1.64 ドル 前年同期比 12.3%増 ⑤メタ・プラットフォームズ(META):SNSの好調がけん引へ 売上 406億ドル 前年同期比  18.9%増  EPS 6.03 ドル 前年同期比 37.4%増 この決算をみるだけで、GAFAM+(テスラとNVIDIA)のマグニセントセブンが米国相場を引っ張ているのは一目瞭然だ。これら企業が長期にわたって市場平均以上の増収増益をくりかえしているのに驚かされる。成長性に陰りがでてこないのだ。これは彼らの経営能力の超というべき優秀性によるものである。正直、私もこの辺の彼らが行っている仕組みについてはいまだに理解できていないのが実情だ。 しかしながら、GAFAM+(テスラとNVIDIA)のマグニセントセブンと他の優良企業の経営力には、野球でいったら大リーグと日本のプロ野球のレベルの差があると言っても過言ではない。SP500の凡庸な企業となら、大リーグと高校野球ほどのレベルの差があるといってよい。  今の米国相場は、マグニセントセブンと周辺の超一流優良企業にさえ投資すれば何も考えなくても相当な利益を得られる仕組みが出来上がり、これがなんと10年近く続いている。まさにこれら銘柄の絶頂期に違いない。これの言わんとすることはS&P500などの堅調な上昇とは裏腹に、投資対象としての分析に値する銘柄は1割未満いやその半分にも満たないということである。今の米国では、それくらい利益創出力が一部の企業に集中しすぎてしまった。 2. 著名

「日本貧困化」への国民の怒りが自民党大敗北を導いた

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   1.変化の兆し  2024年10月27日の選挙結果で自民党が惨敗し、立憲民主党が躍進した。これと同じ事は2009年に起こり、その時は民主党政権に交代した。国民は政権運営機能の低下した自民党政治に嫌気をさして、次なる希望を民主党に託した。しかし、民主党には政権運営能力が乏しかった。というより、政権運営の要になるはずの小沢一郎が政治と金のスキャンダルで身動きが取れなくなったことが一番の要因であると私自身は感じている。その後は、鳩山由紀夫、菅直人等が引き継いだが、政権運営能力が自民党以下であることが露呈された。結局のところ、国民が民主党政治に嫌気のさしたところにアベノミクスを打ち出す安倍晋三が登場して、現在に至っている。  その10年続いたアベノミクス政治にも陰りが見え始め、政権も自民党内のリベラル派である石破茂が政権をとり、今回の惨敗にいたる。  この惨敗理由を、「政治とカネ」と片付けるのは簡略的であるように私には見えてならない。この、根本的な原因は、日本経済の相対的低下が国民の許せる範囲を超えてしまったことにあると私は思っている。 2.日本経済没落のすさまじさ  ①欧米列強からの脱落  日本人の賃金水準は世界一の債権国とは思えないほどに低下し、明らかに先進国水準から脱落してしまった。日本人は中韓などの近隣諸国に生活レベルを追い抜かれてしまうほどの低迷を余儀なくされてしまった。それでも、いまだに感情的というべき日本人優位性をアピールしている識者が少なくないという絶望的な状況に陥っている。バブル崩壊の超不況の真中と言えども、98年の長野オリンピックでは日本にお金を落とせる外人は少数であった。国内景気はどん底でも日本経済は世界一流であり、中韓からみても圧倒的な差が横たわっていた。 ②インフレによる生活水準の低下  アベノミクスの失敗は、物価上昇前に賃金上昇のサイクルを作れなかったことである。経済構造上の問題で賃金を上げることが難しいなら、緩やかな円高政策をとるべきであった。極論かもしれないが、2024年段階で1ドル50円なら、今起きているインフレの問題は十分に対処できたはずである。さらに、海外勢が発展途上国程度に安くなった日本の物価を安い安いといって買いあさる屈辱的なインバウンド消費も発生せず、海外に出稼ぎまがいの労働に出かけるという現象も起きなかった。海外勢による日

新興国のアッパーミドルは一般の日本人より金持ちな時代!

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 今の日本は、この20年にかけてジャパンプレミアムが剝げ落ちてしまった。これの意味するところは、庶民にとっては日本国内だけでなく、海外にも逃げ場所がなくなってしまったことである。これからは、上手で賢い生き方をしないと世の中を楽しめなくなったということだ。一方、アッパーミドルは国籍を問わず、かつてのジャパンプレミアムのような生活を楽しめるようになった。世界が均一化するにつれて、人々の生活レベルも国を超えたところで均一化され始まっている。 ①  物価水準の瓦解  20年前は日本が景気が悪くても、アジア諸国にいけば贅沢な生活ができたものである。端的に言えば、月10万円あれば東南アジアでは日本の30万円~50万円相当の生活ができ、竜宮城を思わせるような生活も夢ではなかった。しかし、日本円はどんどん弱くなり、今となっては、アジア諸国でも10万円程度の価値になり果て、南国の酒場やレストランで外食を楽しむということすら贅沢となってしまった。 私などは、屋台で食べることはできない。さらに汚いとこに住めないので、このレートだと日本以上に出費がかさむので南国移住など到底不可能である。日本円の強い時期をしっている者にとっては、本当に寂しい限りである。 ②  高級品に対するプレミアムも瓦解  とはいえ、日本人はデフレの最中でも、ディズニーは活況で、飛行機もANAやJALのプレミアムカードを多くの人が取得し、そして高級ホテルの会員にも手をだしている人も少なくない。コロナ前には、豪華クルーズ旅行も流行りだしていた。このように並べると、デフレと言いながら多くの人はピンポイントではあるもののそれなりに贅沢を楽しんでいた。   これらの価格はジャパンプレミアムというべきか比較的手ごろな値段での取得や楽しむことが可能であったためである。しかし、コロナ後のインフレ加速でこういった分野の値上げも著しくなり、庶民には次第に遠くのものになりつつある。  つまり、バブル崩壊後の円安政策で日本円の価値が長期にわたって下落し、結果として、バブル期までに日本という国家が獲得したプレミアムの大部分が剥げ落ちてしまった。これを一言でいえば、衰退である。 しかし、今もって日本は世界最大の債権国には違いない。世界有数の投資国となって貿易収支は赤字でも、膨大な経常収支を出している。この矛盾に対し、多くの人たちが日本に対しブレた

トマ・ピケティの資本論(資本収益の爆発力)の凄さ

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 トマ・ピケティは、『21世紀の資本』で「資本主義は、どのようにしても富の不均衡は解決できずに格差は広がる。これを解消するには政府などの干渉が必要」と述べている。 そして、「r>g」という不等式を提示した。(r:資本収益率、g:経済成長率)。  この主張は、世界で騒がれている格差社会に突き刺さった。つまり、金融資本主義とはいうのは放置すれば格差を助長させてしまうことを投げかけた名著である。 ○資本主義のからくり  お金の発行元である政府は、景気が悪くなると市場にお金を供給し、景気が過熱すると市場からお金を引き上げる。この理論は誰もが知っていることだが、この理論の盲点は、政治の圧力で供給量>>引上げ量となってしまい、市中にお金が溢れることでインフレを引き起こしてしまう。それと同時に政府債務も返済不能の状況まで悪化する。その一方、市中に溢れるお金の分配は一部の人に集中し、貧富の差は容認できないほど拡がるシナリオを起こす。歴史では、これを訂正するために革命や反乱が起こる、又は海外からの侵略で国自体をリセットすることを繰り返してきた。しかし、現在、特に先進国においては、日本、西欧、米国がリセットして、新たな国になることはない。政権や政策が変わるだけだ。  そういったお気まり格差社会の過程で強みとなる資産が、不動産と金である。なぜなら、インフレに併せて価格を調整してくれるからだ。現物のお金はインフレによる目減りをするが、不動産や金は半永遠にその価値が担保される。そして現代においては株式も加わった。    「神の見えざる手」の創出  実際、富の創出は、不動産と株などに顕著に表れ、実労働では追いつくことができないほどの差を生じさせてしまう。それはアベノミクス以降の日本においても同じで、その恩恵を最大限に被ったのは投資家にほかならない。このからくりの厄介なところは、偽善者による作為でそうなるのではなく、まさに「神の見えざる手」の構造下に人間の行動原理が踊らされているにすぎないということだ。 ○資本収益の爆発力 資産も億を超えるころから徐々に労働を追い越す収益を獲得できるようになる。平均株価が1年間で10%上昇したと仮定すると、1億円なら1000万円の含み益と200万程度の配当を享受できる。  実労働での年収1200万円は、ほんのひと握りの勝組みだけが享受できる。これを資本収益

「物価高騰の潮時も近い?」ニュース記事から読み取れること

○物価に関するNHKと日経のネット記事を並べてみた。 ①8月の実質賃金 3か月ぶりマイナス 物価上昇に賃金追いつかず  8月の働く人1人当たりの所定内給与は、前年同月比3.0%増加して31年10か月ぶりの高い伸び率となった一方、物価上昇に賃金が追いつかず、実質賃金は3か月ぶりにマイナスとなった。 ②8月家計調査 2か月ぶりの減少 前年同月比1.9%減 総務省が発表した家計調査によると、今年8月に2人以上の世帯が消費金額は29万7487円で、前年同月比で実質1.9%減った。 ③大手牛丼チェーン 客つなぎとめへ 価格引き下げの動き相次ぐ  大手牛丼チェーンは、物価上昇で牛肉などの仕入価格が上昇することから4年連続で牛丼の価格を引き上げたが、今度は来店客をつなぎとめようと一時的に価格を引き下げる施策に打って出た。吉野家HDは、「牛丼は日常食であり、消費者の生活防衛意識の影響を直接受けてしまう。お値打ち感を出して客数を底上げたい」と述べた。 ④イオン 8月中間決算 最終的な利益76%減 人件費増などで  「イオン」は、今年8月までの半年間の決算について、従業員の賃上げによる人件費増加と消費者の節約志向の受けての値下げで、最終利益が去年同時期比で76%減った。 吉田昭夫社長は「原材料価格の上昇が続く中で、価格競争が激しくなっている。この先もコストの上昇が続くことを前提に、事業構造を変えていかなければならない」と述べた。 ⑤サイゼリアが最高益 貫いた低価格、倹約中国でも稼ぐ  サイゼリアが中国を中心とするアジアで快走している。2024年8月期連結決算は純利益が前期比58%増の81億円となった。けん引役は倹約志向が強まる中国で、物価高では逆張りとも言える強みの低価格戦略を磨き国内外の出店を加速する。 ⑥セブン&アイ2割減益 3〜8月、米国でコンビニ苦戦  セブン&アイ・ホールディングスの2024年3〜8月期の連結営業利益は、前年同期比2割強減となった。米国でインフレを背景に消費者の消費意欲が減退し、現地のコンビニエンスストア事業が振るわなかった。 〇投資家としては、これらの記事を並べられても判断のしようがない。①と②はアベノミクス以前から続いている記事の常連というべきもので、富めるものがいる一方、大多数の国民の生活は苦しくなっているというもので、株価に大きな影をさ